【特集】「自ら進んで学ぶ」姿勢を育てるための土台教育…神戸海星

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 神戸海星女子学院中学校・高等学校(神戸市)は、中1・中2の時期に英語、数学、国語を中心に徹底した基礎学力の養成を行う。「興味をもって学ぶ、自ら進んで学ぶ」姿勢を育てるための土台作りが狙いだといい、教科の学習では小テストと宿題の提出を徹底して授業内容を確実に身に付けさせていく。中1・中2の英語、数学について、担当教諭らから具体的な指導内容や教育効果を取材した。

基礎を身に付けて英語の楽しさに目覚める

「ついてこられない生徒が出ないよう丁寧に指導しています」と話す正井教諭
「ついてこられない生徒が出ないよう丁寧に指導しています」と話す正井教諭

 同校は中高6年間を中1・中2、中3・高1、高2・高3の3段階に分け、中1・中2は「基礎学力・学習習慣をつける」時期、中3・高1は「高校の学習内容の基礎をつくる」時期、高2・高3は「自らの進路を視野に応用力をつける」時期と位置付けている。

 「本校が目指しているのは、『興味をもって学ぶ、自ら進んで学ぶ』生徒の姿勢を育てることです。しかし、そうした姿勢が育つのは、反復練習を通して作り上げた学びの土台があってのことです」と教務部長の廣瀬勝美教諭は語る。「この意味で、中高6年一貫教育の中でも特に中1・中2の時期の学びには、力を入れて慎重に行っています」

 主要5教科の中でも、英語、数学、国語の指導は徹底しているといい、毎日の宿題や小テストを通して、授業で学習した内容を確実に身に付けるように指導している。

 特に英語教育は、カトリック校である同校が伝統的に力を注いできたものだ。教科書には難度の高いことで知られる「PROGRESS IN ENGLISH」を採用している。中学3年間に習得する英単語は、公立中学校で約1200語なのに対して、約3000語となっており、その学習にはかなりのエネルギーが必要だと言える。

 英語科の正井陽子教諭は「週5時間、毎日授業があるので、ついてこられない生徒が出ないよう丁寧に指導しています」と言う。英語の授業では、レッスンごとに小テストが行われる。8割以上得点できなかった生徒には再テストがあり、それでも8割を得点できなかった生徒には再々テストや補習を受けさせるという徹底ぶりだ。また、定期テストの前にも希望者への補習を行っており、多い時にはクラスの3分の1くらいの生徒が受講するという。さらに、定期テストの後には、成績から判断して全体の3分の1の生徒に指名で補習を行うことになっている。

 宿題が多いのも特徴だ。「毎日1、2枚のプリントを出します。文法・会話文の問題や、英文を書き写して日本語訳を書く課題など、生徒の様子を見ながら作っています」と正井教諭は話す。宿題を提出しなかった生徒には「出さなかったら私と一緒に居残りしようか」と言って奮い立たせることもあるという。生徒にはノートパソコンが1人1台配付されており、音声アプリで教科書の内容を繰り返し聞いてから英文を書くという宿題も課している。

 こうした厳しい指導を通して英語の面白さに目覚め、自ら興味を持って学ぼうとし始める生徒も多いという。もちろん、英語に親しみを持たせるような工夫も行っていて、授業中に電子黒板に映した動画を見たり、洋楽を聞いたりという時間も設けているそうだ。「私が一方的に教えるよりも、生徒はペアワークが好きですね。互いに教え合ったり、いいところをまねしたりする中で、英語が楽しいと感じてくれる生徒も増えてきています」

小テストと宿題提出で学習スタイルが身に付く

「数学だけでなく、どの教科でも日々の課題をしっかりやることが大切です」と話す中島教諭
「数学だけでなく、どの教科でも日々の課題をしっかりやることが大切です」と話す中島教諭

