中1からの習熟度別英語授業とグローバル教育…八千代松陰

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 八千代松陰中学校・高等学校(千葉県八千代市)は、中1から始まる習熟度別の英語教育をはじめ、多彩なグローバル教育を推進している。海外姉妹校と提携しての語学研修に加え、今年度からはニュージーランドでの就業体験プログラムも導入した。研修を担当する英語科の田中楓子教諭に同校のグローバル教育の特色について聞くとともに、中学1年生の英語の授業風景を紹介する。

英語は習熟度別授業が入学後すぐに始まる

教員とマンツーマンで行う中学1年生の暗唱テスト
教員とマンツーマンで行う中学1年生の暗唱テスト

 八千代松陰中学校・高等学校は1978年の創立以来、主要5教科すべてに習熟度別クラス「レッスンルーム(LR)」を採用している。特に英語は他教科よりも早く、中学1年の4月中旬に最初のクラス編成を行う。中学に入って初めて英語を習う生徒もいれば、同校の英語入試で入学した生徒もおり、他教科に比べて英語力の個人差が大きいためだ。

 今年度の新入生約230人のうち、実用英語技能検定4級を取得している生徒は70人いる。習熟度別のクラスを早く編成することによって、英語力のある生徒にとってもモチベーションを保ちながら学べるため、LRは良い学習環境となる。

 同校を訪れた6月20日、中1のLR3組では英語のスピーキングテストが行われていた。LR3組は、中学に入学してから本格的に英語の学習を始めた生徒の中で、特に意欲や理解度が高い生徒が集まっている。

 テストはネイティブの教員2人が面談形式で約5分間、生徒の英会話力を試す。あいさつの後、学校生活について少し英語で言葉を交わし、リラックスしたところで、教員が生徒にイラストを見せながら質問する。

 ある生徒は、教員の「How are you?(ご機嫌はいかがですか)」の問いかけに対し、「I’m hungry.(おなかがすいています)」と返答し、照れくさそうに笑った。質問に対して細かく説明しようと努める生徒もいれば、途中でうつむいてしまう生徒もいて反応はさまざまだ。

 テストを終えた生徒に感想を聞くと、「少し失敗してしまいました。でも、入学したばかりの頃に比べれば話せるようになりました。ALT(外国語指導助手)の先生方がゲームを通して英語を楽しく教えてくれるので、使える単語が増えてきて、少しずつ話すことが好きになってきました」と話した。

 英語科の田中楓子教諭によると、このテストの目的は、一つの正解を導くことではなく、生徒の持つ英語力を引き出すことにあるという。この生徒も、入学前は英語が苦手だったというが、「もっとスピーキング力を伸ばしたい」と意欲を見せていた。

 同校では、ICTを活用した授業が展開されている。英語では、スライドや動画を使いながら単語や文法を学んだり、各自が持っている端末を使ってスピーキングを練習したりする。田中教諭が担当している中1の英語の授業では、教諭からの質問はほとんど英語で行われ、生徒たちも次々と英語で答えた。さらに単語や文法の知識の定着を図るため、授業中に15分程度の小テストも実施された。

海外研修は中学生から挑戦できる

海外姉妹校の訪問や短期留学プログラムの企画を担当している田中教諭
海外姉妹校の訪問や短期留学プログラムの企画を担当している田中教諭

 同校は、英語教育だけでなく、広くグローバル教育に力を入れている。そのため、カナダ、ニュージーランド、オーストラリア、韓国の姉妹校をはじめとして、アメリカやイギリス、フィリピン、シンガポールなどさまざまな国の高校、大学、企業などを訪問するプログラムを用意している。

 中学生は、いずれも姉妹校であるカナダの「ケイトアンドリュース高校」(3年次)や、韓国の「培英中学校・高等学校」(1年次から)を訪問するプログラムに参加できる。

 カナダでは11日間の研修期間に、現地の姉妹校でオールイングリッシュの授業に参加したり、カナダの文化、社会を学んだりする。校外でもさまざまな体験学習が行われ、市役所や鉄道などの公共施設の見学もする。

