成長ぶりに目を見張る中3全員の学期留学…東京成徳

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 東京成徳大学中学校・高等学校(東京都北区)は来春から、中3生全員を対象とする必修のニュージーランド学期留学を実施する。これまでは希望者対象のプログラムだったが、3か月の現地体験で「自立」を学び、学習意欲を高めた生徒たちの様子から、全員参加に踏み切った。国際交流部長の茂原輝光教諭と帰国したばかりの参加者に話を聞いた。

今年度の中3生から原則全員参加の学期留学

国際交流部長の茂原教諭(左)と英語科の和田教諭
国際交流部長の茂原教諭(左)と英語科の和田教諭

 同校のニュージーランドへの学期留学は、1月上旬から4月上旬にかけ、中3の3学期全部を費やして行われる。今春も72人の中3生が参加した。

 生徒たちはオークランドやその近郊で、協力を得た約50の受け入れ校に分散して通う。短期の語学研修と異なって、現地校の学籍を持つ正規の留学であり、期間中に受けた授業は3年生の3学期の授業日数として認定される。また、現地で通学する生徒は1校当たり3人以内、1クラス1人までに限定しており、日本人同士固まることで留学の効果が下がらないような配慮もしている。

 国際交流部長の茂原輝光教諭によると、同校は約40年前から希望者を対象にニュージーランド研修を行ってきたが、当初は語学研修という意味合いが強く、期間も3週間程度と短かったため希望者の数は減る傾向にあった。このため、2003年度から、中3の希望者を対象とする学期留学へとグレードアップし、学年の3~4割が参加するようになったという。さらに今年度の中3生からは必修で全員参加となる。

 全員参加に踏み切った理由は、帰国した生徒たちの目を見張るような成長ぶりにあるという。茂原教諭によると、ニュージーランドでは教室でもホームステイ先でも生徒は事あるごとに「Why?」と聞き返されるという。自分の意見について、理由やそう考えるに至った経緯の説明を求められる文化なのだ。生徒は驚きや戸惑いとともに、今まで味わったことのない学びの面白さを知る。

 「たとえば『高校を卒業したらどうするのか』と聞かれて『大学に行く』と答えると、やはり『Why?』と聞かれる。現地の子や他国の留学生の多くは、10代のうちから将来について考えているのです」。うまく答えられずに「君には将来の展望はないのか」とあきれられ、落ち込むこともあるそうだが、それをきっかけに生徒たちは将来について真剣に考えるようになるそうだ。

 帰国後もそういう真剣さは学習姿勢に表れる。「その子の中に、勉強する理由ができるんでしょう。これまで罰や褒美がなければ動かなかった子が、貪欲に勉強するようになります。考える過程を大切にするようになり、身に付く知識の質が変わって、結果的に学力向上につながるのです」と茂原教諭は話す。

「イングリッシュキャンプ」の修了証を手にする生徒たち
「イングリッシュキャンプ」の修了証を手にする生徒たち
各教室にプロジェクターとWi-Fi環境を整備し、普段の授業でもタブレットを使いこなしている
各教室にプロジェクターとWi-Fi環境を整備し、普段の授業でもタブレットを使いこなしている

 特に英語力は、留学中の日々の生活だけでなく、授業やリポートで鍛えられてめきめき向上する。特に顕著なのはリスニング力だ。4月に帰ってきた生徒が6月に実用英語技能検定を受けると、準2級程度のリスニングならほぼ満点を取るそうだ。「このテスト、こんなにゆっくりでしたっけ」と生徒自身も驚くという。

 もちろん、現地で英語力が大きく伸びるのは留学前にしっかり準備しているからだ。同校は日頃から実践的な英語教育を重視しており、「単語や文法だけでなく、歴史上の人物を英語で紹介するなど、他人に情報を伝える道具として英語を使えるよう工夫しています」と英語科の和田一将教諭は話す。中1から週8時間の英語授業があり、8時間のうち3時間はネイティブの教員による日本語厳禁の「オールイングリッシュ」授業だ。さらに毎学期、一日中英語漬けとなる「イングリッシュキャンプ」を実施し、初めて会った外国人と英語でコミュニケーションを取る経験も積んでいる。

 留学の準備は英語の授業だけではない。全教科で、中1からグループディスカッションやプレゼンテーションを多く取り入れているため、現地の学習スタイルにもすぐ適合できる。ICT活用にも力を入れていて、17年度の入学生から全員にApple社の「iPad Pro」を配布し、各教室にプロジェクターとWi-Fi環境を整備した。18年12月には、Apple社がICTを革新的に活用している教育機関を支援するプログラム「Apple Distinguished School」の認定を受けている。ICT化が進んでいるというニュージーランドの学校にも生徒たちはすんなり溶け込めるようだ。

留学経験3か月間でたくましく成長

ニュージーランド留学で交流した現地の生徒たち
ニュージーランド留学で交流した現地の生徒たち

 取材に訪れた4月15日、10日ほど前にニュージーランドから帰国したばかりの高1生2人に、学期留学中の経験を聞いた。

 柴田聖矢君は「自分から英語で主張しない限り、誰も助けてくれない。最初の1週間は泣きそうでした。でも、慣れると毎日が楽しくなり、後半は自由に過ごせる土日の回数が減っていくのがつらかったです」と話す。現地の学校が主催する、留学生向けの旅行にも参加した。「異国で頑張っている者同士、仲良くなれました」。柴田君は今回の留学経験から、国際関係の仕事に就きたいと考えるようになった。そのために進学すべき大学についても調べ始めているという。「手始めに、高校で海外ボランティア活動に挑戦したい」と、目を輝かせた。

 浅井佑美さんは「学校にはタブレットを持参していました。課題はほぼメール提出だし、級友も全員ノートパソコンなどを使っていました」と話す。現地の学校では、リポート作成やプレゼンテーションなどに情報端末が欠かせないが、東京成徳でも普段の授業でタブレットを使いこなしているので、戸惑いはなかったそうだ。

 浅井さんが留学で得た一番の収穫は、現地で出来た友人たちとの交流だという。「海外の人との交流を、これで終わりにはしたくない。これからも、いろんな国の人と関わっていきたい」。また、後輩に対する留学のアドバイスを聞くと「やりたいと思うことがあったら、すぐやるといい。3か月はあっという間だから」と話した。

自立体験を経て真の国際人へ

 2人の経験からも分かる通り、学期留学の効果は学習面ばかりではない。同校が保護者を対象に行ったアンケートによると、8~9割の保護者が学期留学の成果として子供たちの「自立」を期待しているという。また、留学後の子供の変化についての実感でも、保護者の約35%が「自立した」と答えている。長期間、親元を離れて留学先でホームステイすることによって、生活面も含めて自分のことは自分でやる姿勢が身に付くと言えそうだ。

 17回目に当たる今年度、中3生は全員がニュージーランドに行く。茂原教諭は「留学を前提に入学している今年度の3年生には、自立体験だけでなく、もう一歩踏み込んだ指導をしたい。成徳の目指す国際人として、他者への寛容さと同時に、他者と違う自分を受け入れる心を養ってくれるとうれしい」と語った。

 (文:佐々木志野 写真:中学受験サポート)

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648196 0 東京成徳大学中学校・高等学校 2019/06/21 05:22:00 2019/06/21 05:22:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/06/20190620-OYT8I50022-T.jpg?type=thumbnail

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