グローバルな視野と「世界の一員」の自覚を育てる海外研修…淑徳与野

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 淑徳与野中学・高等学校(さいたま市)は、「真の国際人」養成を目的に、1999年から20年以上続く高2生全員のアメリカ修学旅行など多彩な国際理解・グローバル教育を展開している。特にアメリカ、ニュージーランド、カナダで行われる3か月間の海外語学研修「インターナショナルコース」は生徒の人気が高いという。研修の内容や目的などを取材するとともに、「インターナショナルコース」に参加した生徒の声を紹介する。

海外研修の体験を通して真の国際人に

学校の国際教育について話す池田佑介教諭
学校の国際教育について話す池田佑介教諭

 「本学園の建学の精神は『利他共生』の心であり、校祖・輪島聞声先生は「進みゆく世に遅れるな。有為な人間になれ」との言葉を残しています。女性として自立し、時代の変化に対応しながら社会や人のために行動し、共に支えあって生きる。国際教育においてもこの教えを基本とし、体験学習を通じて、生徒には世界の一員であるという自覚を促し、社会や人のために行動できる真の国際人になってほしいと考えています」。国際教育主任の池田佑介教諭はこう語る。

1999年から続くアメリカへの修学旅行で
1999年から続くアメリカへの修学旅行で

 同校の国際教育の柱となるのが1999年以来続く、高2生が全員参加する6泊8日のアメリカ修学旅行だ。生徒たちはアメリカのシアトルやポートランドを訪問し、3日間のホームステイを体験したり、姉妹校・提携校で交歓会を開いたりする。さらに、NIKEなどの企業を訪れ、日本人社員と懇談することで自分の進路を考えるなど、キャリア学習の一端にもなっている。

 また、2008年度からは、この修学旅行で発生するマイレージを活用し、NPO法人「JHP・学校をつくる会」の活動に協力している。10年3月、カンボジアのスバイリエン県のチッダイ中学に新校舎を建て、「淑徳与野なでしこスクール」と名付けて寄贈した。以来、2年に1度、生徒代表が同校を訪問し、全校生徒に現地の様子を報告している。

休学の心配なく参加できる人気の「インターナショナルコース」

 同校は英語圏やアジア諸国など世界7か国に姉妹校・提携校を持ち、このアメリカ修学旅行のほかにも、中学2年で行う台湾海外研修や、希望者を対象とした語学研修、国際交流プログラムを多数用意している。

 なかでも人気が高いのが、2004年に希望者対象で始まった3か月間の海外語学研修「インターナショナルコース」だ。アメリカまたはニュージーランドでホームステイをしながら現地の高校に通うコースで、高校1年の1月中旬に出発し、2年の4月上旬に帰国する。休学する必要がなく、現役で4年生大学への進学を目指すことが可能なのが人気の理由で、毎年40~50人の生徒が参加している。基本的に希望者全員がエントリーできるが、出席状況や成績などの参加条件があるほか、各国の受け入れ上限人数を超えた場合はリスニング試験などで選抜を行う。

 今年度からは、新たにカナダコースもスタートした。アメリカないしニュージーランドコースは現地の高校に通うのに対し、カナダでは原則、語学学校に通学する。英語に自信のない生徒も参加できるのが大きな特徴だ。

「インターナショナルコース」では、現地の高校で授業を受ける
「インターナショナルコース」では、現地の高校で授業を受ける

 「インターナショナルコース」について池田教諭は、「海外の人と交流することは、ある種、自分とは違う異質なものと触れ合うことです。日本との違いを知り、それを受け入れ、さらに客体化して、日本の良さに改めて気付く。そうしたことを肌で感じ、学び取ってきてほしいと思います」と話す。

 ニュージーランドコースに参加した武田桜子さん(高2)は、日本と現地の違いについて、「日本では先生が学校のカリキュラムを組みますが、現地では『将来こうなりたいから、この教科を取ってみよう』など、自分がやりたいと思うことをやれる環境があります。それを見て、私ももっと主体的に行動する姿勢を身に付けようと思いました」と話す。「日本の高校生はテストに追われることもありますが、現地の高校生は家族との時間を大切にしたり、お弁当を自分で作ったりするなど、同い年でも生活が全く違うことを知り、改めて自分を見つめ直す機会になりました」

 アメリカコースに参加した野々原ひなみさん(高2)は、「日本では周囲の人が状況を察して声をかけてくれますが、アメリカでは察してくれることは全くなく、意思表示が重要だと感じました」と話す。また、「学校の授業でも、最初は先生や生徒の言っていることも、教科書に書いてあることも分からず大変でしたが、『どうせ分からないなら、何でも意見を言って直してもらえばいい』と気持ちを切り替えたことで、どんどん発言できるようになりました」と笑顔を見せた。

 「インターナショナルコース」では出発の前月に事前学習を行うが、昨年度はその内容を一新し、3日間の集中講座で、オーストラリアとニュージーランドの大学に通う大学院生や、日本に留学中の海外大学院生とのディスカッションを行った。「エンパワーメントプログラム」と名付けたこの集中講座の目的について池田教諭は、「現地では、生徒は『お客様』ではなく、自ら考え、主体的に行動することが求められます。『オープンマインド』と『ポジティブシンキング』を養成することを目指しています」と話した。

研修経験が進路選択や職業選択に役立つ

カンボジアに建設した「淑徳与野なでしこスクール」
カンボジアに建設した「淑徳与野なでしこスクール」

 「インターナショナルコース」を経験した生徒は、「間違いなくリスニングスキルが伸び、英語力が成長したと感じます」と池田教諭は話す。さらに、大学のAO入試で志望理由書を書く時などもテーマが明確になるなど、研修が役に立ったという生徒は多いそうだ。

 さらに、「インターナショナルコース」での経験が、就職につながった卒業生もいる。「自分と同じ貴重な経験を、ぜひ後輩にも」という思いから、このコースを担当する旅行会社に就職した。後輩たちが現地に旅立つ際に添乗し、彼女たちをサポートしているという。

 野々原さんは「英語に対する認識が変わった」と話す。「研修前は、英語は受験に必要だから勉強するもので、『生きた英語って何だろう』と思っていました。でも今は、いろいろな人とコミュニケーションをとるために、もっと言葉や表現を知りたいという気持ちが生まれ、これが生きた英語だ』と実感しています。また、もともと本を読むことが好きでしたが、帰国後は日本文学だけでなく、洋書を少しずつ読み始めています」

 コロナ禍が始まりつつある頃に帰国した武田さんは、「小さい頃から客室乗務員という仕事に憧れていましたが、空港や機内のスタッフが緊急事態の中で働いている姿を見て、自分も臨機応変に動ける客室乗務員になりたいと思いました。また、ステイホーム期間中は、ホストマザーに教えてもらった料理を作ってメールで写真を送ったり、ブラザーに手紙を書いたり。今は離れていてもつながれるツールがたくさんあるので、せっかくできたご縁を生かして、コミュニケーションをとっていきたいと思います」と話す。

 池田教諭は海外語学研修の意義について「世界へ視野を広げ、真の国際人になるといっても、将来は世界で活躍しよう、という意味ではありません」と語る。「グローバルな視野を持ちながら、自分の場所で、自分のやりたいことを見つけて進めていく。生徒には、そんな人になってほしいと考えています」

 (文:籔智子 写真:中学受験サポート 一部写真提供:淑徳与野中学校・高等学校)

 淑徳与野中学校・高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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1417847 0 淑徳与野中学・高等学校 2020/08/24 05:21:00 2020/08/24 05:21:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/08/20200818-OYT8I50017-T.jpg?type=thumbnail

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