「本物を見に行く」国際理解教育…帝京八王子

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 帝京八王子中学校・高等学校(東京都八王子市)は、「本物」に触れることを重視した国際理解教育を実践している。未知のものに触れる体験を通して生徒たちの知的好奇心を促すことが目的だ。18年間続いている中3のイギリス修学旅行や、タイから短期留学生の受け入れなど、さまざまな異文化理解のプログラムについて岩崎弘校長に聞いた。

海外体験の目玉は中学3年生のイギリス修学旅行

国際理解教育の取り組みについて語る岩﨑弘校長
国際理解教育の取り組みについて語る岩﨑弘校長

 帝京八王子には「(つと)むれば必ず達す」という建学の精神がある。帝京大学グループ創設者・冲永荘兵衛の言葉だ。

 「人生の目標に向かって努力し、自ら道を切り開く人を育てたいというのが本校の精神です。『つとめる』にあえて『力』という字を当てているのは、観念的な努力に加え、実行する『力』を重視しているからです。そうした努力のエンジンとなるのが、まだ見ぬもの、知らないものに対する知的好奇心です」と岩崎弘校長は話す。

 生徒の知的好奇心を刺激するために、同校が特に力を入れているのが国際理解教育だという。「世の中には、言葉による説明や写真、動画だけでは分からないことがたくさんあります。特に海外の文化や空気といったものは、『本物』に触れると感じ方や影響が大きく違ってくる。知らなかった物事を間近に見て日本と対比することで、感動や疑問など、学びの行動につながるきっかけを与えたいと思っています」

 同校は、国内外各地を見学し、見聞を広げるプログラムを数多く用意しているが、目玉となるのは、中学3年生の6~7月に実施している約2週間のイギリス修学旅行だ。

海外体験の目玉となる中3のイギリス修学旅行
海外体験の目玉となる中3のイギリス修学旅行

 主な宿泊地に使用するのは「帝京ロンドン学園」。帝京大学グループが1989年にロンドン近郊のバッキンガムシャー州に開校した高等学校だ。中学校の設置から4年目となる2002年にこの修学旅行を始め、以来18年毎年続けている。

 今年度も6月24日から7月10日にかけて実施された。例年、途中3泊4日のホームステイを織り込みながら主に同校の学生寮に宿泊し、まず、ロンドンの大英博物館やバッキンガム宮殿などの史跡を見学する。さらにイングランド北東部にある帝京大学ダラム分校や、スコットランドのエジンバラ大学を訪れ、寮生活を体験したり、各地の史跡や景勝を巡ったりする。

 「イギリスはかつて世界の先頭に立って文明を牽引(けんいん)した国であり、史跡や美術品など膨大な文化の蓄積があります。また、日本にとっては民主主義の先輩であり、自分の考えをはっきり表明する、浪費をしない、礼儀正しいなどの国民性にも学ぶべきことがたくさんあります。ホームステイでは現地の生活を実体験するとともに、自立を重んずる子弟教育にも触れてほしい。大学の寮に宿泊するのも、自由と規律を身に付けた若者たちの様子を肌で感じてほしいという狙いがあります」

 この修学旅行では毎回、イギリスの良いもの、良いところを見尽くすようにプログラムを組んでいるという。「今年もこの機会に、生徒たちは一回り成長するでしょう」と岩崎校長は胸を張る。

日本を学んでこそ国際的な感性が身に付く

川越市の蔵造りの町並みを見学し、和紙作りを体験する
川越市の蔵造りの町並みを見学し、和紙作りを体験する

 こうした海外研修をさらに実のあるものにするために、同校は中学1年次から「前準備」を行っている。

 「外国にいきなり行っても収穫は少ない。前もって母国日本への関心と知識を深め、海外の体験と比較しながら考えることで、幅広い視野、国際的な感性を獲得できると考えます」

