【特集】手厚い個別指導から「自立する力」が育つ…金蘭千里

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 金蘭千里中学校・高等学校(大阪府吹田市)を卒業した元気な男子大学生4人が、母校を訪れ、恩師たちと顔を合わせた。共学にもかかわらず“女子校”のイメージを持たれがちだというが、男子生徒も勉強に部活に、個性豊かで生き生きした学校生活を楽しんでいる。中村聡太教頭と在学中に4人の個別指導などを担当した渡辺徹先生を相手に、4人は学校生活の思い出や将来の夢を語り合った。

少人数制でこつこつ勉強できる

サッカー場が2面取れる広大なグラウンドを背に立つ4人の卒業生
サッカー場が2面取れる広大なグラウンドを背に立つ4人の卒業生

 母校を訪れたのは、2016年に卒業し、現在、東京大学法学部3年生の黒松育也君と、同じ年に卒業した滋賀医科大学医学部医学科6回生の山本遼君、その弟で、今春卒業したばかりの同大医学部医学科1回生の山本洵君、それに昨年卒業した奈良教育大学教育学部の光長孝治朗君の4人だ。

 ――まず、どうして中学受験で金蘭千里を選んだのですか。

 黒松君 自分は怠けるタイプなので、こつこつ勉強できる学校と聞いて金蘭千里を選びました。それに僕はヴィッセル神戸のジュニアユースに所属していたんですが、金蘭千里のカリキュラムを見て、勉強とサッカーを両立できそうだとも思いました。

 光長君 一番引かれたのは、少人数という点です。先生がしっかり勉強を見てくれそうだし、カリキュラムも自分に合っていると感じました。それと、僕は友人を作りにくいタイプなので、大人数にもまれない、こぢんまりとした学校が良かった。

 ――部活動などはどうでしたか。

 黒松君 ヴィッセルは中学までで、高校からサッカー部に入部しました。当時はあまり強くなかったのですが、逆に自分たちで強いチームへと作り上げていくのが楽しかった。自分のサッカー人生で一番楽しかった時期かなと思います。

 サッカーと言えば部活のほかに、校内大会も思い出深いです。校内大会が近づくと、クラスで試合の戦略を練ったりするのが楽しかった。

 山本遼君 確かに校内大会は燃えたね。高1の時は黒松君のクラスに勝って、「奇跡だ」と言われたものです。僕は高1までテニス部で、あとは帰宅部でしたが、授業でやるサッカーは楽しかった。技術的には下手でも、クラスメートと楽しみながらやれた。

 山本洵君 僕は、小学生の時からサッカーをやっていたので、中学ではもういいかなと思い、父親がやっていたという卓球部に入りました。練習は週2回とゆるやかだったので、勉強にも集中できました。

 渡辺先生 黒松君らの頃は、校内大会は男子のサッカーと女子のバレーボールだけでした。部活も男子はサッカーとテニスしかなかったよね。部活動の数が一気に増えたのは君たちが卒業したあとだ。 

光長君
光長君

 光長君 そうですね。部活動の種類が増えたのは僕が中2の時で、陸上競技かバスケか茶道部に入ろうと思っていました。

 渡辺先生 どうして茶道部も? 

 光長君 茶道部ならお菓子が食べられるじゃないですか。迷ったんですが体を動かさないといけないと思って、陸上競技部に。できたばかりの部で、初めはベストよりベターを続けるだけで精いっぱいという感じでしたが、高1の冬に改革に乗り出し、一からみんなで練習メニューを考えて、それぞれ記録を伸ばした思い出があります。

 ――それぞれが進んだ大学は、どういう動機で選びましたか。

黒松君
黒松君

 黒松君 東大を目指したのは、どうせ進学するならナンバーワンの大学がいいと思ったからです。3浪しましたが、文科1類という第1志望を貫くことができました。浪人中は予備校に行かず、自宅で受験勉強しました。兄と姉も浪人して目指す大学に入りましたし、自分もいつかは東大に行けるだろうと、ゆったり考えていました。

 光長君 僕は進路が決まらなくて、高2の夏から担任の先生方と6者面談をしました。進路が固まるまで3か月間話し合ったんですが、その時に、先生から部活での後輩指導や面倒見の良さを褒められたことや、体育教師という選択肢を教えてもらったことから、教育学部保健体育専修中学教育履修分野に進みました。

 山本遼君 僕はあることがきっかけでした。今と違って当時は学生服に制帽だったんです。その格好で下校中、小学生2人組に「あっ警察官の人」とふざけて呼びかけられ、それをきっかけに30分ほど話をしました。そのとき、子供たちの目の輝きを見て、こういう子供たちの未来とか希望を支えられる人になりたいと、高1の時に小児科医を目指して医学部医学科へ進む決心をしました。

 山本洵君 同じ医学部医学科ですが、兄にならったのではありません。受験を決めたのは、中2の頃に将来の夢を語る友人を見て、「いいな、じゃあ、この夢を支えようじゃないか」と思ったからです。自分には夢がなくても、夢を追う人を支えるのは楽しい、その健康を支えたいと思いました。

毎朝の「20分テスト」が勉強の基礎を作る

 ――金蘭千里の学習指導や学校生活で、受験やその後に役立ったことは。

 山本遼君 やはり20分テストですね。毎日たんたんとこなしている感じでしたが、今の勉強のやり方の基礎になっています。大学にはもちろん20分テストはなくて、初めて定期試験の勉強をしたんですが、試験が終わったら忘れ去ってることのほうが多い。毎日こつこつやることが効率の良い勉強法なんだと、改めて感じました。

 山本洵君 卒業してから自分の机を整理していたら、20分テスト用のノートが20冊くらい出てきました。

「個別指導では自主性を重んじることを意識していました」と話す中村教頭
「個別指導では自主性を重んじることを意識していました」と話す中村教頭

 中村教頭 それはテストの復習ノートということ? 

