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【特集】英語圏を超えて広い世界を知るグローバル教育…穎明館

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 穎明館中学高等学校(東京都八王子市)は、「国際社会に羽ばたく真のリーダーの育成」を教育目標に掲げ、1985年の創立以来、特色あるグローバル教育を行っている。豊富な授業や海外研修で英語力を鍛えるだけでなく、第2外国語の授業などを通じて英語圏以外の世界にも目配りした国際教育に特色がある。第2外国語・英会話の授業風景や、卒業生の声を通して同校のグローバル教育を紹介する。

「楽しい」と「大変」二つの海外研修

「グローバル教育は本校創立以来の教育の柱の一つ」と話す秋山教諭
「グローバル教育は本校創立以来の教育の柱の一つ」と話す秋山教諭

 国際交流部長を務める外国語科主任の秋山美和教諭は、グローバル教育について「本校創立以来の教育の柱」の一つと話す。その基礎となるのはやはり、日々の英語学習だという。中1、中2では週6時間の英語授業とネイティブによる1時間の英会話授業がある。英会話の授業では一つのクラスを約20人ずつ2グループに分けて少人数指導を行う。中3から高校にかけて英語は週7時間となり、選択コースによっては高3で週11時間の授業を受けられる。授業時間をたっぷり確保するのは、より多くの文章や問題に当たることで、語彙(ごい)を増やし、英語に慣れさせることに狙いがある。

 「英検の受検も奨励しており、本校を年2回準会場として受検しやすい環境を作っています。高2ではGTECやTEAPといった英語検定を全員受検します。対策として昨年度は年6回のオンライン英会話も行いました」

 日々の学習で基礎固めした英語力は実践で試される。その機会の一つが、30年来続けている高1生対象の2週間のアメリカ・カナダ体験学習だ。

「ブッシュスクール」で授業を受ける生徒たち
「ブッシュスクール」で授業を受ける生徒たち

 まず、初めの10日間は米ワシントン州シアトルにあるワシントン大学の寮に滞在し、近隣の「ブッシュスクール」で授業を受けながら現地の先生、生徒と交流し、観光を楽しむ。その後カナダのバンクーバーに移動し、3泊4日のホームステイを経験する。

 秋山教諭によると、この体験学習は多くの生徒が「楽しかった」と言う行事だが、2015年から参加が認められた英国の「イートンカレッジサマースクール」は、「毎日がすごく充実していたけど大変だった」という声が多いそうだ。

 イートンカレッジサマースクールは、夏休み中に実施される17泊19日のプログラムで、頴明館からは中3~高2の希望者20人が参加できる。

 到着した翌日に英語のレベルチェックがあり、クラス分けが行われる。英語の学習はもちろん、英国の文化・歴史などの授業も受ける。史跡見学や観光の前には事前学習があり、現地でもイートンカレッジ出身のグループリーダーが説明してくれる。このサマースクールには他の進学校の生徒も参加しており、彼らからの刺激も大きいという。

 「多くの生徒が『世界にはすごい人、すごいものがある』と圧倒され、学びへの渇望を持って帰ってきます」と秋山教諭は話す。

 18年度からは、高1を対象とするオーストラリアターム留学も導入した。毎年、成績や英語力に基づいて選抜された少数の生徒が参加する。「一人きりで長期間、自分の力を試すチャンス。言ってみれば武者修行です」

 このほかにも、各種の英語セミナーやワークショップ、コンテストなど多数のプログラムを生徒に紹介しており、多くの生徒が参加するという。また、昨年から英語圏の約70の大学への留学の支援を受けられる「海外大学進学協定校推薦入試制度(UPAS)」も利用できるようになった。

 一方、英語に意欲的な生徒を募るため、従来は帰国生などが対象だった国語・算数・英語(英検3級レベル)の3科目入試を、20年度から一般生にも開放した。この「グローバル入試」と帰国生入試の合格者のうち、希望者6人が、「GE(グローバル・イングリッシュ)クラス」という別クラスで、ネイティブの教員による授業を週3時間受けている。

英語圏以外の広い世界を知る第2外国語授業

第2外国語の中国語の授業では、発音や会話を学び基礎を習得する
第2外国語の中国語の授業では、発音や会話を学び基礎を習得する

 第2外国語の授業も創立以来の特色だ。現在は高1の希望者を対象に、中国語あるいはフランス語、または英会話の授業を水曜の7限目に行っている。中国語・フランス語は基礎の習得、英会話は日常会話に慣れることを目標に、経験豊かな外国人講師が指導する。「英語圏以外にも広い世界があると知ることは、グローバル教育の基本と考えます。英会話の授業でも、できるだけ多様な文化背景を学べるよう配慮しています」