 中学1、2年次では、日本の伝統文化を知るための校外学習を行う。今年度、中1は「小江戸」と呼ばれる埼玉県川越市の蔵造りの町並みを見学し、和紙作りを体験した。中2は神奈川県への1泊旅行で小田原城や鎌倉の鶴岡八幡宮、鎌倉大仏などを巡り、歴史的建造物や史跡について学んだ。来年度は中学2年次で京都・奈良を訪れ、日本の歴史や文化に触れる予定だ。

 「こうした活動では仲間との協働も欠かせません。事前学習の段階から6、7人のグループを作り、コミュニケーション力を養うとともに、知識や気付きを補い合う姿勢を身に付けていきます」

 こうした事前学習の一方、現地での英会話コミュニケーションに重点を置いた研修も行う。今年度の中3生は、5月に福島県の英語研修施設「ブリティッシュヒルズ」で2泊3日の研修を実施し、空港、ホテル、店などの場面を想定してロールプレイングを行い、英会話を磨いた。中2生も東京・お台場の「グローバルゲートウェイ」で同様の研修を行う予定だ。

 高校では、さらに多彩な海外体験の機会が用意されている。高校は「特進医療系(M)コース」「文理コース」に分かれており、「特進医療系(M)コース」は1年次にボストンへ約1週間の修学旅行を行い、ハーバード大学やマサチューセッツ工科大学でアクティブラーニング型の授業を受ける。「文理コース」は2年次にオーストラリアへ約1週間の修学旅行を行う。いずれも全員必修だ。

 希望者向けの海外プログラムとしては、カナダの一般家庭に2週間ホームステイして英語研修や体験学習を行う研修旅行を隔年で実施している。毎回25~30人ほどの意欲的な中・高生が参加するという。また、高校の希望者向けにオーストラリアの提携校で3か月間勉強するターム留学も用意されている。

英語4技能を磨き、異文化に触れる

国際理解教育のためのさまざまなプログラムやしおり
国際理解教育のためのさまざまなプログラムやしおり

 こうした数々の海外体験に備え、英語の授業も4技能、特に「話す」「聞く」にウェートを置いた中身となっている

 ネイティブのALT(外国語指導助手)と日本人教師のチームティーチングによる英会話授業を、中1、2年で週2時間、中3、高1で週に4時間行っている。また、授業以外にも会話する機会を増やすため、昼食時間はALTも参加して一緒に食事を楽しむ。また試験休みや夏、冬の長期休暇中も、ALTによる特別講座が開かれる。この講座では、授業形式でなく、一緒にゲームを楽しんだり、映画観賞や読書会を行ったりして楽しみながら語彙(ごい)や表現を身に付けるという。

 また、ネイティブではない外国人との英語によるコミュニケーションにも着目している。昨年11月、タイの高校にあたる「アタラキア・イスラミア・インスティテュート」から4人の女子生徒を短期留学生として受け入れた。女子生徒らは11日間、同校の生徒と一緒に授業や部活動に参加した。

 「本校の生徒たちは彼女たちとすぐに打ち解け、知っている英語を駆使して授業内容を伝えたり、休み時間や放課後に日本語を教えたりする姿が見られました。終了後の感想には『もっと長く学びたかった』との言葉もあり、うれしく思いました。お互い良い刺激になったと思います」

 こうした異文化体験を行うことは、自分を発見することにもつながると岩崎校長は考える。

 「中学に入ったばかりの段階では、まだやりたいこと、なりたいもの、目標がなくても不思議はありません。『自分探しの旅』と言いますが、いろんな場所へ行って素晴らしいもの、美しいものをたくさん見る中で、自分のテーマとなるものが見つかるかも知れない。そうすれば努力しようという気持ちに火が付きます」

 最後に岩崎校長から受験生へのメッセージを聞いた。「仲間と一緒にいろんなものを見て、いろんな体験をしたいと思う子供たちには、ぜひ本校の門をたたいていただきたい。皆さんの好奇心を裏切らないプログラムを、たくさん用意して待っています」

 (文・写真:上田大朗 一部写真:帝京八王子中学校・高等学校提供)

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820807 0 帝京八王子中学校・高等学校 2019/10/01 05:21:00 2019/10/01 05:21:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/09/20190930-OYT8I50025-T.jpg?type=thumbnail

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