 数学も英語同様、中1・中2では毎週5時間の授業がある。代数分野が3時間、幾何分野が2時間の割合だ。数学科の中島豊教諭は「毎日の宿題や小テストを通して、基礎学力を養い、家庭学習の習慣が身に付くように指導しています」と言う。

 数学では単元ごとに小テストを行い、得点が7割未満の生徒には昼休みや放課後に再テストを課している。また、毎日の宿題では、「しっかり途中式を書くこと、きっちり期日を守ること」を中島教諭は重視しているという。「提出しない生徒には、担任の先生や保護者とも連携し、とことん追いかけます」と、その指導に手加減はない。「宿題でやった問題と、テストで出される問題が似ていると気付き始めると得点につながります。数学だけでなく、どの教科でも日々の課題をしっかりやることが大切です」

 徹底指導の結果、中2になる頃には、それぞれの学習スタイルが身に付く。多くの生徒は自分なりのノートを作れるまでになるという。ただ、中学からの数学は、算数に比べて抽象度が高い。公式の意味を理解しないまま丸暗記するような勉強法をしていると、いずれ伸び悩むようになるという。

 「分からない場合は質問に来なさいと言っています。職員室前の黒板で指導するのですが、友達の話を聞いて自分も来るようになったり、付き添ってきた生徒が次から自分で来るようになったり、女子ならではの一体感がプラスに働くようです。定期テストが近づくと、職員室前に生徒が殺到します」

 ちなみに定期テストでも成績不振だった生徒を対象に追試が行われる。「3分の1くらいの生徒が追試の対象になります。補習を受けて、勉強の仕方を見つめ直し、自分なりの勉強法を見つけてほしい」

希望進路の実現へ早期からのキャリアプログラム

「特に中1・中2の時期の学びには、力を入れて慎重に行っています」と話す廣瀬教諭
「特に中1・中2の時期の学びには、力を入れて慎重に行っています」と話す廣瀬教諭

 教科の指導のほかに、生活面の土台作りとして、「ToDoリスト」の作成も指導しているという。「数年前から中1の全生徒に作らせています。中2以降は定期テスト前だけ計画表と一緒に提出させていますが、中1生は、よく忘れ物をしたり、定期テストで範囲の広さに戸惑ったりして、壁にぶつかることがありますから、毎週提出させています。そのうち慣れてくるとオリジナルノートを作るようになります」と廣瀬教諭は話す。

 教科や生活面での土台が出来上がってくると、いよいよ「興味をもって学ぶ、自ら進んで学ぶ」姿勢作りへと教育の幅が広がってくる。高度になってくる授業内容に加えて、学びのきっかけとなるさまざまな体験も用意される。

 中3で、異文化体験合宿、職業調べなどを通して、漠然とながらも将来像を描き始め、高校に進むと、進路適性テストや、卒業生から具体的な仕事の話を聞く「就職ガイダンス」、大学教員による「出張講座」、大学在学中の卒業生による「大学・学部紹介」などのキャリアプログラムが随時行われ、生徒に将来の進路を考えさせる機会を与える。

 「会社員、公務員、医師、弁護士、国連職員、音楽家など、卒業生の話は、将来について考えるきっかけになっています。大学の先生や大学生の先輩から学問について聞くことも、進路選択に有効です」と廣瀬教諭は話す。

 2021年度は、東京大学に2人、京都大学に2人、大阪大学に6人など、高い合格実績を上げた。早期からのキャリア指導がモチベーションを高めた結果だと言えそうだ。「大学名で選ぶのではなく、自分のやりたいことや将来を見据えて、進路を選択することが大切です。中高で主体的な姿勢を身に付けた卒業生は、大学でも生き生きと学んでいます」と廣瀬教諭は話す。

 基礎学力・学習習慣作りに真剣に取り組んだ時間だけが与えてくれる自由だ。

 (文・写真:石上元)

 神戸海星女子学院中学校・高等学校について、さらに詳しく知りたい方は こちら

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