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【特集】ロボットでつながった世界大会と大学進学…追手門学院大手前

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 グローバルサイエンス教育に取り組む追手門学院大手前中学校・高等学校(大阪市)で、ロボットサイエンス部の部員たちが国際大会に6年連続出場する活躍を見せている。同校は、仲間とともに粘り強くロボット製作に打ち込んだ成果ととらえ、こうした学習姿勢を持った受験生を支援する意味で昨年度、「WIL(ウィル)入試」を実施した。今春卒業した部員の話と、今年度も実施予定のWIL入試について紹介する。

部活で自分の「伝える力」に気付き、AO入試で合格

ロボット・プログラミング教育推進室の福田哲也室長
ロボット・プログラミング教育推進室の福田哲也室長

 同校のロボットサイエンス部は2014年に創部された。顧問で、ロボット・プログラミング教育推進室の福田哲也室長の指導を受けて、その年の国際ロボットコンテスト「ワールド・ロボット・オリンピアード(WRO)」のロシア国際大会に日本代表として出場。17年のコスタリカ国際大会では銅メダル、18年のタイ国際大会では世界5位など、6回連続で国際大会に進出し、輝かしい成績を残している。

 現在の部員は中学生53人、高校生24人で、主にレゴ・マインドストームを使って、SDGsをテーマにしたさまざまな社会課題を解決するロボットの開発に挑んでいるという。昨年7月、ロボットサイエンス教育の場であるラボ&ファクトリー棟「テックラボ」が完成し、ここを拠点にますます活発な活動を繰り広げている。

 部員たちは通常2人から5人でチームを作り、生徒同士話し合って活動計画を立てるという。福田室長は進捗(しんちょく)を確認しているが、活動内容は生徒の主体性に任せているという。ただ、宿題をする、遅刻をしないなど学校生活をきちんとできることが部活動に参加する前提条件になっている。「ロボットサイエンス部はあくまでも部活動。学生の本分は勉強ですから」

ロボットサイエンス部の1期生の岩田美灯さん
ロボットサイエンス部の1期生の岩田美灯さん

 このラボで7月10日、ロボットサイエンス部の1期生で今春、慶応大学法学部に進学した岩田美灯(はるひ)さんに話を聞いた。

 岩田さんは2014年に中学へ入学した直後にロボットサイエンス部に入部し、その年のロシア国際大会に出場した。中学2年時には15年のカタール国際大会、さらに翌年のインド国際大会、高校2年時のタイ国際大会へ、いずれもチームリーダーとして出場している。

 岩田さんによると、ロボット大会はチームで取り組むものだという。プログラミングやデザインが得意な生徒だけでなく、プレゼンテーションや進捗管理などマネジメントをする生徒も欠かせない。「プログラムができないからとロボットの世界で尻込みするのはとても残念。ぜひ挑戦してください」と岩田さんは話す。

 岩田さん自身はマネジメントを中心に部で活躍し、「自分の強みは伝える力」と考えたという。「世界に出ていく人たちを応援したいと大学は法学部を選びました。ロボットサイエンス部での経験をAO入試でアピールして合格をいただきました」

「ロボットづくりを通して輝く生徒がいる」

2018WRO国際大会で食品ロス削減ロボットの発表をする岩田さん(右)たち
2018WRO国際大会で食品ロス削減ロボットの発表をする岩田さん(右)たち

 福田室長も「プログラミングはロボットサイエンス教育の一部でしかありません」と話す。「岩田さんは国際大会に向けて英語のプレゼンテーションを磨いていきました。初めての海外大会は行きの飛行機の中でも、宿泊したホテルでも、ずっと英語のプレゼンの練習をしていました。生徒にとって楽ではないけれど、目標があるからできることなのです」

