高1生から企業へ想像力あふれる提案発表…常翔学園

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 常翔学園中学校・高等学校(大阪市)は1月26日、大阪府門真市の市民文化会館ルミエールホールで企業探究学習発表会「JOSHO CUP 2019」を開催した。高校1年生がチームを作り、1年がかりで企業から与えられた課題に取り組み、練り上げた提案を発表する場だ。校内ナンバーワンを競う生徒たちのユニークなプレゼンテーションぶりを紹介しよう。

1年がかりで練り上げた提案を競い合う

生徒の手作りポスターと企業8社から出された課題
生徒の手作りポスターと企業8社から出された課題

 同校は、実在の企業や社会、人物を題材に、答えのない課題に取り組む「クエストエデュケーション」というアクティブラーニングプログラムに取り組んできた。このプログラムは教育支援業の「教育と探求社」(東京都千代田区)などが提供しているもので、全国140校、約2万5000人の小中高生が参加している。子供たちは1年間かけて研究した成果を、2月に開催される全国大会「クエストカップ 2019」で発表し、競い合う。同校は13年前から企業探究学習に取り組んでおり、クエストカップ全国大会への出場も今回で12年連続となる。

 この日の「JOSHO CUP 2019」は、全国大会への出場を前に1年の学習活動を総括し、校内ナンバーワンを競う大会だ。

 会場の門真市民文化会館ホールの入り口には「常識を打ち破れ!」というスローガンが書かれた生徒の手作りポスターが飾られていた。このポスターには「QUEST CUP」に協賛する企業8社からの課題も示されている。たとえば、「H.I.S.」からの課題は「さあ、冒険の始まりだ! 人類が想像的に発展する未来事業を提案せよ!」、「パナソニック」からは「一人ひとりの幸せと共によりよい社会を実現するパナソニックの新商品を提案せよ!」、「メニコン」からは「新しい時代の“みるよろこび”を生み出すメニコンのプロジェクトを提案せよ!」など。このほかに「クレディセゾン」「大和ハウス工業」「テレビ東京」「富士通」」「良品計画」からの課題もあった。

 高1生は1学期のはじめに全員がそれぞれ企業からの課題を選び、週1回の「探究学習」の時間に、3~5人のチームで研究して企業への提案を練ってきた。2学期の終わりには各クラスで発表会を行い、代表チームを選出。この日は、14のクラス代表と敗者復活戦で選ばれた2チームの計16チームがグランプリを目指して発表を競った。

企業からの出題に高校生らしい新鮮な視点

大ホールの席を埋める高校1年生たち
大ホールの席を埋める高校1年生たち

 会場となった大ホールの1階には約600人の高1生全員がクラス別に座り、2階席では保護者たちが見守っていた。

 北尾元一校長は開会のあいさつで、「本校は、将来、実社会で活躍できる人材を育成することを教育理念として、キャリア教育や答のない問いに取り組む活動にも、いち早く取り組んできました。その一つが、この企業探求学習です」と発表会の意義をあらためて強調した。

 続いてステージ上では、放送部の生徒2人が司会を務め、整列した発表チームを順番に紹介していく。審査員席には、「H.I.S.」「クレディセゾン」「パナソニック」の社員をはじめ、大阪府教育委員会や、ともに学園傘下の大阪工業大学と摂南大学の教授ら校外の有識者たちが居並んでいる。自分たちが選んだ課題を出している企業審査員を前にして、生徒たちは緊張もするし、張り合いもあったことだろう。

 各チームの発表時間は7分。16チームが次々と発表していく。人体冷凍保存の解凍後のサービス、酵素やバクテリアを用いたエコなTシャツ、コンタクトレンズのような目薬、五感に訴えるVR(バーチャルリアリティー)を利用した職業教育システム、ふりかけ状のナノマシーンなど、まだ実用化されていない技術にも着目し、自分たちの生活への応用を高校生らしい新鮮な視点から提案する姿勢が目を引いた。

