体験が成長を加速させる6年間…田園調布学園

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 田園調布学園中等部・高等部(東京都世田谷区)は、体験を重視した教育活動を積極的に展開している。後ろ向きになりがちな「我」を捨てて一歩を踏み出すことの重要さをうたう建学の精神「捨我精進」がその柱だ。社会で活躍できる女性の育成を目標に実践している「協同探求型授業」や「土曜プログラム」などのユニークな取り組みについて西村弘子校長に聞いた。

一生を支える根っこをつくる教育

社会で活躍できる女性の育成を目指す西村弘子校長
社会で活躍できる女性の育成を目指す西村弘子校長

 ――田園調布学園の教育理念を聞かせてください。

 本校では生徒一人一人が将来社会で輝くために、自分の目標を見つけ、一生を支える根っこをつくる教育を行っています。その根底にあるのは建学の精神である「捨我精進」の実践です。

 初代校長の川村理助が自身の体験から提唱した言葉で、自分本位の我を捨て、目標に向かって努力を続けることの大切さを表しています。自分らしく生きよう、夢に挑戦しようというとき、「恥ずかしい」とか「誰かがやってくれる」とか「私には無理かもしれない」と思う自分が顔を出します。そういう甘えや後ろ向きの気持ちである「我」を捨てて、一歩踏み出すことで自信が湧き、可能性も大きく広がります。私たちはこの建学精神を基盤としながら、生徒が活躍する時代を見据えて教育活動を行っています。

 ――現在、具体的にどういう教育に力を注いでいますか。

 実践や体験を通した学びの重視です。女性の活躍が期待され、活躍の場が広がる中で、社会に求められているのはテストでは測れない非認知的能力です。実体験を通して、強い心をもって地道に取り組み続けること、自分とは異なる考えを受け入れること、自分らしい発想を膨らませること、といった非認知的能力を養い、社会で力を発揮できる女性を育てます。

 本校は2017年度に、教育方針を「ディプロマ・ポリシー」「カリキュラム・ポリシー」「アドミッション・ポリシー」の三つのポリシーとして明文化しました。「体験」を重視した教育活動は、「カリキュラム・ポリシー」の中に「協同探求型授業」や「土曜プログラム」、体験学習・学習体験旅行などの行事として示されており、生徒が学内での活動にとどまらず、外の世界へも積極的に踏み出していくよう後押しすることをうたっています。

体験型の授業が生きたキャリア教育に

 ――授業では「協同探求型授業」を幅広く取り入れていると聞きました。

 授業中に生徒が主体的に活動する機会を増やしたいという考えからです。本校は2002年度から65分授業を導入しているので、時間的にペアワークやグループワークが取り入れやすくなっています。多様な考え方に触れ、解答にたどり着くプロセスを重視する「協同探求型授業」を展開することで、思考がアクティブになり、自分の言葉で表現する力も育ちます。

 2019年度からは高1を対象に、土曜プログラムで「探究」という講座を開始しました。新しい発想を生むデザイン思考やイノベーションにつながるマーケティング、理科や数学や情報の専門テーマ別探究といった中から選択します。こうした体験型の学習を通して自分を知り、社会を知り、職業や生き方を考えていくことが、生きたキャリア教育になると思っています。

 近年、注目されている「STEAM(Science、Technology、Engineering、Art、Mathematics)教育」に示されるように、社会が求める力も変化しています。本校では、一つの教科で得た知識や技術を実際に使って理解を深め、新たな発想につなげる応用力を養うため、多種多様な「教科横断型授業」の充実を図っているところです。たとえば、地学で学んだ宇宙の成り立ちに美術の授業で想像力を加え、ICT機器を活用してプログラミング動画に仕立てたり、力学の理論を基に技術・家庭科でブリッジ作りのコンテストを行い、木工作品の構想に応用したり、物理の実験結果を数学の統計の知識を使って検証したりします。

 入学時には生徒の多くが算数に苦手意識を持っているのですが、高2に進級する時の文理選択では50%近くが理系を選ぶようになります。これは、数学を抽象的な理論としてではなく、具体的なゲームや図書を教材としたり、「教科横断型授業」を通したりして学ぶことで、苦手意識が払しょくされ、さらに理数科目が実際の生活や問題解決にいかに役立つかを生徒たちが実感するからだと考えています。

