オンラインでも学校とつながる安心と深い学びを…近大附属

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 近畿大学附属高等学校・中学校(大阪府東大阪市)は、生徒が1人1台iPadを駆使するICT先進校として、新型コロナウイルス感染拡大に伴う休校期間をオンライン授業でカバーした。この間、同校が重視したのは、単なる学習量の確保ではなく、学校とつながっているという生徒の安心感と、より深い学びの質だったという。具体的な取り組みについて教務部長の志船八郎教諭と、新入生への対応にあたった教務部長補佐の野田由紀子教諭に聞いた。

大事なのは学校とつながっているという安心感

教務部長の志船八郎教諭(左)と教務部長補佐の野田由紀子教諭
教務部長の志船八郎教諭(左)と教務部長補佐の野田由紀子教諭

 同校は、2014年に生徒1人1台のiPadを導入し、その年、高校が日本で初めてのApple Distinguished School(ADS)に認定されるなど先進のICT教育で知られる。18年には3度目となるADSの認定更新を受けている。

 このほかにも学校からの連絡や配布に使われる教育支援ソフト「CYBER CAMPUS」を始め、授業支援ソフト「ロイロノート・スクール」、AI型タブレット教材「キュビナ」や、AIを相手に英会話ができる「テラトーク」など、生徒たちはさまざまなICT教育のツールを日常的に使いこなしているという。また、教員たちも自作の動画授業やオリジナルテキストを蓄積してきた。

 教務部長の志船八郎教諭によると、このICT教育の蓄積によって、新型コロナウイルス対策で3か月余りの休校を余儀なくされた間も、比較的スムーズにオンライン授業に移行できたが、むしろ、同校が重きを置いたのは「登校できなくとも学校とつながっているという生徒の安心感」だったという。

休校中もオンラインで毎朝、ホームルームを実施した
休校中もオンラインで毎朝、ホームルームを実施した

 4月7日の政府の緊急事態宣言を受けて翌8日、全生徒のiPadにビデオ会議システム「Zoom」のアプリを管理システムによって自動ダウンロードさせ、CyberCampusを使って、Zoomの使い方を説明した。さらに9日は朝の8時30分から、各担任がZoom上にミーティングルームを開設してホームルームを実施した。出席を取りながら生徒たちの健康確認を行い、学校からの連絡を伝えたという。以後も毎朝、登校中と同じ8時30分にホームルームを行ったが、これは学校が再開した際に、生活のリズムが崩れないように配慮したからだ。このことは子供の生活習慣を見守る保護者たちにも歓迎されたそうだ。

 オンライン授業のツールとしては主に「ロイロノート」が使われた。生徒は教員が配信した音声や動画付きの教材を学習して、教員のiPadに課題を提出。教員はその課題を評価したり、質問に答えたりする。

教室からオンラインで行われた数学の授業
教室からオンラインで行われた数学の授業

 その際、神経を使ったのが時間割だったという。4月13日から始まったオンライン授業の第1週は、中学2、3年生を対象に午前中の2時間だけ授業を行い、翌週から徐々に1日の授業時間を増やして、5月中旬には1日6、7時間という通学時と同じ時間割にしていった。学年ごとに担任団の教諭が相談し調整したという。

 「本校のICT環境なら理論上は可能ですが、授業が遅れているからといって、いきなり登校時と同じ時間割を詰め込むだけでは、生徒の負担が大きすぎて学びが続かない。ですから、徐々に慣れていけるように十分な配慮をしました」と志船教諭は話す。生徒がタブレット画面を見ている時間が長くなって身体的な負担になることがないよう、授業や課題の内容も工夫したという。

 また、中学の新入生には、いっそう細やかに神経を配ってのスタートとなった。iPadが生徒たちの手元に届いたあと、各種アプリを設定する準備期間を取り、2、3年生に1週間遅れてオンライン授業をスタートした。

 「最初の1週間は朝のホームルームと2時間の授業。それも教科の授業はせず、まずは学校に親しむことからスタートしました」と野田由紀子教諭は話す。その内容は、担任団の自己紹介や、「学校探検」と題した先生たちによる動画での校内案内、そしてiPadの使い方のオリエンテーションなどに充てられた。実際の教科の授業は2週目から取り組んだという。

ICTの活用は、より深い学びに時間を割くため

 同校は「実学教育」と「人格の陶冶(とうや)」を教育目標に掲げている。このことは「知識・技能」に偏らず、「学んだことをどう使うか」「どのように社会や世界と関わり、よりよい人生を送るか」ということを念頭に置いた探究的な学びに反映されている。

 志船教諭は今回の休校期間中の体験を振り返り、「知識・技能」はオンラインでも十分伝えていける手応えを感じたという。授業の単元の進度はむしろオンラインの方が早く進められる面もあったという。そこで今回、オンライン授業でも一部で「学んだことをどう使うか」「どのように社会や世界と関わり、よりよい人生を送るか」という観点に踏み込んだ授業が試みられた。

 同校には医学部や薬学部など医療系大学への進学を目指す「医薬コース」、国公立大学への合格を目指す「英数コースアドバンスト」、近畿大学への進学を目指す「英数コースプログレス」という三つのコースがある。

生徒がオンラインで提出したリポート
生徒がオンラインで提出したリポート

 このうち「医薬コース」の理科の授業で、単元を離れて生徒たちが今、まさに置かれている新型コロナウイルスについての現状を調べ、「医療従事者に対して思うこと」というテーマでリポートを作成する授業を行ったという。

 中学1年生のリポートでは医療従事者に感謝する声がほとんどであったが、中学2年生では「将来の自分だったら何ができるだろう」「今の自分にできることはなんだろう」と、より自分に引きつけた内容になっていたそうだ。

 「タブレットを使うことは目的ではありません。知識と技能の伝達を効率化するためのツールに過ぎません」と志船教諭は語る。「大事なことは生徒が深く考えることです。そして、その考えをまとめられるようにするといった指導には大変時間がかかりますが、本校はそこを大切にしたい。ICTの活用を重視するのは、思考力の前提となる知識と技能を効率的に習得できれば、より深い学びに時間を割けるからです」

 同校は、なかなか終息の気配を見せない新型コロナウイルスだけでなく、酷暑や災害などに備えて、今後もオンラインでの学習方法について工夫を重ねていくという。

 (文・写真:水崎真智子 一部写真提供:近畿大学附属高等学校・中学校)

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1348450 0 近畿大学附属高等学校・中学校 2020/07/22 05:21:00 2020/07/22 05:21:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/07/20200717-OYT8I50041-T.jpg?type=thumbnail

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