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【特集】新構想「日駒トリニティ」で普通科進学型時代を開く…日工大駒場

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 日本工業大学駒場中学校・高等学校(東京都目黒区)は、来年度から高校工学科の募集を終了し、普通科専一校として新しいスタートを切る。この大きな変革を迎えるに際して、同校は「日駒トリニティ」という新教育構想を掲げた。長い教育の伝統と未来への展望をつなぐ、この新構想を中心に同校の目指す教育について藤森啓教頭らに聞いた。

「高い自己目標の実現と楽しい学校生活の調和」

藤森教頭(右)と増田教諭
藤森教頭(右)と増田教諭

 同校は2008年、中学を男女共学とし、高校にも共学の普通科を設置した。これが1907年の創立以来、最大の変革とされる進学校化構想のスタートだ。以来、中高一貫コースを中心に進学型・普通科専一校への改革を進めてきた。

 「以前は中学3年間、一生懸命育ててせっかく伸びたのに高校から他の学校に行く生徒も多かった。しかし、ここ6、7年は上位層が他に行かずにうちの高校に上がるようになった。それは進学体制がしっかり整って、安心感があるからだと思います」と、入試広報部の増田徹教諭は話す。

 現在の大塚勝之校長が就任した2017年以後は、「国語教育」「理数教育」「創造力の育成(ものづくり教育)」「英語教育」「キャリア教育」の五つの柱からなる「日駒教育構想」を掲げて、さらに改革は進められ、来年度はいよいよ、高校工学科の募集を停止して中高全体で普通科進学型へと生まれ変わることとなった。そこで、創立113年の伝統と今後の発展を見据えて新たに掲げられたのが「日駒トリニティ」と呼ぶ教育構想だ。

 「日駒トリニティ」は、名前が示す通り三つの要素から成っており、それぞれがさらに三つの要素で構成されている。

 一つ目の「教育姿勢」は、しっかり方向付けを定めて生徒をいい方向に導く「意図的教育」、生徒のいいところを見つけて伸ばす「美点凝視」、基礎学力を効果的に習得させ、進路対策に十分な時間をかける「選択と集中」から成っている。この「教育姿勢」を貫くことで、生徒たちの持つ力を引き出していくという。

 二つ目の「教育力」は、個々の教員たちが教育現場で発揮する「創意工夫の精神」と、研修などを通して身に付ける「(けん)(さん)による指導力の向上」、さらに長い伝統の中で培われた「熱意ある指導」に分けられる。「本校の教師たちには、生徒たちを指導する熱意、伝統から受け継いだティーチングマインドがあります」と藤森教頭は力を込める。

ネイティブの教員がオールイングリッシュで授業を行う「コミュニケーション・ラボ」
ネイティブの教員がオールイングリッシュで授業を行う「コミュニケーション・ラボ」

 三つ目の「教育実践」は、まず生きる基盤としての「言語教育」、社会的探究・理数探究・情報教育などを通してAI時代を生き抜く力を培う「探究」、ものづくり教育やキャリア教育など「日駒教育構想」によって困難な時代を生き抜くための力を養う「錬成」から成る。

 藤森教頭によると、「日駒トリニティ」の目的は、これら三つの要素を通して「高い自己目標の実現と楽しい学校生活の調和」を達成することにある。さらにその過程で「優しく(つよ)い心を育てる」のだという。

 同校は、教育改革を支えるため、学校施設もここ4、5年で拡充してきた。例えば「リラックスルーム」「アクティブルーム」「コミュニケーション・ラボ」などの特別教室は海外の研修先をイメージしたデザインになっており、「コミュニケーション・ラボ」ではネイティブの教員たちがオールイングリッシュで授業を行っている。同校は、全学科の高1、高2生を対象とする16日間のカナダ短期留学などの海外研修プログラムを用意しており、これらの校内施設によって生徒は、海外留学に向けて英語4技能を習得する準備を積むことができる。

