新たな学びに挑戦「まじめな学校」のその先へ…金蘭千里

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 金蘭千里中学校・高等学校(大阪府吹田市)は、生徒たちに未来を生きる力を身に付けさせる「新しい学力」作りに取り組んでいる。半世紀以上続く毎日の「20分テスト」など厳しい学習指導で知られる同校は、「まじめ」な進学校をもって任じているが、そのイメージを乗り越え、時代の変化に柔軟に対応する試みだ。その内容や狙い、変わる大学入試への対応などについて、進路指導を担当する川野貴志教諭と渡辺徹教諭に聞いた。

テストはまるで「1000本ノック」

 ――金蘭千里と言えば毎日の20分テストが有名ですね。

定期テストがない代わりに毎朝20分テストが行われる
定期テストがない代わりに毎朝20分テストが行われる

 川野教諭(以下、敬称略) 本校には中間・期末といった定期テストがありません。その代わりに毎朝の20分テストを1965年の創立以来54年間、続けてきました。毎朝1教科ずつ、1週間で5教科。直近5~6時間分の復習テストになっており、定期テストを分割したものと考えていただいていいと思います。

 よく「それは、小テストではないか」と誤解されますが、違いは密度の濃さです。英語であれば長文読解、私が担当する国語でも大型の論述問題を設けることがあります。学校説明会などで保護者の方にお見せすると、問題量の多さとレベルの高さに驚かれます。「このテストを20分間で行うのですか」との声もよく耳にしますが、本校の生徒たちは毎日こなしています。慣れないうちは苦労するようですが、学校生活の一部として日課になると日々のテスト勉強も習慣になり、情報処理力や思考力、知的体力が付いてきます。毎日のこのテストに実力テストも含めると、6年間で約1000回テストを受ける計算になります。私自身は、生徒にこれを「1000本ノック」と言っています。

 ――学校のイメージも「1000本ノック」に代表されるような「まじめ」という印象を受けます。

「将来、リーダーシップを取れる人に成長してほしい」と話す川野教諭
「将来、リーダーシップを取れる人に成長してほしい」と話す川野教諭

 川野 確かに本校は、学習指導が厳しく、クラブ活動の優先度が高くないことから「まじめ」な学校のイメージが定着していました。しかし、速いスピードで変化しつつある現代社会に対応し、未来を生きる力を身に付けるには「まじめさ」だけでは不十分です。来年の大学入学共通テストをはじめとする教育改革も間近に迫っています。

 ――新しい大学入試では「思考力・判断力・表現力」などが問われますが、どのように対応しますか。

 川野 本校の真面目に頑張るスタイルを今の時代にどうフィットさせるかを考え、新しい学力観に適合させるために、まず「思考力」を広げることに着目しました。

 具体的にはプレゼンテーションの全国大会参加を目標に、「企業探求コース」の授業を設け、実在の企業の協力のもと、新製品の開発をテーマに生徒たちがアイデアを出し合うなどします。1年かけて議論を重ね、最終的にはその企業に向けてプレゼンテーションをします。このような取り組みによって、生徒たちは社会に目を向けるようになり、場数を踏むことで他者からの評価を受け止めることにも慣れ、「判断力・表現力」も磨かれていくと考えます。

 我々教員は、生徒たちが若者らしくアクティブに活動する姿を見守るとともに、大胆な発想力や独創性の育成に取り組んでいるところです。将来は社会でリーダーシップを取れるような人に成長してくれることを期待しています。

生徒一人一人にとことん向き合って進学指導

 ――難関国公立大でも採用され始めている「新傾向入試」についてはどう考えますか。

全教室が南面からの採光になっている校舎
全教室が南面からの採光になっている校舎

 川野 京都大の「特色入試」、大阪大の「世界適塾入試」、神戸大の「『志』特別入試」と、大学によって呼称はさまざまですが、内容はすべてAO入試です。推薦入試と言っても国公立大の場合、大学が求める条件を満たしており、学校長の推薦を得なければなりません。さらに、私立大に比べて募集人員がかなり少なく、センター試験の成績評価や面接による口頭試問が行われるところも少なくありません。従って、一般試験と同等以上の狭き門と言ってもいいのですが、本校では今年、大学に進学した182人中12人がAO及び推薦入試で合格しています。

