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【特集】アジアの同世代とのオンライン交流で刺激を受ける…関西大倉

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 関西大倉中学校・高等学校(大阪府茨木市)は3月、中3~高2の生徒を対象に、オンラインでフィリピン、バングラデシュの生徒と結ぶ交流プログラムを実施した。同校は、約20年前から海外語学研修などの国際交流プログラムを展開してきたが、コロナ禍のため、初のオンライン交流となった。同世代のアジアの生徒と英語でディスカッションしながら世界の諸課題に触れ、気付きを広げる生徒たちの姿を取材した。

フィリピン、バングラデシュの生徒とディスカッション

「想像以上の生徒の成長ぶりに驚かされました」と話す大山教諭
「想像以上の生徒の成長ぶりに驚かされました」と話す大山教諭

 同校は、約20年前からニュージーランド、イギリスへの語学研修などを実施している。また昨年度は海外の大学生を招いてグループワークやディスカッションを行うエンパワーメントプログラムも計画していた。しかし、新型コロナウイルスの感染を避けるため、オンラインでの二つの海外交流プログラムに切り替えた。指導にあたった英語科主任の大山朋子教諭は、「実地の海外研修だと参加のハードルが高いと感じる生徒もいますし、すべての生徒に機会を与えられるという面からもオンラインでの海外交流はよい機会になると考えました」と説明する。

 対象は中3生~高2生で、33人が3月13日、フィリピンへのバーチャルツアーを体験。そのうち19人が3月24日から5日間、バングラデシュの高校生とディスカッションするPBL(問題解決型学習)形式のプログラムに参加した。

 二つのプログラムは、大山教諭が、神戸市の民間企業「With The World」が提案する国際交流プログラムから選んだものだ。生徒が将来、多くのかかわりを持つことになるだろうアジアの国々とのプログラムに着目したという。「アジアの国々は日本と比べて発展途上だというイメージを持つ生徒が少なくありませんが、アジアの国々はダイナミックに変化しており、優秀な生徒たちがたくさんいます。そうした現状を知り、刺激を受けてほしいと思いました」

アジアの国々とオンラインで交流する生徒たち
アジアの国々とオンラインで交流する生徒たち

 「オンラインスタディツアーinフィリピン」は、Zoomを活用した150分間のプログラムだ。フィリピンのイロイロ市とつなぎ、現地の中・高校生に町を案内してもらったり、暮らしの様子を教えてもらったりした。また、「豊かさ、幸せとは何か」というテーマでのディスカッションも行い、発展した都市部だけでなく、貧困地域の実態にも触れた。「フィリピンの生徒と意見交換をする中で、世界について知ることの大切さを認識し、貧困問題やゴミ問題といった社会課題を身近な問題として意識するなど、生徒たちはさまざまな気付きを得たようです」と、大山教諭は話す。

 バングラデシュとつなぐプログラムは、Zoomを利用してバングラデシュの高校生と英語で交流する内容だ。バングラデシュ側では、ダッカ市内にある「University Laboratory School and College」の高校生16人が参加した。5日間のディスカッションを通して互いの国の現状を知り、意見を交わして問題の原因などを考察し、最終的には自分たちができることは何かを考えていく。

 英語で長時間かけてディスカッションを深めていくことは、中高生にとって高いハードルとなるが、大山教諭は、あえてディスカッション主体のプログラムを選んだという。「本校で英語教育に携わる中で、英語で自分の考えを表現するリアルな機会と、やってみようという気持ちをもう少し促す機会があればと感じていました。しかし、これからのグローバル社会を生きる生徒には、英語で相手と対等にコミュニケーションする力が必要です。プログラムに参加することでその壁を乗り越えて自信を付けてほしいと考えました」

日を追って積極的に変化していく生徒たち

生徒たちは、互いの国の社会問題についてディスカッションを繰り広げた
生徒たちは、互いの国の社会問題についてディスカッションを繰り広げた

 オンラインでの交流中は「With The World」に所属する大学生がアシスタントとして参加し、生徒をサポートする。生徒たちはまず、当日の交流に向けて教員とアシスタントの力を借りながらプレゼンテーションや質疑応答などの準備を行い、各日約1時間のオンライン交流に臨む。ともにグループに分かれ、交流前半は、お互いの国の言葉を教え合い、自分が好きなものを発表するなどの文化交流を行う。後半は教育問題、貧富の差、コロナ禍での医療問題、人種差別、少子高齢化などグループごとに設定したテーマをディスカッションしていく。

 初日は、緊張感もあって言葉を発することのできない生徒が多かったというが、教員やアシスタントのアドバイスやサポートを受け、日を追うごとに積極的に参加できるようになったという。大山教諭は、「交流前に今日の自身の目標を決め、交流後に振り返りをすることで、自身の課題に気付き、前向きに変わろうとする生徒の姿が見られました」と話す。

 参加者の一人、細田夢彩(のあ)さん(高2)は、「初日は相手の英語が聞き取れなくて、自分から発言するのも難しかったです。2日目に初めて自分の言葉で英会話のキャッチボールが続き、感動しました。これをきっかけに、どんどん積極的になれました」と振り返る。

 少子高齢化について話し合った北尾万由さん(中3)は、「少子高齢化の日本とは異なり、人口が増えているバングラデシュでは児童婚という問題があることを知りました」と話す。北尾さんは、話し合ううちに、どちらの問題も女性の地位の低さが原因となっていると気付き、解決のためには教育が大切だという結論に達したという。「この答えにたどり着けたのは、みんなで意見交換をしたからこそ。ディスカッションの意義が分かりました」

英語力や社会問題への自覚に驚き、発奮する

 実際に交流してみて、生徒たちはさまざまな社会問題について気付きを深めると同時に、バングラデシュの生徒の優秀さに驚いたという。北尾さんは、「私たちと同じように第2外国語として英語を使っているのに、日本の生徒とこれほど英語力の差があるのかと思いました」と驚きを隠さない。

 細田さんも、「自分の国や社会問題について、よく勉強し、しっかりとした考えを持っている」と感じたそうだ。「自分たちも社会問題について知らなければならないと感じたし、何よりも英語力を上げたいと強く思いました。もっと話せるようになれば、自分の世界がどれほど広がるのだろうと感じたからです」

 2人のほかにも、「留学したい気持ちが強くなった」「海外の人と交流する楽しさを知った」「英語力を向上させたい」「考え方の幅が広がった」「積極的に話す姿勢が身に付いた」「社会問題に関心を持つようになった」など、さまざまな感想の声があがっている。

 大山教諭は「5日間でこれほど変わるのかと、想像以上の生徒の成長ぶりに驚かされました」と顔をほころばせる。「このプログラムが彼らの可能性を広げていくきっかけになることを願っています。彼らのように新たな気付きや学びを得て成長していき、将来は日本や世界を良くしていってくれるような人材に育ってほしい」

 同校では、国際交流プログラム以外にも、英語での即興型ディベートや世界各国の生徒と文化交流する、自由参加の学習会を放課後に開催するなど、生徒の海外交流を図ってきた。今後もさまざまな形での英語でコミュニケーションできる機会を提供し、さらなる成長を後押ししていく考えだ。

 (文・写真:溝口葉子 一部写真提供:関西大倉中学校・高等学校)

 関西大倉中学校・高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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2018089 0 関西大倉中学校・高等学校 2021/04/30 05:01:00 2021/04/30 05:01:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/04/20210428-OYT8I50035-T.jpg?type=thumbnail

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