 取材に訪れた7月11日、第2外国語と英会話の授業を見た。

 呉孟軻先生による中国語クラスで学ぶのは9人。中国語による「起立、礼」のあと、中国語読みで出席点呼を行った。この日は人称代名詞の復習と「名前は何ですか」「何という名字ですか」など名前を尋ねる会話がテーマ。一通りの発音練習のあと、生徒一人一人との会話練習に移った。

 フランス語のクラスでは11人が学んでいた。担当のエマニュエル・ロペス先生はアフリカのフランス語圏について、スライドで地図や写真を見せながら宗教や言語、文字について紹介していた。先生は時折フランス語で「これは何ですか」などと質問しながら、フランス語と日本語を織り交ぜて説明していた。

 英会話のクラスは二つあり、うち15人を担当するロナルド・ファクソン先生の授業では、待ち合わせに遅れた人が、待っている人に電話で謝るスキットで会話練習。生徒たちはペアで練習をした後、前に出て発表する。つい黒板を見て棒読みしてしまう生徒には「自分の言葉で話そう」と促す場面もあった。

 「授業後のアンケートでは『難しいけど楽しい』という回答が多く、うれしいですね。『もっと難しいことを学びたい、宿題も出してほしい』という生徒もいます」と、秋山教諭は手応えを話す。

やってみたいことに迷いなくチャレンジできる学校

「穎明館はやってみたいことに迷いなくチャレンジできる学校」と話す卒業生の今池さん
「穎明館はやってみたいことに迷いなくチャレンジできる学校」と話す卒業生の今池さん

 同校のグローバル教育について卒業生にも話を聞いた。慶応大学法学部政治学科1年の今池陸晃(たかあき)さんは、子供の頃から外国語や海外の文化に興味があったという。

 学校では英会話のALT(外国語指導助手)と会話を楽しみ、中国人の親を持つクラスメートに中国語を教えてもらっていた。そこで第2外国語は、フランス語を選んだという。

 授業では、先生がさまざまな形で紹介するフランスの文化に引きつけられた。「フランス映画を題材に常用するフレーズを教えてくれたり、一時帰国した際のお土産でいろんな種類のチーズを持ってきて、地図を見ながら産地を教えてくれたり。もちろんチーズはみんなで味わいました」

 英語の勉強にも熱を入れ、高3で英検準1級を取得。さらに韓国語やスペイン語も学び、生徒会長を務めた高2の時には、入学式で新入生を前に5か国語のフレーズを取り入れたあいさつを披露した。「僕はこの学校で夢中になれることを見つけました。みんなもぜひ見つけてください」と呼びかけたそうだ。

 語学を通して培ったグローバルな関心は、国際貢献や途上国開発などの問題に及び、大学ではアフリカの開発や社会保障などを学んでいる。一方、身近な社会にも関心を持ち、飲食店の割引サービスを通して若者の投票率向上を図る「センキョ割」という活動にも携わっている。

 今池さんがさまざまな挑戦をするようになったのは、同校の環境に影響されたところが大きいそうだ。「先輩たちが留学やコンテストで活躍するのを見て、『自分もああなりたい』と思う。そういう気持ちを先生方は後押ししてくれます。興味を持っていることを話すと、仲間のように熱っぽくいろいろ話してくれたり、チャレンジの機会を紹介してくれたり。やってみたいことは迷いなく『やろう』と思える学校です」

 「今池君のように積極的な生徒も多いですが、一方で情熱を内に秘めているタイプもいます。どんな生徒にも新たな世界と出会い、活躍する機会を用意したい。その重要な柱がグローバル教育です」と秋山教諭は語った。「生徒たちには、最初に外国語を学んだ時のワクワク感、好奇心をずっと持ち続けてほしい。私たち教員も、変わり続ける世界の中で日々勉強しながら、時代に合わせた教育を行いたいと思っています」

 (文:上田大朗 写真:中学受験サポート 一部写真提供:穎明館中学高等学校)

 穎明館中学高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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1571401 0 穎明館中学高等学校 2020/10/28 05:01:00 2020/10/28 05:01:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/10/20201023-OYT8I50011-T.jpg?type=thumbnail

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