生徒の要望に応える巨大「メディアセンター」…恵泉女学園

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 恵泉女学園中学・高等学校(東京都世田谷区)は、約9万冊の蔵書やコンピューター教室を備えた広大な「メディアセンター」を誇っている。柔らかな自然光が差し込む吹き抜け空間に、突き上げるようにそびえるシンボルツリーのガジュマルの下で、生徒たちは学びに集中する時を過ごす。このセンターを拠点として展開されている同校の読書教育や調べ学習を紹介する。

自然光差し込む快適な吹き抜けアトリウム

「メディアセンター」内にそびえるガジュマルの木
「メディアセンター」内にそびえるガジュマルの木

 同校の「メディアセンター」は、2003年に完成し、生徒たちの意見を取り入れながら少しずつ内容を充実させてきた。センターの広さはホームルーム教室の24室分と広大だ。4階までの高い吹き抜け空間を持つアトリウム中央には、3階部分を優に超すガジュマルの巨木が緑の葉を広げている。天井には開閉式スクリーンが設置され、その下のオープンスペースが読書や学習に最適な明るさになるように自然光を調節することができる。

 二つの学習室とオープンスペースを合わせた座席は250席。2クラス分の可動式の机もあり、授業スタイルに合わせて自由に使えるのでアクティブラーニングなどに便利だ。2016年には、生徒の要望が強かった個室ブース型のキャレルデスクを2倍の24席としている。

 蔵書は中・高校図書館としては指折りの約9万冊を誇る。オンラインデータベースを備えた二つのコンピューター教室とともに、活字メディアと電子メディア両方による学習や研究に対応する。このほか、学園の歴史が分かる学園史料室や放送室なども付設している。

 取材に訪れた日は、学習室で中学3年生の理科の「探究実験」が行われていた。6人で班を作り、班ごとに立てた計画に従って実験を行い、そこから導き出した結論についてプレゼンテーションソフトを使って発表する内容だ。

 「食物の抗菌作用」が授業のテーマで、「ニンニクは生でないものをお弁当に入れればいいんだ」「ワサビの抗菌作用は誰か調べたの」など、活発に生徒たちの議論が飛び交う。発表の際には参考文献を明示しなければならない決まりになっている。メディアセンターの豊富な蔵書やデータベースが、こうした調べ学習でものを言う。午前8時の開館から午後5時半の閉館まで、入れ代わり立ち代わり生徒がやってきて、授業や調べ学習などにフル活用しているのだ。

広報から選書・購入、「古本市」まで

学習室では、中3理科「探究実験」の授業が行われていた
学習室では、中3理科「探究実験」の授業が行われていた
プレゼンテーションソフトを使って発表の準備をする生徒たち
プレゼンテーションソフトを使って発表の準備をする生徒たち

 司書教諭の山崎清子教諭によると、メディアセンターの蔵書は年間600冊のペースで増え続けている。10万冊は収容可能な設計だというが、「そろそろ限界ですね。減らしていかないとならないのですが……」と少し困り顔だ。

 メディアセンターの運営をサポートしているのは、生徒による「図書委員会」だ。読書案内の冊子「鍵」や広報誌「ガジュマル」を発行して、メディアセンターや本の情報を全校生徒に伝えるだけでなく、選書と購入をすることもある。

 図書委員たちは年に一度、書店を訪れ、メディアセンターに入れるべき本やあったらよい本を探す。これを「選書ツアー」と呼んでいる。店内で場所を借りて選書の討議をしたり、リストを作成したりして予算内での購入にこぎつける。「いかにバランスよく本を選ぶかを実地で学ぶのです。皆、真剣です」と山崎教諭は話す。

 また、週に1回開いている「リクエスト図書選書会議」では、生徒からのリクエストのあった本を購入するかどうかを決めている。年に2回行っている「リクエストDVD選定会議」には図書委員長・副委員長も参加する。

 このほか、「古本市」という取り組みもある。図書委員会が生徒に呼びかけて自宅にある古本を持ってきてもらい、校内で販売する活動だ。生徒だけでなく、教員や保護者も買うことができ、売れ残った本は古書店に買い取ってもらう。収益は、カンボジアで日本語の本の翻訳などをしている「東南アジア文化支援プロジェクト」という団体に長く寄付している。2011年には「東日本大震災の被災者にも送りたい」と生徒からの申し出があり、国内の災害支援団体などへの寄付を続けている。

 生徒たちの要望や考えに応える施設として発展してきただけに、メディアセンターの利用度は高く、年間200冊以上借りる中学1年生が毎年のようにいて、一晩で読んだ本を朝一番で返しに来る生徒もいるそうだ。

 ある生徒は「調べ学習のたびに来ています。読む習慣が付きました。小学生の時に見学でここに来たとき、広さと本の多さにびっくりして、この学校に入りたいなと思いました。休み時間は雑誌を読んでリラックスもできるんです」と話した。

オリジナル「読書ノート」で関心の幅が広がる

オリジナル教材の「読書ノート」
オリジナル教材の「読書ノート」

 同校にはメディアセンターの蔵書を生かした同校のオリジナル教材がある。中学生を対象としている「読書ノート」だ。リベラルアーツ教育部を中心に、教員たちの推薦を受けて作成した書籍リストの中から1、2年生は年6冊以上、3年生は4冊以上、さらに自由に2冊を読み、「読書ノート」に星の数で表した満足度と感想を記録する。教員が、それぞれの感想に対してコメントを書き込んで返し、それをクラスで掲示している。

 生徒同士で互いのノートを見て本の話ができるので、いい刺激になるし、保護者が本の感想を書く機会も設けているので、本を通じて親子の会話も広がるそうだ。

 リベラルアーツ教育部長の引地桂子教諭によると、リストにはあえてノンフィクションの分野を多く取り入れている。これは、小説などだけでなく多くのジャンルに親しんでほしいからだという。「ノンフィクションを読んで、犬が好きな生徒が犬の殺処分の問題を考えるきっかけになったこともあります。『ニュースに関心を持つようになりました』と話してくれるのは、うれしいことです」と引地教諭は話す。

 「卒業した生徒が、『在校中にもっと借りて読めばよかった。大学では読みたい本が見つからない。今からでも借りられませんか』と言ってくることもあります。メディアセンターに憧れて入学したという生徒だけでなく、卒業後も思い入れの深い生徒がいてくれるのがうれしいです」と山崎教諭は笑顔で語った。

 (文:水無瀬尚 写真:中学受験サポート)

 恵泉女学園中学・高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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527023 0 恵泉女学園中学・高等学校 2019/04/09 05:21:00 2019/04/10 16:42:44 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/04/20190408-OYT8I50065-T.jpg?type=thumbnail

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