 また、ロボットサイエンス教育は生徒の個性を伸ばす教育だという。「自分の思う通りに動かすのに必要と分かれば、独力でRuby(ルビー)やPython(パイソン)を学ぶ中学生もいます。工学部の大学生や社会人のエンジニアが使うプログラム言語を中学生ができるからすごいのではなく、夢中になるものを見つけたら粘り強く挑んでいくこと、学校の教科の枠を超えて伸びていくことがすごいのであって、そこがロボットサイエンス教育の魅力です。大切なことは、生徒の心に火を付けることです」

 福田室長は、2003年にNASAの教育基金を利用した教育プロジェクトの中で、NASAの技術者も最初はレゴを使ってデザインを考えると聞き、前職の奈良教育大学附属中学校でロボットサイエンス教育に取り組み始めた。13年に追手門学院大手前に移ると同時に、同校でもロボットプログラミング教育を正規の授業に取り入れ、展開してきた。

 福田室長がロボット教育を続けるのは「ロボットづくりを通して輝く生徒がいるからです」と語る。「逡巡(しゅんじゅん)して自分自身を定められずにいる子が、ロボットと出会うことで見違えるように自己表現したり、コミュニケーションの苦手な生徒が、小学生向けのロボット教室で生き生きと教えたりする姿を多々見てきました。面白いことに、ロボットに夢中になると勉強への意欲も高まります。しつこくやり抜く力が備わるからです。ロボット教育はまさに人づくりなのです」

他者と協力しながら取り組む姿勢を評価する新入試

2021年度に向けてWIL入試を準備する入試科の教諭たち
2021年度に向けてWIL入試を準備する入試科の教諭たち

 入試広報部の前田(いく)教諭によると、岩田さんのほかにもロボットサイエンス部の1期生は今春、自身が望む学問分野を学ぶことのできる大学へと進学を果たしているという。筑波大学理工学群に入学した多田遥香(はるか)さんは、中学入学後、ロボットプログラミングに興味を持ち、高校2年時には多田さんがリーダーを務めて、アメリカで開催されたFLL(ファーストレゴリーグ)世界大会で総合優勝している。

 「本校での中高6年間を通じ、仲間とともに粘り強く目の前の課題と向き合った結果だと思います。こうした生徒たちをもっと応援したい気持ちから生まれたのがWIL入試です」

 昨年導入されたWIL入試は、教科テストによる選考ではなく、他者と協力しながら意欲的に取り組む姿勢を評価する新しい入試方式だ。身近な課題の解決についての作文と個人面接で評価する1期入試と、ロボットプログラミングのグループワークと個人面接で評価する2期入試がある。WILは「Work Is Learning」の頭文字であり、「行動を通じて学習を行う、すぐに実践に反映する経験を積み重ねる学び」を指すという。「入学後、リーダーシップを発揮して学びに取り組んでいこうという生徒を求めています」と前田教諭は入試の狙いを話す。

 「中学受験に特化した備えはしていないけれども学校の勉強はしっかり取り組んでいる、あるいは適性検査の対策しかしていない受験生であっても、ぜひ挑戦してほしいですね。ロボットには関心があるけれど、教室に通ったこともないし、触ったこともない受験生も臆することなく挑戦してほしいです」

 なお、WIL入試には受験するための条件がある。1期は学習会への参加とプレテストの受験、2期はロボットワークショップへの参加が必要だ。昨年は10月から12月にかけて学習会やプレテスト、ワークショップが行われており、今年も新型コロナウイルス感染症の対策を行いつつ学習会などを実施する予定だ。

 コロナの終息しない今の状況下で、入試関連の日程も不安定を免れない。21年度入試については学校の公式サイトでの告知をしっかり確認したい。

 (文・写真:水崎真智子 一部写真提供:追手門学院大手前中学校・高等学校)

 追手門学院大手前中学校・高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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1601613 0 追手門学院大手前中学校・高等学校 2020/11/09 05:01:00 2020/11/09 05:01:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/11/20201104-OYT8I50035-T.jpg?type=thumbnail

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