全教科双方向オンライン授業で生徒との距離が縮まる…日大二

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 日本大学第二中学校・高等学校(東京都杉並区)は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言下の40日間余り、全教科で時間割通りに双方向オンライン授業を実施した。「ICTに関しては後発組だった」という同校が、どのようにしてオンライン授業を軌道に乗せたのか、この経験から何を得たのかなどを中島正生(まさお)高校教頭に聞いた。

オンラインでも「時間割通り」「全教科」の実施にこだわる

「教室での授業も、生徒が主体となる対話型の授業へと発展させていきたい」と話す中島教頭
「教室での授業も、生徒が主体となる対話型の授業へと発展させていきたい」と話す中島教頭

 「学内のICT委員会を発足させたのが2018年2月で、19年度にようやく全教室に電子黒板を設置しました。他の私立中高に比べて、決して動きが早いとは言えなかったと思います」と、中島正生高校教頭は話す。

 同校の学習指導は、主要5教科の基礎学力に重点を置き、頻繁な小テストで学習の定着度を確認しながら、学力を伸ばしてきた。また、経験の長い教師は板書による指導のノウハウを蓄積している。こうしたオーソドックスな学習スタイルを重んじていた分、ICTの導入には慎重であったという。しかし、新型コロナウイルスの影響によって休校の長引きが懸念されるなか、授業を確保するために、オンラインへの早急な切り替えは待ったなしだった。

 「3月の休校時には、課題や学習用の動画を学校のウェブサイトにこまめに掲載し、閲覧できるようにしました。4月からも登校による授業は難しいと判断し、春休み中にオンライン授業の準備を始めたのです」

 同校がオンライン授業のシステムとして採用したのは、「Microsoft Teams」だ。映像と音声を利用し、教師と生徒が双方向リアルタイムでやりとりすることができる。主に企業のテレビ会議で使用されてきたアプリケーションだが、オンライン授業が盛んに行われるようになるにつれ、教育界でも注目されるようになった。

 「全教科のクラス授業ごとに『チーム』を作成し、ユーザーがそれぞれのチームに参加するようになっています。例えば『英語』『数学』といった個別のチームを作成すると、生徒がそこにアクセスすることで、『英語教室』での授業に参加するような感覚で授業を受けることができます」

「Teams」によって教師と生徒が双方向リアルタイムでやりとりできた
「Teams」によって教師と生徒が双方向リアルタイムでやりとりできた

 4月から全教師が「Teams」の研修を受け、5月16日からオンライン授業を開始することができた。オンライン授業は通常通り、朝8時35分のホームルームに始まり、全教科で時間割通りに行われた。「オンラインの場合、やはり画面が狭いので、パワーポイントで分かりやすい資料を作る、図版は拡大して表示するなど、さまざまな工夫が必要でした。短期間で、教師のスキルが飛躍的に伸びたと思います」

 生徒が長時間、ディスプレーを見続けることで健康を損なわないように配慮しつつも、オンライン授業は「時間割通り」「全教科」にこだわって実施された。主要教科はもちろん、体育では教師が画面の前でストレッチを実演して生徒に自宅で体を動かすことを勧め、書道では、教師は生徒が書いた作品をファイル転送で受け取り、添削してまたファイル転送で返却するなど、工夫して授業を継続した。

 このこだわりの理由について中島教頭は、「本校は伝統的に全人教育の理念を継承してきました。遠隔学習であっても特定教科に偏るような学びは避けねばならないと考えました」と語った。

遠隔授業なのに生徒と教師の距離が縮まる

今年度から中1生と高1生はキーボード付きのタブレット端末を所持している
今年度から中1生と高1生はキーボード付きのタブレット端末を所持している

 同校では4月から、中1と高1には全員タブレット端末を持たせることが決まっていた。「キーボード入力を身に付けてほしい」という考えから、キーボード付きの端末「Surface Go」を選定した。それ以外の学年では生徒の通信・端末環境を一人一人確認し、スマートフォンでも無理なくオンライン授業が受けられるよう配慮した。

 「生徒にもオンライン授業の受け方の講習を実施しましたが、普段スマートフォンを使いこなしている世代ですから、操作の習得には、思ったより時間がかからなかった様子でした。むしろ、授業中に教師が操作に手間取っていると、『先生、こうすればいいんだよ』と、生徒が教えてくれたくらいです」

 必要に迫られて始めたオンライン授業ではあったが、思いがけない成果もあった。「出席率が大変よかったですね。自宅で、私服で参加できるという気楽さがよかったようです。大勢の前だと気後れしてしまうような生徒たちもしっかり参加してくれました」

 普段、SNSでメッセージをやりとりすることに慣れている生徒たちは、チャット機能を活用し、授業中におしゃべりしているような感覚で教師にメッセージを送ってくる。「『先生、もうすぐ終わりの時間ですよ』なんて言ってくるんです。遠隔ではありましたが、むしろ生徒と教師の距離が縮まったように思いました」

 学校再開の前日となる6月26日に、オンライン授業はいったん終了したが、同校はこれを機に、ICTを活用した授業を充実させていきたい考えだ。「教室での授業では、どうしても教師が授業を仕切る形になりますが、オンラインでは、教師と生徒全員の間に、教室とは違うつながりを感じることができました。オンラインで得たノウハウを生かして、教室での授業も、生徒が主体となる対話型の授業へと発展させていきたいと考えています」

 今回、さまざまなアプリやサービスが活用できるクラウド型サービス「Microsoft 365」を導入したことにより、「Teams」によるオンライン授業、「Forms」による出・欠席の管理、「Stream」によるライブ配信での入学式や保護者会を実現した。今後も、多様なアプリやサービスを活用し、生徒の学習や保護者への支援を模索していく予定だという。

 来年2月に行われる入学試験の準備もすでに始まっていて、7月には40組80人までの「ミニ説明会」を開催した。また、小学校の休校に配慮して、試験時間を短縮したり、小6の出題範囲は教科によって調整したりといった検討も進めている。「通信環境の整備、アプリケーションの改善、衛生指導の徹底など、学校と企業、そして社会が考えていかなければならないことがたくさんあります。ウィズコロナ、アフターコロナに学校全体で向き合っていきたい」と、中島教頭は力強く語った。

 (文:足立恵子 写真:中学受験サポート 一部写真提供:日本大学第二中学校・高等学校)

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1393074 0 日本大学第二中学校・高等学校 2020/08/11 05:21:00 2020/08/11 05:21:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/08/20200806-OYT8I50021-T.jpg?type=thumbnail

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