中1の「コアプログラム」で行われる多摩川両岸のフィールドワーク
中1の「コアプログラム」で行われる多摩川両岸のフィールドワーク
自然の中でのアクティビティーを通して心身を鍛え、仲間との親睦を深める
自然の中でのアクティビティーを通して心身を鍛え、仲間との親睦を深める

 ――「土曜プログラム」というのはどういう学習ですか。

 各学年でテーマを設定している「コアプログラム」と、生徒各自が自由に選択できる約170講座の「マイプログラム」からなる体験学習です。「未来へつなぐ土曜日」として年間15回程度、多様な体験をしています。

 6年間を3期に分けていて、中1を対象とする第1期の「コアプログラム」は、多摩川両岸のフィールドワークや「ユニセフハウス」(東京都港区)の見学、聴覚に障害がある方との手話コミュニケーションなどを通し、視野を広げ、知的好奇心を膨らませます。

 第2期は中2から高1を対象とし、中2では「食」を通して興味・関心を広げ、中3と高1では、卒業生との対話や企業の出前授業、経済同友会の方の講演などからキャリアデザインを考えます。高2、高3の第3期は、小論文の作成や教科横断型の授業などで学びを深め、知を開きます。

 「マイプログラム」は、企業や大学をはじめ、各方面の専門家の協力を得て、文化、語学、スポーツ、科学、環境など幅広い講座を開講しています。生徒は興味・関心に合わせて自由に選択・受講し、意欲的に学びを深めています。

 学習したことをその目で確かめ、新たな課題を発見する「体験学習・学習体験旅行」も行っています。中1、中2は体験から生きる知恵を学ぶ「体験学習」を行います。中1では自然の中でのアクティビティーを通して心身を鍛え、仲間との親睦を深めます。中2では山形県酒田市でファームステイし、農作業体験を通して自然や異なる環境への理解を深めます。中3、高1は「学習体験旅行」です。事前学習をしたうえで、中3では飛鳥・奈良・京都を訪ね、現代につながる歴史・文化を学びます。高1では西九州へ行き、平和、環境、国際関係などの問題を考えます。

中3で行われる「イングリッシュキャンプ」
中3で行われる「イングリッシュキャンプ」

 イングリッシュキャンプや海外研修も多種多様に用意しており、年々参加を希望する生徒が増えています。

体験を通して自分の明確な将来像をつかむ

 ――「体験を通した学び」に期待するものは何ですか。

 さまざまな体験を積極的に生かして、自分の可能性に気付き、伸ばしていくきっかけにしてほしいです。本校生徒の大学進学状況を見ると、推薦入試、AO入試による合格者が増えてきました。体験を通してつかんだ自分の将来像を、志望理由書に明快に記述できていることが評価されているのではないでしょうか。中には東京大学の推薦入試に合格した生徒もいます。

 2018年度からは、中2から高1までの全員が1台ずつタブレット端末(Chromebook)を所持しています。双方向の授業がさらに充実するとともに、ホームルームや生徒会、部活動、校外での活動などの記録を集積して、成果を振り返ることができるようになりました。2020年度までには5学年が所持することになります。積極的に活用してほしいです。

 ――入学を希望する生徒に、どういう姿勢を望みますか。

 中高6年間での心身の成長は著しいものがあります。卒業面談で生徒たちは、10人ほどのグループ別に「今まで」と「これから」を語ります。自分の考えを自分の言葉で真剣に話している姿を見ると、礼法の授業で接していた入学時からの成長ぶりに驚かされます。

 本校を目指すみなさんには、ぜひ土曜プログラムの見学会や文化祭の「なでしこ祭」に来校していただき、「こんなことができるんだ」「たくさんの仲間と出会えそう」「あの授業を受けてみたい」といった期待を胸に入学してもらえるとうれしいです。

 (文・写真:山口俊成 一部写真提供:田園調布学園中等部・高等部)

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