【特集】生徒の創造力に火を付けるiPad活用教育…東京成徳

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 東京成徳大学中学・高等学校(東京都北区)は、1人1台のiPadを軸としたICT教育を積極的に展開している。同校はアップル社から「Apple Distinguished School」の認定を受けており、多くの科目でiPadの機能を駆使した授業に取り組んでいる。講義形式の授業より生徒の理解度、定着度は上がっているといい、今後、STEAM教育にも着手する予定。担当教諭にICTの活用ぶりと効果を聞いた。

iPadを軸にICT環境の整備を進める

「iPadを学習に使うことで教え合いや学び合いの姿勢が身に付く」と話す和田教諭
「iPadを学習に使うことで教え合いや学び合いの姿勢が身に付く」と話す和田教諭

 同校は、社会のグローバル化や学習指導要領の改訂を視野に、今年度から「未来を見据え、世界を知る、自分を (ひら) く」のスローガンを掲げ、これを実現するためにICTテクノロジーの積極活用や海外研修の充実、ゼミ形式の探究授業、きめ細かな進路指導などをさまざまなテーマで教育に取り組んでいる。

 なかでもICTテクノロジーの積極活用は、同校が早くから力を入れているテーマで、2016年には全生徒1人1台iPadの体制を整えて活用を開始し、18年度には、アップル社が同社製品やサービスの革新的な活用をしているなどの諸条件を満たした学校に提供する「Apple Distinguished School」プログラムの認定校となった。iPadは各科目の授業や日常的な学習のツールとして高い効果を上げているという。東京の私立中高でこの認定を得ているのは、まだ数校だ。

 ICT活用推進部長で英語科担当の和田一将教諭は、同校がiPadを軸に進めてきたICT環境の整備についてこう説明する。「本校の特色である生徒や教員が和気 藹々(あいあい) と交流する校風や、今日まで少しずつアップデートを重ねてきた教育ビジョンと、iPadを活用することで生まれる『コミュニケーションと創造性』『チームワーク』『批判的思考力』『学びの個別化』『実社会とのつながり』といった学びの体験は、非常に親和性が高い。そうした判断から、iPad1人1台の導入を進めてきました」

iPadの活用で体験ベースの授業が可能に

好きな国を選んで紹介するビデオを撮影する生徒たち
好きな国を選んで紹介するビデオを撮影する生徒たち

 和田教諭によると、英語科の授業では、プレゼンテーションや映像作りの機能を積極的に活用しているという。中1では、歴史上の人物を題材とした英語による「偉人紹介チラシ」を文書作成アプリ「Pages」を活用して制作する。中2では、世界の国々から好きな国を選んで紹介ビデオを制作する。その際、動画編集アプリ「iMovie」に備わっているクロマキー合成機能で、英語による紹介動画を現地の写真と合成したりする。

 「偉人チラシでは動詞の過去形の理解、国紹介ビデオは『can』や『should』など助動詞の習得がテーマでしたが、この授業によって理解度が向上したことが、事後のテスト結果などで確認されています」と、和田教諭はiPadの効用を話す。

 他教科にも活用は広がっている。数学科では従来から、教員が作成した解説動画を基にグループで学び合う授業を行っており、iPad導入以降は、ビデオ、写真、スケッチを表現や学び合いの手段として使っている。ほかにも「数学の教科書を作ろう」という取り組みでは、学習した内容を「Pages」やプレゼンテーションアプリ「Keynote」でまとめ、人に分かりやすく伝える作品作りを行った。

 地理では好きな都道府県を選んでシンボルマークを作る授業、公民では「ユニバーサルデザイン」をテーマに社会に役立つ器具のアイデアを考える授業などがある。

数学の授業でも積極的にICTが活用されている
数学の授業でも積極的にICTが活用されている

 「デザインやスケッチの作成と共有、プレゼンテーションにiPadが向いているのはもちろんですが、アイデアを考える際にはその土地や社会についての理解が必要になります。それらを各自の観点に基づいてネットで調べ、リポートにまとめることで、主体的に知識を獲得する姿勢が身に付きます。このように、体験ベースで授業を行えるため、講義形式の授業に比べて理解度や定着度が自然と高まっていきます」

 和田教諭によると、ICTスキルはコロナ対応にも発揮されたという。「コロナ休校の期間には、ステイホームを楽しむための簡単な料理や自宅でできる筋力トレーニングの方法など、さまざまな動画を教員たちが自主制作して生徒に紹介していました。また、Zoomを使い、海外の人々との交流会や、さまざまな職業のスペシャリストの講演会をオンラインで行いました」

 また、生徒たちは通常開催できなかった行事のいくつかを、創意工夫してオンライン開催した。体育祭では、学年ごとに体育館で行った演技や競技を、生徒がiPadで配信し、他の生徒が教室や自宅で観覧、応援した。生徒たちが自由に制作した短編映画を持ち寄る映画祭も行ったという。

 「これらは主に高校1年生が主体となって企画・運営したもので、生徒のICTリテラシーの向上を感じることができました」と和田教諭は話す。

本格的なSTEAM教育への進化

生徒が主体となって企画・運営した体育祭の配信
生徒が主体となって企画・運営した体育祭の配信

 同校では、iPadの活用がもたらす学習上の効果を統計的手法で分析しており、確かな効果が検証されているという。

 「まず中学1年から中学2年にかけては、他者との交流を通して自分の考えを深めることを学ぶ。次いで中学3年にかけては、使い慣れたiPadを学習にどう生かすかを自分で考えるようになる。さらに高校1年までの1年間で、他者の意見を聞きつつ自分の考えを伝えることができるようになる、つまり教え合いや学び合いの姿勢が身に付くと分かりました。さらに、自己管理能力や持続的探究力、問題解決力なども向上していました」

 もちろん、教員の実感としても生徒の変化が分かるという。「iPadを使うと、生徒の創造力に火が付くんです。iPadを活用した学習を通してそれまで気付いていなかった自分の長所を見出し、伸ばすようになります。例えば、中学1年から本格的に英語の学習を始め、高校2年で英検準1級を取得した生徒がいます。ほかにも、生き物好きや歴史好きなど、各分野で能力を伸ばす生徒が増えています。ワイワイとコミュニケーションしながら学びや交流、経験を重ねていく。本校が以前から取り組んでいた教育が、iPadでよりやりやすくなったと感じています」

 今後の課題は、ICT教育をSTEAM教育に発展させる環境の整備だという。従来型のコンピュータールームを、物づくりやプログラミング教育にも対応でき、自由に学びを楽しむことのできる空間に改装する準備が、現在進められているそうだ。

 「iPadを活用した創造的な学習を通して、生徒同士の交流が今まで以上に活発になり、さまざまな価値観の中で生徒たちは自分の学びを深めることができているんだと思います」と、和田教諭は自信をのぞかせた。

 (文:上田大朗 写真:中学受験サポート 一部写真提供:東京成徳大学中学・高等学校)

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