共学化を機に本物の知性と教養目指す学校改革へ…品川翔英

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 品川翔英中学校・高等学校(東京都品川区)は2020年度から共学校として新たなスタートを切る。「品川の地から英知が飛翔(ひしょう)する」という思いを込めた校名にふさわしく、中・高それぞれに個別最適化学習、ICT化、運動系の男子部新設などさまざまな改革が進行中だ。この改革のけん引車として今春、同校に招聘(しょうへい)された柴田哲彦副校長に、目指すビジョンについて聞いた。

多様性の時代に合わせて共学化に踏み切る

学校改革をけん引する柴田副校長
学校改革をけん引する柴田副校長

 同校で共学化の構想が持ち上がったのは2007年頃だという。小野学園は女性の教育環境がまだ整っていなかった1932年当時、将来、女性が社会で活躍できるようにという思いで創設された学校だ。以来、時代に対応した女子教育で自立した女性を世に送り続けてきたが、性別や国などの垣根を越えて人々が協力し合う多様性の時代を迎え、共学へとかじを切るのは自然の流れだった。

 14年頃から「共学化プロジェクト」が具体的に進められ、17年には卒業生や在校生の保護者に対する説明が行われた。歴史ある女子校だけにOGからの反発や、「女子校だから入学したのに」という在校生・保護者の嘆きも予想されたが、幼稚園から小野学園で学んだという同校OGの教員が率先して説明に奔走し、理解を取り付けたという。

 「校名が変更になる、共学化するといっても、かつての小野学園の教育を否定することではありません。これまで築き上げたものを礎として、さらに知的好奇心を刺激できるようなプログラムを作り、日々の授業で実践していきたいと考えています。たとえば女子教育の一環としての作法やあいさつの励行などは、男女ともに欠かせないマナーであり、教養なのです」

「知識」「教養」「経験」を教育の大きな柱に

 「品川翔英」という新たな校名には、「グローバルな企業が集う品川から、英知が飛翔する」という意味が込められているという。この校名にふさわしい新しい教育を実現するために昨年4月、招聘されたのが柴田副校長だ。柴田副校長はこれまで、さまざまな学校改革の実績を挙げてきた。「品川翔英」でもその手腕が期待されている。

 「小野時英理事長からは、『普通に生活していたら出会わないような、日本を代表する企業の社長とのつながりや、世界各国の教育現場を視察した経験を生かしてほしい』と言われました。私としては、これまで35年間の教員生活で出会ってきた教え子たちに恥ずかしくないよう、体を張って学校改革と運営に取り組んでいこうと思います」と柴田副校長は力を込める。

 これから目指す学校像は、「幕末の志士たちが学んだ松下村塾」だという。「既存の中学校や高等学校の名前を挙げるよりも、ずっと志は高くありたいのです」

共学スタートに合わせて一新した制服
共学スタートに合わせて一新した制服

 また、「生徒には、多様な方面に高度な知識を持つ人物になってほしい」と話す。この人物像を説明するために、柴田副校長はイギリスの「ジェントルマンクラブ」を引き合いに出す。クラブでは、時計や携帯電話はクロークに預ける決まりがあるという。「つまり、ビジネスを忘れて語り合う時間を楽しみなさい、ということです。こういう場で気の利いた話ができますか。これが本物の知性と教養だと思います。そこで堂々と渡り合えるような人間を育てるのが、私たちの仕事です」

 「そのためには、『知識』『教養』『経験』が教育の三つの大きな柱となります。『知識』は大学進学のための学力や基礎学力、『教養』はよりアカデミックな美術や音楽、そしてマナーなど、『経験』は、宗教や国籍、性別、個性などが異なる人たちと交流して、意見を交わすことで生まれてくるものです。それぞれをバランスよく学んでもらいたいと思います。偏差値重視の受験勉強に特化してしまうよりも、幅広く教養を身に付ける。それは社会に出た時に、マナーを知っている人であってほしいからです。言い古された言葉ですが、『Noblesse Oblige(高貴なる者の義務)』を身に付けてほしい」

 柴田副校長の考える学校改革には、教員たちの意識改革も重要な要素になってくるという。「たとえば50前後の偏差値を一気に60~70に引き上げるのは無理でしょう。しかし、投げ出したり、叱咤(しった)したりすることなく先生が生徒に伴走するなら、2ポイント向上させることは難しくない。そういう『チーム』になれるように、教員たちの意識を変えてもらうように語りかけているところです」

 理想の教育に向けての改革は始まったばかりだが、青写真は見えてきつつある。たとえば、新中1生、新高1生を対象に、iPadを授業に導入する。品川のグローバル企業とWi-Fiでつなげるシステムも検討中だという。「フィールドワークを中心とした探究学習にも力を入れます。曜日を決めて毎週午後には校外に行けるように時間割にもゆとりをもたせる予定です」と柴田副校長は張り切っている。

夢を持つ、多様な個性の子供たちを迎えたい

部活動に積極的に取り組めるよう整備した天然芝のグラウンド
部活動に積極的に取り組めるよう整備した天然芝のグラウンド

 共学化に伴って部活動にも新しい変化が生まれる。男子サッカー部、男子バスケットボール部、男子バレーボール部、陸上部、卓球部、軽音楽部が新たに設立される。天然芝のグラウンドにはすでに男子が思いきって球技ができるよう、高さ12メートルの防球ネットが設置された。

 柴田副校長は、かつて自身がラグビー部の顧問を務めた経験からも、生徒が部活動に積極的に取り組めるように環境を整備していく考えだ。

 さまざまな教育環境を整えた上で、同校はどんな新入生を迎えたいと考えているのか。

 「元気な子供たち、そして夢を持っている子供たちがいいですね。本校で過ごす6年間、あるいは3年間、切磋琢磨(せっさたくま)しながら、その夢に近づけるようにサポートしたいと思います。そして多様な個性のある子供たち。それぞれがさまざまな知識と教養を深め、『この分野は○○君に聞けば詳しいね』『これは○○さんがプロフェッショナルだ』というふうに、知識や教養を掛け算していくような学び()でありたいと願っています」

 新しく始まる学校の第1期生を志望するのは不安かもしれない。しかし、見方を変えれば自分たちの学校を一から作り上げるチャンスでもある。興味があればチャレンジしてみる価値はあるだろう。

 (文・写真:田村幸子 一部写真提供:品川翔英中学校・高等学校)

 品川翔英中学校・高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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1011368 0 品川翔英中学・高等学校 2020/01/22 05:21:00 2020/01/22 12:52:13 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/01/20200121-OYT8I50014-T.jpg?type=thumbnail

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