受験気にせず、のびのびクラブ活動で人間的成長…同志社女子

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 同志社女子中学校・高等学校(京都市)は、社会に出てからも役立つ人間関係作りの基礎としてクラブ活動を奨励している。系列大学への内部進学制度というメリットを生かし、3年生の卒業間際までのびのびと活動を続ける中で、部員同士の絆やリーダーシップを育んでいる。放課後の同校を訪れ、クラブ活動にいそしむ生徒たちの姿を紹介する。

半世紀を超えて伝統を守り続けるクラブ

50年前から活動が続くフェンシング部
50年前から活動が続くフェンシング部

 同志社女子中学校・高等学校は、1877年に創立された同志社分校女紅場(にょこうば)を前身とし、第2次世界大戦後の1947年に同志社女子中学校、翌48年に高等学校を開設し、今の姿となった。創立から143年、戦後からでも73年を数える伝統校だけあって、クラブ活動の歴史も長い。現在、クラブ数も運動系は11、文化系は21と充実しており、紹介するフェンシング部は50年前の創部。マンドリン部は今年55周年、スキー部は62周年の歴史を誇っている。

 同校の広報を統括する入試センター部長の吉田和高教諭は、27年前からフェンシング部の顧問を務めている。「現在、在籍している部員は中学生18人、高校生9人。中高合同で活動することで、ある程度人数が確保でき、部が存続しやすいというメリットもあります。マイナースポーツにもかかわらず、半世紀も活動の()が絶えることなく続いてきたのも、そんな背景があると思います」

 吉田教諭によると、同校の生徒がのびのびとクラブ活動に打ち込めるのは、内部推薦制度があって、毎年約9割の生徒が同志社大学か同志社女子大学に進学できる状況にあるため。付属校でない進学校では、大学受験対策のため高校2年でクラブ活動を引退することが多いが、同校の生徒の多くは高校3年の卒業間近まで活動を続けている。当然、勉強の面でも、大学での学びを視野に入れた高大連携の取り組みや多彩な実習があり、受験勉強に終始しないのびのびしたカリキュラムを採用している。

 「受験勉強にとらわれずのびのびと、そしてみっちりと6年間、同じスポーツに取り組むことで個人の技術も磨かれますし、クラブ全体のレベルも上がります。さらに、6年間、女子同士で姉妹のような人間関係で築かれた絆はとても強く、大学進学後や社会人になっても交流は続いていきます」と吉田教諭はそのメリットを語る。

 クラブ活動の時間が確保されていることもあって、同部は全国高校選抜フェンシング大会で準優勝の経験があり、過去から現在に至るまで日本代表選手を数多く輩出してきた。

 部長の小山美優さん(高3)は、中1で入部した時には初心者だったが、4年後には日本代表選手に選ばれるほど実力を上げた。今の夢はワールドカップに出場すること。小山さんは「隣接する同志社大学の先輩の胸を借りて練習できるのも、高大連携の強みだと思います」と語る。「マイナースポーツで競技人口が少ないので、全国各地の遠征先に仲間ができやすい。フェンシングと出会ったことで新しい自分を発見することができ、人生が変わりました」

上級生が下級生にしっかり演奏指導

マンドリン部は部員数90人の大所帯
マンドリン部は部員数90人の大所帯

 同校の21ある文化系クラブのうち、音楽系クラブは七つもある。マンドリンや筝曲、ハンドベルなど他校ではあまり見かけないクラブがそろっているのも特徴だ。

 今年55周年を迎えるマンドリン部は部員数90人の大所帯。数々のコンクールや演奏会で入賞している。顧問の市川良大教諭によると、上級生が下級生にしっかり演奏指導をしているのが同部の強みだという。「高校生に指導されることによって、中学生は自分の将来の姿を想像し、『自分もこうなりたい』と練習のモチベーションが高まるようです。また、高校生も後輩たちに見られていることで、よき先輩像を意識しながら活動します。このような相乗効果で互いに成長し合えるのではないかと思います」

 部長の嘉田奈央さん(高3)は「女子ばかりで6年間、同じ目標に向かって頑張ることで、上下関係や礼儀作法、社会人になる前の常識も学べると思います」とクラブ活動の意義を話す。嘉田さんによると、同級生などで小学校低学年から塾通いしていた生徒でも、入学後は予備校などへ通うケースは少ないという。「日頃の勉強をおろそかにしているのでは決してありません。定期テスト前は部活も休みになりますので、みんな勉強に専念します。メリハリのある学校生活です」。勉強ものびのびと、充実の学校生活を送っているようだ。

年間40泊に及ぶスキー合宿訓練

インターハイや国体の常連校であるスキー部
インターハイや国体の常連校であるスキー部
体幹トレーニングに汗を流すスキー部員
体幹トレーニングに汗を流すスキー部員

 1956年のコルティナダンペッツォ五輪の回転競技で、猪谷千春が冬季五輪で日本人初のメダルとなる銀メダルに輝くと、京都でもスキーブームが起こり、生徒の要望で翌年設立されたのがスキー部だ。創部62周年を迎え、今や部員は中1から高3までの40人。インターハイや国体の常連だ。シーズン中は長野県の野沢温泉で合宿を行い、年末から年始にかけて15日間、スキー漬けの毎日を送る。年間では延べ40泊に及ぶ猛練習ぶりだ。

 顧問に就任して6年目の浮田倫太朗教諭はこう語る。「京都は練習環境としては雪国の長野や東北、北海道のように恵まれていませんが、その分シーズン中は存分に合宿訓練に取り組みます。オフシーズンは校内で筋トレやランニングで日々、体を鍛えています。厳しい自然の中での長期合宿はスキー技術だけでなく、精神力や仲間意識を養います。横のつながりはもちろん、上下関係も学びますから、卒業生はみんな口をそろえて『クラブでの経験が社会に出てから役に立っている』と言います」

 取材に訪れた6月18日、午後4時半ごろにスキー部を訪ねてみると、部員たちは廊下で筋力トレーニングの最中だった。部長の市田理子さん(高3)によると、オフシーズンの部活は週に4回、このうち3回は個々にランニングなどの自主トレーニングに励んでいるという。「長期合宿で寝食を共にし、厳しい練習も互いに励まし合って乗り越えてきたので、部員とは姉妹みたいな感覚です。シーズン中は毎週大会があるので学校を欠席することもありますが、先生や友人が補習などのサポートをしてくれます。何より大学に推薦で進学できる進路保証がありがたいです」と素直な笑顔を見せた。

 「中学受験を経て入学してくる本校の生徒は、運動に自信のある子は少ないです」と吉田教諭は話す。「それでも縦社会の中で鍛えられ、教え合い、励まし合いする中で競技力は向上しますし、人間的にも成長します。卒業後も競技を続けるという生徒は少ないですが、6年間頑張った経験は将来、生きていくうえで大きな糧になるでしょう」と期待を込めた。

 同志社の創立者・新島襄は、生徒一人一人の個性と人格が十分尊重されることを大切に考えたという。クラブ活動を通して生徒一人一人をのびのび育てている同校も、「同志社」の名を冠した唯一の女子校として創立者の精神を受け継いでいる。

 (文・写真:櫨本恭子)

 同志社女子中学校・高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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716062 0 同志社女子中学校・高等学校 2019/08/05 05:21:00 2019/08/05 05:21:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/07/20190730-OYT8I50027-T.jpg?type=thumbnail

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