オーストラリア研修に向け、教科横断の学び…金光八尾

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 金光八尾中学校・高等学校(大阪府八尾市)は、2年後に予定する初の中3生オーストラリア研修に備え、英語だけでなく教科横断的な学びを充実させている。海外研修の準備を通して2020年の大学入試改革で求められる「新しい学力」を養成したい考えだ。現在、進められている具体的な学習の取り組みを紹介する。

吸収力旺盛な時期に海外で学ぶ機会を

「語学研修にとどまらない主体的で対話的な深い学びを」と話す玉里教頭
「語学研修にとどまらない主体的で対話的な深い学びを」と話す玉里教頭

 1985年に開校した同校は、「確かな学力」と「豊かな情操」を教育方針に据え、1学年の定員約70人と比較的小規模な面を生かして、きめ細やかな教育に取り組んできた。その結果、京都大、大阪大などの難関国公立大学や関関同立、早慶などの有名私大にも合格者を出して実績が評価されるようになった。

 さらに近年は2020年からの大学入試改革に備え、グローバル社会で求められる新しい学力を伸ばすことに注力している。特に英語教育では英語4技能(聞く・話す・読む・書く)のバランスよい上達を図るため、基礎の反復とアウトプットの徹底に力を入れてきた。

 学習方法を模索する中で、一昨年から外部の体験型英語学習施設を利用し始めたが、生徒たちが生き生きと英語に親しむ様子に気付き、英語科教員たちは「身近な場所でも環境を整えることで、生徒たちは積極的、主体的に英語を使う」と実感したという。

 そこから「中学生という吸収力の旺盛な時期に海外の学びの機会を求めることで、幅広い学びにつながるのではないか」という意見が出され、校内で検討した結果、中3生を対象として2年後の秋にオーストラリア研修を実施することになった。

教科横断的なグループワークに取り組む生徒
教科横断的なグループワークに取り組む生徒

 また、検討過程で英語科担当の玉里章一教頭から「英語中心になりがちな海外研修旅行にもっと幅を持たせることはできないだろうか。日本の文化・歴史への理解やプレゼン能力を高めることで、総合的な力が身に付くのではないか」と提案があり、語学研修にとどまらない幅広い海外研修を実現するためのプロジェクトがスタートした。

 玉里教頭は「大学入試改革を控え、各教科ばらばらの指導では生徒たちに応用力を身に付けさせることに限界を感じていましたが、海外研修プロジェクトを通じた教科横断的なグループワークによって、主体的で対話的な深い学びを実現することが期待できます。思考力や表現力を伸ばせる可能性もあるでしょう」と期待を寄せている。

積極的・主体的にアウトプットする英語

放課後英会話では、生徒自身がテーマを決める
放課後英会話では、生徒自身がテーマを決める

 海外研修に向けて、実際に使える生きた英語を身に付けることが必要となる。そのために同校が行っている取り組みは三つの柱で構成されている。

 一つ目はチームティーチングで行う授業だ。週に1時間、英会話の授業がある。ネイティブスピーカーの教員がメインで指導し、日本人教員は補助を務める。授業中は原則としてオールイングリッシュだ。英会話のテーマには、教科横断的に他教科の学習内容も盛り込んでおり、英会話そのものだけでなく、英会話を通して物事を考えるような構成を取っている。こうした授業を重ねることで以前より英語に苦手意識を持つ生徒が減り、成績も向上してきたという。

 授業以外には「放課後英会話」を実施している。形式は授業と同様にネイティブの教員と日本人教員のチームティーチングだが、学年の枠を取り払った少人数制で、テーマも生徒自身が決めるのが特徴だ。

 英会話の授業が苦手で、自分から積極的に話せなかった生徒も関心のあるテーマを取り上げることで自然に発言が増えるという。これをきっかけに校外の英語スピーチコンテストなどに自主参加し、優秀な成績を収めた生徒も少なくないそうだ。

 二つ目は検定試験への積極的な取り組みだ。校内で年1回、各学年が実用英語技能検定を受検するほか、GTEC(スコア型の英語4技能検定)も中3から高3までの4学年が受験する体制を取っており、新しい大学入試制度の評価基準となる英語4技能への対応を固めている。

 三つ目は、学外での学習機会の積極的な活用だ。校内の授業や補習以外でも英語を積極的、主体的に使ってアウトプットできるようにするのが狙いだ。その一環として2年前から活用するようになったのが体験型英語学習施設「OSAKA ENGLISH VILLAGE(大阪英語村)」(大阪府吹田市)だ。

 この施設では、アメリカの日常や歴史、文化が体験できるように、空港や銀行などのシチュエーションを設定したブースがあり、英語を使ってさまざまなコミュニケーションができる。対象は中学2年生約70人で、夏休み中の2日間、この施設に通ってさまざまなシチュエーションでの英会話に挑戦した。

 昨年、参加した谷真緒さんは「『警察』や『カジノ』『レストラン』などで英語を使ってコミュニケーションしました。1日目は慣れなくて緊張し、言いたいことをうまく伝えられませんでしたが、翌日は耳が慣れてきて、ネイティブスタッフさんの英語も聞き取りやすくなり、自分の英語が通じることに喜びを感じました」と振り返る。

教科横断型のグループワークで準備を重ねる

海外研修に向けて日本の文化・歴史の教育を進めている高崎教諭
海外研修に向けて日本の文化・歴史の教育を進めている高崎教諭

 この英語村での取り組みを振り返ったことが、今回、海外研修を導入するきっかけになった。研修先については、日本から直行便を利用し、7時間程度で行くことができる、時差が少ないので生徒たちの体への負担が少ない、親日的であるなどの理由で、オーストラリアのケアンズに決定している。

 研修の具体的な内容については議論を重ねている最中だが、日本の文化・歴史への理解を深めることが大きな目的の一つとなっていることから「海外研修プロジェクトを成功させるにはまず、生徒たちにしっかり国語力を付けさせることが重要」と国語科の高崎有香教諭は話す。「現地の人たちは日本文化に対して深い興味を持っています。これから情報収集してテーマを決め、それについて紹介、発表できるようにグループワークを実践していきます」

 テーマについては高崎教諭が中心となって教師間で調整を進めているところだが、日本の文化やゲーム、アニメ、同校の地元である八尾の自然などが候補に挙がっている。それらについて社会や理科の知識を応用して生徒たちが調査した成果を現地でプレゼンテーションさせたい考えだ。また、そのためには国語力を磨いて分かりやすい文章を作ったり、数学科教諭のサポートで統計を応用したりすることも必要になってくるという。

 オンラインゲームが趣味という中学2年の中谷颯馬君は、「ヨーロッパやオセアニアはゲームのレベルが高い。海外研修で現地の生徒とゲームについて語り合うことができたら楽しいと思う。それをきっかけに互いの国の文化に目を向け、理解を深めることができたら」と目を輝かせた。

 玉里教頭は「基本的な学習をベースにバランスを取りながらプロジェクトを推進し、将来はグローバル社会に対応できる人材を育てていきたい」と熱っぽく語った。

 (文・写真:櫨本恭子)

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552050 0 金光八尾中学校・高等学校 2019/04/25 05:21:00 2019/04/25 05:21:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/04/20190424-OYT8I50009-T.jpg?type=thumbnail

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