【特集】「意識付け」と「仕組み」で生徒を導く進学指導…穎明館

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 穎明館中学高等学校(東京都八王子市)は、中高6年間を通した段階的な意識付けを柱とする進学指導を行っている。勉強に臨む基本姿勢の確立から、社会や海外に目を向けてのキャリア意識の醸成、実践的な大学進学指導まで「切れ目のない」サポートで将来への意識付けを行っていく。学習の仕組みの面でも2019年度から「アドバンストクラス」や「放課後学習支援システム」が導入され、相乗効果を表しつつあるという。

コロナ禍でも意欲そがれず進学実績アップ

6年間の進路指導について話す大友教諭
6年間の進路指導について話す大友教諭

 2021年度募集の大学受験で、同校の卒業生は181人のうち、35人が国公立、50人が早慶上理・MARCHに進学を決めた。その割合は前年度を5ポイント上回る47%に上昇している。進学指導部部長の大友博之教諭は「全国的にはコロナ禍の影響のためか、安全志向や地元志向が目立ちましたが、本校の生徒は意欲旺盛で、1人あたり平均受験回数も9.1回に及ぶ『攻めの受験』ができました。これは、長年かけて整えてきた意識付けの体制が、変化した環境の中でも強みになったのだと思います」と分析する。

 同校の進学指導のベースにあるのは、「国際社会に羽ばたく真のリーダーの育成」という教育目標だ。このリーダー像について大友教諭は、「『一隅を照らす』という言葉があるように、どのようなポジションでも世のため人のために尽くす心を持つ人」と補足する。進学指導も、生徒一人一人が、そうした意味でのリーダーに成長できるよう、個性や成長段階に応じて、勉学や将来に対する意識付けを促すことによって行われている。

 「すべての基盤となっているのは、生徒と教員が気軽に対話できる環境です。学年担当教員の約4割が6年間持ち上がりで同じ顔ぶれの生徒たちを担当し、各生徒の個性を理解しつつ継続的なコミュニケーションを行い、関係を築きます。5、6年はクラス再編もなく、同じ担任が生徒を支えます。もちろん保護者との連絡も密に行い、さまざまな相談をしながら生徒に接しています」

6年間の段階的なステップアップ

定期試験の2週間前から毎日の試験勉強を明記する「学習計画表」
定期試験の2週間前から毎日の試験勉強を明記する「学習計画表」

 進学指導に関わる意識付けは、生徒と教員の近い関係性の中で中高6年間を通して行われる。特に中1、中2の時期は最も重要な段階と位置付けられている。大友教諭は、「毎日勉学に励む基本姿勢や、遅刻しない、提出物は期限までに出すなどの基本的な姿勢を、この時期に着実に習慣化します」と言う。

 定期試験の準備も、自主性や計画性を育てる機会としている。試験の2週間前から毎日の科目ごとの試験勉強を明記した「学習計画表」を生徒各自に作成させる。「やるべきことを明確化して行動を促すとともに、高校2、3年次で立てる大学受験計画の予行演習の意味合いもあります」

 中3で取り組む自由テーマの探究学習は、自らの興味・関心を研究することによって自己理解が深まり、社会とのつながりを意識する契機になるという。高1では、海外や異文化に目を向けることで、将来に向けての意欲を高める。その中心となる行事が、1学期に約2週間の日程で行う「USA・カナダ体験学習」だ。米シアトルのワシントン大学の寮に宿泊し、近隣の私立校に通って英会話やアクティビティーを体験する。さらにカナダに赴き、2泊3日のホームステイを行う。「海外体験の刺激は大きなものがあり、これをきっかけに海外の大学を目指す生徒も少なくありません」

生徒に大きな刺激を与える「USA・カナダ体験学習」
生徒に大きな刺激を与える「USA・カナダ体験学習」

 高校で導入する「グレード授業」も、生徒の意欲を刺激する効果を狙っている。高1で英語と数学を習熟度に3グレード6クラスに分け、高2ではさらに国語と理科もグレード別にして授業を行う。「上のグレードに行くという身近な目標を持って勉強に打ち込めるようになります」