 渡辺教諭(同) 京都大農学部や大阪大法学部、神戸大国際人間科学部など幅広い学部に合格しており、福井大と島根大の医学部医学科にもそれぞれ1人が推薦入試で合格しました。こうした「新傾向入試」では、志望理由書(自己推薦書)の提出が義務付けられていることが多く、この内容の充実度が次のステップに進むカギを握っていると思われます。受験生本人が自分の強みに気付いていないこともありますので、教師がまず見極め、引き出してあげることが最初の一歩です。そうして本人と二人三脚で根気よく、合格に向けて歩んでいきます。

 ――どうやって生徒一人一人の志望理由や適性を見極めるのですか。

 渡辺 例えば「大学に入学してからどんな研究をしたいか」について、とことん生徒と話し合います。神戸大工学部情報知能工学科にAO入試で合格した生徒の場合、車の自動運転に興味があるということでしたが、大学の研究にふさわしいレベルにまで深く掘り下げる必要がありました。そこで、私も生徒と一緒に専門分野を調べる日々が続きました。その結果、「高精度三次元地図に関するAIのシステム開発」に志望テーマを絞ることができ、推敲(すいこう)を重ねながら研究計画を仕上げ、模擬面接を行う日々を過ごしました。

 一方、大阪大文学部に合格を果たした生徒は歴史に興味があったのですが、歴史の何に興味があるのか漠然としていましたのでマンツーマンで指導し、「江戸時代の都市インフラ(上下水道)」というユニークな研究テーマにたどり着きました。

 川野 もちろんAO入試や推薦入試の生徒だけではなく、一般入試を受験する生徒への個別指導も校長から教頭をはじめ、全教員であたります。センター試験で得点が思わしくなかった生徒も、個別指導が功を奏してか、2次試験あるいは推薦・AO入試の面接や小論文で見事、“逆転勝ち”したケースも少なくありません。

 ――医学部医学科への進学実績も注目されていますね。

医学科に特化した面接・小論文指導をしている渡辺教諭
医学科に特化した面接・小論文指導をしている渡辺教諭

 渡辺 特に国公立大医学部医学科に現役合格するには、まず高い学力が不可欠です。その力を身に付けさせる学習体制は「20分テスト」をはじめ、さまざまなカリキュラムがありますが、医学科に進学を希望する生徒には、特に個人的な面接・小論文指導が必要です。現代文の教員である私が、8年前から「医学科進学コーチング」も担当しています。

 医学科の面接・小論文は他の学部・学科とは一線を画しており、ある意味で特殊です。答えではなく、考え方を身に付けさせることが求められるのです。志望理由から理想の医師像、医療倫理、医療政策、医療社会学まで可能な限り幅広いテーマに触れさせます。根幹となる考え方を熟成させることができれば、あらゆる角度からの問いに対して、医師を目指す者としての覚悟を伝えることができるようになります。

 8年以上、医学科に特化した受験指導を行っているので、生徒だけでは対応できないイレギュラーな事態に直面した時でもサポートが可能です。それでも毎年いろんなドラマがあります。

「6年後のリベンジができる学校」

 ――中学受験を予定している小学生と保護者に、学校選びのアドバイスを。

 渡辺 6年後の自分を視野に入れ、「向上したい」「自分を高めたい」という志を持つことが大切です。そのためには「自分の力が伸びる学校」を選んでほしいです。また、第1志望に向かって努力することは良いことですが、努力しても届かなかった時は中学受験自体をあきらめるのではなく、第2志望を考えておくことが重要だと思います。

 本校は、入学時の偏差値は高過ぎず、超難関校に比べると入りやすい学校だと思いますが、6年後の大学進学実績では高い評価を得ています。つまりお買い得な学校だと言えるでしょう。ぜひ、「6年後のリベンジができる学校」として、選択肢の一つに入れていただけることを願っています。

 (文・写真:櫨本恭子)

 金蘭千里中学校・高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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673746 0 金蘭千里中学校・高等学校 2019/07/08 05:21:00 2019/07/09 09:59:53 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/07/20190704-OYT8I50010-T.jpg?type=thumbnail

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