「25歳の男づくり」奉仕する心を持つリーダーへ…サレジオ学院

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 完全中高一貫の男子校であるサレジオ学院中学校高等学校(横浜市)は、「25歳の男づくり」を目標に掲げて、カトリック精神に基づく全人教育に取り組んでいる。目指す人物像は「奉仕する心を持つリーダー」だ。鳥越政晴校長による「宗教」の授業を取材するとともに、「サレジアン」の愛称を持つ生徒たちの横顔を紹介する。

「宗教」の授業でアクティブ・ラーニングを実践

中1の「宗教」の授業を行う鳥越校長
中1の「宗教」の授業を行う鳥越校長

 サレジオ学院は、イタリアのカトリック修道会「サレジオ会」が1960年に東京都目黒区に創設した目黒サレジオ中学校を前身とする。その後、高等学校が開設され、1975年に現在のような完全中高一貫の男子校となった。

 鳥越校長は自身もサレジオ学院の出身で、カトリックの神父でもある。また、同校に入学する中学1年生の「宗教」の授業を受け持っている。取材に訪れた4月25日、鳥越校長は、「サレジオ会」を築いた聖人ドン・ボスコの生涯についての授業をしていた。

 「サレジオ学院は、生徒一人一人が神様から与えられた使命(ミッション)を実現するための基礎作りを行い、全人的成長を促す場所です。ドン・ボスコの一生を通じて、そのことを理解してほしいと考えています」

 鳥越校長の説明によると、ドン・ボスコは1815年に北イタリアで生まれた。幼いころに父親を亡くし、一家の柱となった母親に神の話を聞きながら育ち、自ら学費を稼いで神学校に通ったという。

 説明の後、生徒たちは鳥越校長の指示でいくつかのグループに分かれ、「ドン・ボスコ・トリビア」というクイズの作成にかかった。生徒たちは「ドン・ボスコが母から教わったことは」「ドンとはどういう意味」など、授業の内容を基にさまざまな問題を考え、プリント用紙に書き出していく。それが終わったら発表だ。「話をするときは前を向いて」「大きな声で」など、発表態度についての鳥越校長の指示に耳を傾けつつ、生徒たちは、はきはきと発表を行っていた。

 「ただ話を聞くだけではなく、自分たちで考える、話し合ってまとめる、それを発表する、といったアクティブ・ラーニングの形を取っています。カトリックやサレジオ学院の理念を理解しつつ、今の社会で必要とされる、基本的な学習の姿勢を身に付けるのが目的です」

中高6年間を三つのステージに分けた教育プログラム

「サレジオ会」を築いた聖人ドン・ボスコのレリーフを背にする鳥越校長
「サレジオ会」を築いた聖人ドン・ボスコのレリーフを背にする鳥越校長

 同校は中高一貫教育の利点を生かし、6年間の教育プログラムを中学1・2年、中学3・高校1年、高校2・3年と2年ずつ三つのステージに分けている。

 「中学1・2年の間は、基本的な学習姿勢を養うことに重点を置き、担任教師が宿題などを細かく指導していきます。中3・高1では、進路についての意識を育てようと、卒業生の職場訪問や2泊3日の進路ガイダンスを行います。高2からは理系・文系のクラスに分かれ、本格的に大学受験に備えます」

 これらの教育プログラムを貫いているのは「勉学」「問題解決」「奉仕」という三つの柱だという。鳥越校長は、この三つの柱に沿って教育に取り組み、「社会の隅に追いやられている人々の叫びに気付き、手を差し伸べることのできる人」を育てることを目指している。また、そうした「奉仕する心を持つリーダー」に成長していてほしい年齢、社会に出てから自らの力で問題を解決することができる年齢として、「25歳の男づくり」を目標に掲げ、生徒の進路指導にあたっている。

「進路ガイダンス」で卒業生の大学生たちと懇談する生徒たち
「進路ガイダンス」で卒業生の大学生たちと懇談する生徒たち

 生徒の進路選択をサポートするうえで、高1で行う2泊3日の「進路ガイダンス」は大きな役割を果たしている。例年、東京・代々木の国立オリンピック記念青少年総合センターで行われ、大学教授を招いて講義を聴くほか、自分たちで起業のためのビジネスプランを作成する「起業コンテスト」を行うなど盛りだくさんの内容だ。夜はサレジオ学院出身の大学生たちとの懇談会も開かれる。生徒たちは進学を希望する大学の様子を先輩から具体的に聞くことができ、将来の志望が固まってくるという。

 同校は東京大学、一橋大学、京都大学などに例年合格者を輩出している進学校だが、鳥越校長が重点を置いているのは「主体的に考え、自ら表現する力」を育てることだという。「この大学を目指しなさい、という指導はしていません。生徒が希望する進路を見つけ、それを実現してあげるのが、最も大事なことと考えています」

中3全員参加のイタリア研修旅行

中3生が全員参加するイタリア研修旅行
中3生が全員参加するイタリア研修旅行

 グローバル時代に対応し、国際教育も充実している。校内には毎年フィリピン、タイ、台湾といった国・地域からの留学生が来校し、グローバルな環境が実現している。中学3年終了後の春休みに全員参加で6泊8日のイタリア研修旅行を行い、ドン・ボスコの生地トリノやバチカンを巡礼したり、「サレジオ会」の兄弟校を訪ねたりする。また、高校生の希望者を対象にフィリピンやカナダでの語学研修も実施している。

 さらに鳥越校長は現在、インドでのインターンシップを企画しているという。「経済成長著しいインドには、日本の企業が多数進出しています。そういった企業を訪問し、文化やビジネス習慣の違いを(じか)に体験してほしいと考えています」

 課外活動も盛んで、中学での部活・同好会参加率はほぼ100%。文化祭や体育祭も例年大きな盛り上がりを見せる。特に体育祭の華である応援合戦には毎年、熱が入る。こんなエピソードもある。「あるとき、本番で機械の不具合のため音楽が鳴らないというハプニングが起こったんです。一瞬場内が静まり返りましたが、団長が機転を利かし、すぐさま振り付けだけで進めるプログラムに切り替えました。それだけでも大変誇らしかったのですが、その後ほかの応援団員が『彼らにもう一度、音楽付きで演じる機会を与えてほしい』と私に訴えてきたのです。リスク管理・問題解決能力・チーム力を育てる教育の成果が表れている、と胸が熱くなりました」

 サレジオ生の愛称「サレジアン」には、単に同校の生徒というだけでなく、「サレジオ会」を築いたドン・ボスコの精神を受け継ぐものという意味が込められている。今年、校長就任10年目を迎えた鳥越校長は、「サレジアン」としての生徒の成長ぶりに、確かな手応えを感じているようだ。

 (文・写真:足立恵子 写真提供:サレジオ学院中学校高等学校)

 サレジオ学院中学校高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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765227 0 サレジオ学院中学校高等学校 2019/08/29 05:21:00 2019/08/29 05:21:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/08/20190827-OYT8I50009-T.jpg?type=thumbnail

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