 また、学校生活をより充実させるために、体育や部活動に使用する体育ルームやトレーニングルーム、大きな図書館も新しく作られる予定だ。

伝統の面倒見の良さで生徒の力を伸ばす

 普通科進学型を目指す改革の進む中で、同校の大学合格実績は右肩上がりに伸びているという。国公立大の合格者は2012年度に6人だったのに対して今春は10人、早慶上智は3人から9人、G-MARCHは17人から50人に伸びている。

 しかし、意外なことに高校から入学してくる生徒の内申点などの値は以前と変わらないという。「それでも実績を伸ばしてきた。そこが我々の自負しているところです。生徒を伸ばすのは得意だと、自信を持っています」と藤森教頭は話す。「当校の場合、入り口は入りやすく、しかも入ったらしっかり面倒を見るのです」と増田教諭は熱く語る。

 日々の学習では、生徒一人一人に寄り添ったきめ細かな指導が行われる。例えば中学では、定期テストの前に国語・数学・英語・理科・社会の「朝テスト」を行い、結果が思わしくない生徒には補習授業で個別に指導して、分かるようになってから定期テストに臨ませるという。

 高校では、夏期・冬期・春期講習、小論文対策講座など、生徒それぞれの志望に対応したさまざまな講習も行われている。東大、早大、慶応大などの難関大学合格を目指す生徒のためには、同校付属の塾「光風塾」があり、高1から無料で指導を受けることができる。「下校後、学校にいる時の緊張感を持ったまま、さらに2、3時間勉強することで、生徒もより勉強に集中しやすくなっています。休日も開いており、自習や授業に活用しています」と藤森教頭は説明する。

 新しく変わろうとしている同校だが、「生徒たちとの距離の近さ、面倒見の良さ、そういう日駒の伝統はこれからも残していきます」と増田教諭は話す。

新しい教育プログラムと「人柄」の育成

難関大合格を目指す生徒向けに高1から無料指導をする「光風塾」
難関大合格を目指す生徒向けに高1から無料指導をする「光風塾」

 大学入試改革の流れに対応するために、「総合的な学習の時間」に、資料を読んでリポートを書く「探究」活動など、思考力を重視する授業も行っており、今後、さらに増やす予定だという。

 普通科進学型へと生まれ変わるうえで、こうした新しい学力や、情報リテラシー、コミュニケーション力など「21世紀型スキル」の習得も欠かせない要素だ。

 例えば、今後、生徒に自分の好きなことについてプレゼンテーションさせるといった機会をたくさん作るという。増田教諭は「プレゼンテーション力などを競わせるとクラスが盛り上がる、するとそれが受験にも生きてくる。みんなで『やるぞ』という雰囲気ができるのです」と話す。「生徒たちが幸せに生きていくために、社会で活躍していくためにはどうしたらいいか。コミュニケーション能力や表現力、プレゼンテーション力などはどんな仕事でも必要なんです。どんな仕事に就いても役に立つ力を育んでいきたいです」

 進学校化を図るうえでこうした学力の向上は必須だが、藤森教頭によると、大塚校長が何より大切にしているのは生徒たちの「人柄」を育むことなのだという。

 「広い教養があること、洞察力、協調性、みんなと協働する力。そんな広い意味での『人柄』を考えています。受験は大事にしていますけれど、その先の人間力みたいなものを意識しています。生きる力と言ってもいいかもしれません」

 勉強ができなくて友達関係も苦手だったけれども、とにかく学校が楽しくて毎日通っていた生徒が、夢だった鉄道会社に入ったという。「学校が好き」で休むことのなかった生徒が、高3になって急に学力が伸び、有力私大に受かったこともあるという。

 「学校が楽しくて休まず来た生徒はちゃんと自己実現してるんですよね。やっぱりそういう生徒はおのずと伸びていくんだと、担任をやっていて学びました」と増田教諭は話す。

 日駒トリニティの目指す「優しく勁い心を育てる」こともまた、「人柄」を育てる教育に通じているのだろう。

 (文:岡部優子 写真:中学受験サポート 一部写真提供:日本工業大学駒場中学校・高等学校)

 日本工業大学駒場中学校・高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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1568678 0 日本工業大学駒場中学校・高等学校 2020/10/27 05:01:00 2020/10/27 05:01:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/10/20201022-OYT8I50028-T.jpg?type=thumbnail

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