 高1では、高2で行う文系・理系選択に備えて、学年担当の教員たちによる「学部学科説明会」が行われる。各教員は自分の出身学部や学科について実体験を交えたレクチャーを行う。「普段から生徒と親身に接しているので、生徒も興味を持ちやすく、その後の相談にもじっくり乗ることができます。将来を具体的に考える重要な機会となります」

 さらに高校1、2年の夏休みには「進路課題」として、大学のオープンキャンパスに参加して体験リポートを作成したり、現役の大学教授に模擬講義を受けられるイベント「夢ナビライブ」に参加したりする。

 大友教諭は、高2の時期が「意識付けの上で2番目に重要」と強調する。「大学受験にも人間力が必要です。この時期は、部活や文化祭、体育祭などの行事でさまざまな『リーダー』の役割を務め、下の学年を引っ張り、全体に貢献することを学びます。それまで受け身の学びが多かったのに対し、能動的に考え実行する大きな経験となります」

 部活や委員会活動を引退したあとは、いよいよ受験にまい進する時期を迎える。その時に学校が注力するのは、「生徒」を「受験生」にする「切り替え指導」だという。「志望理由書や、受験当日までの長期計画書を作るほかに、大学入学共通テストと同日に行われる外部団体による体験受験に参加します。学年を終了する頃には、受験に向けての意識が固まります」

 ここから本番までの1年間は「切れ目のない」サポートが行われる。高3の初めから大学入学共通テスト直前まで7回の「進学ガイダンス」を行い、時期に応じた勉強のアドバイス、書類の記入方法や受験の心構えなど、さまざまな情報提供やアドバイスを行う。夏休みには3週間の夏期講習があり、高3生向けには70余りの講座が設置される。年末年始も大学入学共通テストや2次試験対策の直前講習、個別指導などを行い、体調管理などのきめ細かいアドバイスがある。「生徒自身も、疑問点はすぐに質問しに来ます。生徒と教員総がかりの受験態勢です」

放課後学習システムやアドバンストクラスで支援

放課後学習支援システム「EMK未来サポート」で学ぶ生徒たち
放課後学習支援システム「EMK未来サポート」で学ぶ生徒たち

 同校は、こうした意識付けの一方、学習の仕組みの面でも次々と改革を実践している。2019年に中学1、2年の学力底上げと意欲向上を目的に導入した放課後学習支援システム「EMK未来サポート」もその一つ。図書館内に用意した自習室「EMK未来館」に123席の個別ブース席と個別指導用の七つのブースを設け、6、7人のチューターを常駐させて生徒の自学をフォローしている。学年ごと、単元ごとの演習プリントも用意され、チューターのアドバイスあるいは生徒の自主判断で取り組むことができる。部活終了の午後5時45分を超えて7時まで利用可能だ。

 「生徒には『いわば勉強のスポーツジム。適切なトレーニングとアドバイスが受け放題なのに、来なければ無意味』と話し、週2回以上の活用を推奨しています。普段は1日100人程度の利用ですが、定期試験前になると室内に入りきれず、一般教室を借りて行うこともあります」

 一方、成績上位者の意欲と学習効率向上を狙って19年度から設置しているのが、成績上位者を集めた「アドバンストクラス(AC)」だ。当時の中3生から年を追って導入し、今年度は中3~高2の各学年に1クラスずつACがある。

 ACの授業について、大友教諭は「進度より深度を重視しているのが特色」と説明する。「計算や解答記入は各自でやる前提で、授業では考え方の講義や生徒同士の議論などを中心に、より深い理解を狙っています」。教室には国公立大や難関私大の過去問資料などを置いているほか、クラス独自の企画として大学在籍中の卒業生に話を聞く会を開いたり、教室で教員とともに難関校のオンラインオープンキャンパスに参加したりと、進学意欲を高める環境づくりを工夫しているという。

 そのAC第1期生は、いよいよ来年度募集の大学入試に臨む。「きっと結果を出してくれると思います」。大友教諭は確信を込めて語った。

 (文・写真:上田大朗 一部写真提供:穎明館中学高等学校)

 穎明館中学高等学校について、さらに詳しく知りたい方は こちら

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