 山本洵君 そうじゃなくて、試験範囲の問題をまとめた専用ノートで、20分テストを受ける前に全部勉強し直すんです。中1の時から6年間続けていました。こつこつとよく勉強していたなと改めて気付かされました。

 同校の「20分テスト」は、1965年の創立以来、半世紀以上続く名物。中間・期末といった定期テストを行わず、代わりに密度の濃い20分テストを毎朝1教科行う。また、1クラス30人程度という少人数制を生かした、手厚い「個別指導」も同校の特長だ。

現役生にも浪人生にも丁寧な個別指導

山本洵君
山本洵君

 山本洵君 受験対策の個別指導は6年間、もっぱら渡辺先生にお願いしました。先生は、僕の実力を見た上で、いきなり滋賀医科大でなく他大の入試問題で基本やポイントを学ばせ、それから実際の過去問に取り組ませるという指導をしてくれました。昼休みの時間を全部使ってもらうこともありました。

 渡辺先生 そうだったね。昼休みに彼の個別指導がある時は、2人指導する余裕はないので、最初から彼1人しか予定に入れませんでした。

山本遼君
山本遼君

 山本遼君 僕は、担任の物理の先生が出した40枚2000問のプリント課題を思い出します。毎日4問くらい解いてノートを提出するのですが、絶対1日で先生からノートが返ってきました。これを高2、高3とほぼ毎日、1500問くらいやったので、すごい力になりました。

 渡辺先生 2人とも指導したけれど、兄弟でタイプは全然違ったね。遼君は、典型的な解答を教えると、それを吸収して他の問題も類推するタイプだったけれど、洵君は、解答に納得いかないと一歩も動かないタイプ。10年ほど医学部の個人指導をしていますが、どちらもすごい兄弟です。

 光長君 僕は保健体育専修なので、放課後に2次の実技試験のための指導をしてもらいました。マット運動や鉄棒の技を一人で練習したら、けがをするかもしれないと、現役の時だけでなく浪人中も先生がつきっきりで指導してくれました。

浪人中も個別指導を受けたテーブルで話し合う黒松君(右)と中村教頭
浪人中も個別指導を受けたテーブルで話し合う黒松君(右)と中村教頭

 黒松君 浪人中は自宅で勉強していたので、度々学校を訪問し、先生に個別指導をしてもらえたのが本当に助かりました。3浪の年も月に1度くらい個別指導していただき、それが僕の予備校でした。2浪の時は勉強方針がずれていたことに気付かなかったのですが、3浪目にご指導によってそれを修正でき、合格することができました。

 中村教頭 渡辺先生も私も、彼らの現役時代はもちろん、浪人中も個別対応で指導をしました。その際、必ず彼ら自身に考えさせることと、自主性を重んじることを意識していました。単に答えを教えるのではなく、自分で考え、その答えに至るまで議論し、何度も深く学ぶ。それが自立する力を育てるのであり、手厚い個別指導によってこそ可能になるのではないかと感じています。

 ――これから金蘭千里を目指す未来の後輩に一言アドバイスを。

 黒松君 自分で勉強のペースを作るのに不安がある人は、金蘭千里で勉強するのがいいと思います。先生方との距離が近くて質問もしに行きやすいし、毎日の20分テストが学力のベースを作ってくれる。塾に行く必要が全くないぐらいの学校だと思います。

 光長君 部活と勉強のバランスを考えることです。勉強がおろそかになるから部活をやめるというのは間違い。バランスが良ければどちらのレベルも上がり、第1志望にも合格できると思います。

 山本遼君 20分テストだけはしっかりやってほしい。思い返して、その勉強が本当に自分の基礎のすべてでしたから。後は中学、高校生活を楽しんだらいいと思います。

 山本洵君 金蘭千里の男子は仲がいいんですよ。僕もいい友達ができました。この学校でいい友達と出会ってください。

 4人の座談の司会役を務めた渡辺先生は最後に、「彼らの話を聞きながら改めて、金蘭千里の魅力は、高校入試がない6年一貫、少人数、個別対応での教育だと実感しました」と語った。中村教頭も語ったように「手厚い個別指導」こそが同校の持ち味に違いない。

 現在、新型コロナウイルスの流行によって教育界も前例のない対応を迫られており、同校でも3月からiPadを使ったオンライン授業の取り組みを始めた。知恵を集めて、この教育空間を守り、4人の卒業生のような個性ある人物を育てていってほしい。

 (文・写真:時岡伸行)

 金蘭千里中学校・高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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1232038 0 金蘭千里中学校・高等学校 2020/05/25 05:21:00 2020/10/27 10:12:24 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/05/20200520-OYT8I50040-T.jpg?type=thumbnail

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