 この研修では学校関係者だけではなく、地区の住民も一体となって八千代松陰の生徒を歓待してくれるという。交流イベントを通して絆が生まれ、生徒の帰国の際に別れを惜しんで涙を流す住民もいるそうだ。

 韓国での研修は、男子生徒だけを対象として7日間行われる。現地も夏休み中のため授業はないが、現地の高校生と英語をベースに交流する。大学やサムスン電子を訪問するプログラムもあり、生徒は最新のVR技術などを見学しながら、ITビジネスの最先端に触れる。

 カナダでの研修を終えた宮崎駿也さん(中3)は、「カナダでは移動に往復100キロくらいかかるのは当たり前で、国土の広さを体感できました。ホストファミリーはとても優しい人たちで、『家族愛は大事だよ』という言葉が心に残りました。今度は1人で外国に行き、英語だけの環境の中でどれだけ自立できるか挑戦したいです」と話す。

 飯村真由さん(中3)は、「インターネットをきっかけに外国の政治や外交に興味を持つようになり、一度海外に行って、日本の社会との違いを知りたい」と思い、同じくカナダでの研修に参加。大自然や人々との交流に感動したという。「これからもっと英語力を伸ばし、外国の人々が大切にしている価値観を、日本との違いを意識しながら学んでみたい」と話す。

 海外研修を経験した生徒たちについて田中教諭は、「多くの生徒は『話すことが楽しくなった』と話してくれますし、『もっと勉強しなくては』と危機感を覚える子もいます。英語の授業に対する姿勢も変わり、ALTの教員に積極的に話しかける生徒も多くなります」という。海外研修は、生徒一人一人の意識や行動を大きく変えているようだ。

新たに海外での就業体験プログラムを導入

校内にはICT環境が整っており、授業ではスライドや動画も活用する
校内にはICT環境が整っており、授業ではスライドや動画も活用する

 同校は、グローバル教育の新しい試みとして、今年度から「ニュージーランド KORU(コル)グローバル人材プログラム」という11日間の就業体験プログラムを導入した。このプログラムは中3から参加できる。「コル」とはマオリ語でシダの新芽のことで、「新しい始まり」を意味するという。

 ニュージーランドのロトルアという地域で、生徒は英会話の研修と就業を両方経験する。就業先は観光農場や幼稚園、デイケアセンター、自然公園と幅広い。農場の手伝いや保育士のサポートなどを通して、英語でのコミュニケーション能力も磨く。海外での就業体験は、将来の働き方や英語の活用について考えるいいチャンスになりそうだ。

 田中教諭は同校のグローバル教育プログラムについて、「日本の多くの生徒は、英語を学校で習う教科、進学するための学びの一つとしてとらえています。しかし、英語は教科である以前に一つの言語です。本校の授業やプログラムをきっかけに、英語がコミュニケーションのツールであること、異文化の人々と通じ合うことが大切であることに気付いてほしいです」と話す。

学校行事や校内セミナーにもグローバル教育の場が充実

 同校は、海外研修以外にもさまざまなグローバル教育の場を設けている。

 昨年度、中学1年生は外国人留学生と、東京湾のお台場を散策する校外学習を実施し、今年度、中学2年生は秋の遠足で留学生と両国(東京都墨田区)を訪れる予定だ。長期休暇中に校内で実施する短期講座「松陰セミナー」でも、英語で科学実験や料理を体験するプログラムなど、英語の応用力を身に付ける講座をさまざまに用意。なかでも国際交流プログラムの「アメリカンキャンプ」は、外国人留学生を招いて2泊3日で行う密度の濃いプログラムだ。

 「本校では、1~2か月に1回の頻度で何かしらの国際交流が行われていますので、海外研修に限らず、学校生活の中で英語に触れる環境が整っています。生徒には、普段から失敗を恐れず英語を学んでほしいと思います」と田中教諭は話す。

 身近なところから海外まで、同校にはさまざまな国際交流の機会がそろっている。関心と少しの勇気を持って踏み出せば、広い世界は目の前だ。

 (文・写真:三井綾子)

 八千代松陰中学校・高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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800003 0 八千代松陰中学校・高等学校 2019/09/19 05:21:00 2019/09/19 05:21:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/09/20190917-OYT8I50011-T.jpg?type=thumbnail

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