 2回の休憩を挟んで2時間半にわたる長丁場の発表が終了すると、すぐに審査に入った。調査力、論理性、表現力、独創性、ミッション達成度の5項目について採点し、審議によって授賞チームを決める。優秀賞7チームが選出され、その中からグランプリ、準グランプリ、審査員特別賞が授与された。

 グランプリを獲得したのは、「Eye-s」という題で「メニコン」に新サービスを提案した7組のチームだ。このチームは「みるよろこび」という課題の条件に着目した。コンタクトレンズは視力の良くない人が着けるものという先入観を取り払い、広く一般にアピールできるよう、「1度見たものを記録するコンタクトレンズ」という斬新なアイデアを提案した。

 発表では、このアイデアの有用さを印象付けるためにチームは寸劇を上演した。ひったくり事件に遭った被害者が、このコンタクトレンズを着けていたため、現場の映像が自動的に記録されており、そのデータからスムーズに事件が解決されるという筋立てだ。

 チーム代表の丸山優稀さんは「意見を出し合い、先生からもアドバイスをもらいながら、アイデアを改善していきました。舞台の上では緊張しましたが、グランプリをいただき、うれしいです」と、校内ナンバーワンに輝いた喜びを話した。

 準グランプリと審査員特別賞に輝いたのは中高一貫コースの二つのクラスだった。「パナソニック」への提案で準グランプリを受賞したクラスの山下幸代さんは、「歴代グランプリ受賞作の映像記録を見て参考にしたり、先生の意見を聞いたりしながら作りあげました」と話す。中高一貫コースは6年間担任が持ち上がりなので先生との距離感が近く、何でも相談できる雰囲気なのだそうだ。

 「良品計画」への提案で審査員特別賞を受賞したクラスの細川あずささんは、「私のクラスは個性の強い人が多いんですが、とても仲がいいんです。今回はデータの集め方やまとめ方に苦心しましたが、クラスで一致団結して頑張ることができました」と話した。

斬新なプレゼンテーションに審査員も感動

どのプレゼンテーションにもスライドや効果音の工夫が凝らされていた
どのプレゼンテーションにもスライドや効果音の工夫が凝らされていた
「探究学習で色々なことに挑戦し、創造力をつけてほしい」と語る北尾元一校長
「探究学習で色々なことに挑戦し、創造力をつけてほしい」と語る北尾元一校長

 グランプリのチームだけでなく、どのチームの発表にも共通していたのは、内容を分かりやすく伝えようという姿勢だ。どの発表もパソコンを駆使してスライドに画像や図、イラストを盛り込んだり、BGMや効果音を活用したりして工夫を凝らしていた。中には替え歌、コミカルなダンス、ギャグまで交えた発表まであり、会場が爆笑する一幕もあった。

 生徒たちの力作に接した審査員からも「会社員の発想を超えた若い高校生の想像力に触れ、楽しませてもらった」「一生懸命なプレゼンに胸に熱いものが湧いてきた。斬新なプレゼンが多く感動した」と、称賛の声が上がっていた。

 北尾校長は閉会のあいさつで「正解が一つでない課題を深く考え、情報を取ってきて、お互いのアイデアを評価し合い、認め合い、提案を作り上げ、発表する。こうした企業探究学習は、社会人となって協働するとき役に立つものです。2020年からの新しい大学入試でも知識だけでなく、思考力・判断力・表現力、主体性・多様性・協働性が学力として求められています。この新しい学力を伸ばすため、探求学習でこれからも色々なことに挑戦し、創造力をつけてほしい」と締めくくった。

 なお、2月のクエストカップ全国大会で同校は、本選での入賞は果たせなかったが、予選では「コーポレートアクセス」「自分史」「スモールスタート」の3部門で優秀賞を収めるなど好結果を残した。今後もいっそうのチャレンジに期待したい。

 (文・写真:水崎真智子)

 常翔学園中学校・高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

516748 0 常翔学園中学校・高等学校 2019/04/02 05:21:00 2019/04/09 09:52:32 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/04/20190401-OYT8I50019-T.jpg?type=thumbnail

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