【特集】新しい社会作りへ勇気を持って挑戦できる人物に…田園調布学園

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 田園調布学園中等部・高等部(東京都世田谷区)で今春、清水豊教頭が新たに校長に就任した。教頭として4年間、時代に即した数々の学校改革を実現してきた清水校長に、これからの展望、教育方針、育てたい人物像などを聞いた。

三つのポリシーを策定し、教科横断型授業を充実

「直接体験や対話から始まる思考が大切」と話す清水校長
「直接体験や対話から始まる思考が大切」と話す清水校長

 清水校長は、東京の公立中学の教員として教職の道に入った。その後、神奈川県の私立男子校に移り、学校改革や進学実績の向上に手腕を振るった。2016年4月に田園調布学園に教頭として着任し、ターム留学制度や海外大学の指定校推薦制度の設置などにかかわり、生徒の活躍の場を広げることに力を注いできた。

 ――どのような学校改革を進めてきたのですか。

 まず、本校で過ごす6年間で、生徒にどういう力が身に付くかを明確化する必要があると考え、2017年度に「ディプロマ・ポリシー」「カリキュラム・ポリシー」「アドミッション・ポリシー」という三つのポリシーを策定しました。また、その具体的な目標として学校ルーブリックを定め、これを教科ルーブリック、学年ルーブリックに落とし込んで、各授業などを通して教員と生徒が共有しています。

地学と美術の教科横断型授業を受ける中学3年生
地学と美術の教科横断型授業を受ける中学3年生

 また、65分の授業時間を生かし、さまざまな場面で各自が考え、グループで課題に取り組み、発信する「協同探求型授業」を行ってきました。また、その発展となる「教科横断型授業」では、数学と美術をつなげ、デザイン定規で描く模様を数式で予想する授業を行ったり、地学と美術をつなげて、宇宙の成り立ちを動画に仕立てたりといったように、異なる教科で得た知識を活用して、応用力を養う授業を行っています。教員が試行錯誤しながら、各学年、毎年2、3回は実施できるように充実させてきました。

 また私は以前から、私学には、自分たちの学校は自分たちで作る気概が必要だと考えてきました。特に若い教員たちには10年後、20年後の教育を考え、新しいことにチャレンジしてほしいとお願いしています。教員が、まず新しいことに取り組む姿勢を見せることで、生徒たちに良い影響を与えてほしいと思っています。

直接体験や対話から始まる思考を重視

 新型コロナウイルス感染症の拡大を防ぐための休校期間は、これからの学校のあり方を考える機会でもあると思います。幸い本校は以前から中2以上の生徒全員がクロームブックを活用していますので、オンライン授業などの導入はスムーズに行えていますが、学校に集まって学ぶことの意味をあらためて問う必要があるでしょう。

授業でクロームブックを活用する生徒たち
授業でクロームブックを活用する生徒たち

 今の子供たちはICT(情報通信技術)を活用したプレゼンテーションなどは上手にこなします。その反面、じっくり読むことや深く考えることが、やや苦手であるとも感じます。知識より課題解決の力が重視される時代だからこそ、直接体験することや人との対話から始まる思考を重視し、学校生活の中にその機会をたくさん取り入れてきた本校の取り組みが生きてくるとも考えています。

 そうした取り組みの一つとして、2019年度にスタートしたのが高1の「探究」活動です。本校の「土曜プログラム」のうち、「コアプログラム」を再編したもので、人文科学研究の2コースと自然科学探究で計3コースを設けました。生徒自身が課題を設定し、情報を集め、分析・検証、まとめと表現をして、振り返りをするというサイクルで、探究活動を行います。自ら問いを探すことは簡単ではありませんが、体験や日々の生活から課題を見つけ、仲間と力を合わせてじっくりと考え、主体的に課題解決に取り組むことで、より良い社会の実現につながる手ごたえを得てほしいと願っています。

 ――「土曜プログラム」とは、どのような内容ですか。

「土曜プログラム」でユニセフハウスを見学に訪れた中学1年生
「土曜プログラム」でユニセフハウスを見学に訪れた中学1年生

 「土曜プログラム」には、学年ごとのテーマに沿って行う「コアプログラム」と、生徒が自分の興味・関心に応じて選択する「マイプログラム」があります。「コアプログラム」は6年間を3期に分けて、第1期は中1を対象に視野を広げ、知的好奇心を膨らませます。第2期は中2から高1を対象とし、職業を含めた生き方を考えます。高2・高3の第3期は教科横断型の講座から、知を開きます。

 「マイプログラム」は、「語学・伝統文化・メディア」「総合文化・フィールドワーク」「スポーツ・健康」「科学・技術・環境」「学びの講座・受験講座」という5分野の約170講座から、生徒が自分で選んで受講します。外部講師による講座も多く、社会とのつながりを知ることもできます。また、学年を超えて受講できるため、上級生や下級生からも刺激を得ることができます。

 演劇部で活躍するために、声楽やボイストレーニングの講座を受講した生徒や、医学部進学を希望しているが、自分の意志を確かめるため医療系の講座でカウンセラーや看護師の方の話を聞き、志望動機を固めるきっかけとした生徒など、選択の理由はいろいろです。また、高3の受験期に気分転換を兼ねて運動系の講座を選択する生徒も少なくありません。希望者が多数の場合は抽選になりますが、意外な興味に気付くきっかけにもなっているようです。プログラムは年々増えており、今後もブラッシュアップしていくつもりです。

短期ホームステイをターム留学へ発展させる

 ――国際交流の充実にも取り組んでいると聞いています。

 以前から中3の夏の2週間、希望者がカナダかオーストラリアを選んでいく海外ホームステイはありましたが、それをどう次につなげるかが課題でした。そこで、2017年から高1、高2の希望者を対象に、5~7月に現地の学校で授業を受ける「ニュージーランド・ターム留学」を設け、昨年は10人が参加しました。留学の最大の成果は、日本で常識だと思っていることが、実は当たり前ではないと知ることにあります。

 ターム留学は3か月間も海外で生活するため、その気付きを自分で乗り越える体験ができ、生徒は人間として大きく成長して帰ってきます。留学前は、話すことに戸惑っていた生徒が、帰国後の面談では自分の意見や思いをはきはきと表現するようになります。また、海外大学の指定校推薦もスタートさせ、進路選択の幅を広げました。協定校はアメリカ、カナダ、オーストラリア、イギリスにあり、今年も1人、ボストンにあるリベラルアーツの大学に進学しました。

 ――これからどんな生徒に入学してほしいですか。

 将来に必要な生きる力は、本校の6年間で責任を持って育てます。ですから、アドミッション・ポリシーにある通り「本校での生活や体験を楽しみにしている人」に入学してほしいと思っています。

 初代校長である川村理助が自身の体験の中で気付き、提唱した「捨我精進」を実践していくことが本校の教育方針です。「捨我」とは、今の自分を超えるための挑戦だととらえています。失敗してもいいから、勇気を持って一歩を踏み出し、仲間と力を合わせて、何かを作り上げることにチャレンジしてほしい。その経験をベースに、新しい社会は自分たちが作るという自信を得て巣立ってほしいと願っています。本校はそのための機会をたくさん用意しています。ぜひ楽しみにしてください。

 (文:山口俊成 写真:中学受験サポート 一部写真提供:田園調布学園中等部・高等部)

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1271832 0 田園調布学園中等部・高等部 2020/06/16 05:21:00 2020/10/26 11:22:11 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/06/20200611-OYT8I50033-T.jpg?type=thumbnail

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