基礎教育の徹底や高大連携で「第一級の人物」を…明大明治

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 明治大学付属明治高等学校・明治中学校(東京都調布市)は、1912年に旧制明治中学校として開校した明治大学唯一の直系付属校だ。長らく東京・神田猿楽町にあったが2008年に調布市へ移転した際、共学化した。これを機に教育改革にも着手し、カリキュラムの変更や明治大学との連携プログラムの充実などを図ってきた。改革開始から約10年を経て、安藏伸治校長に同校の今について聞いた。

幅広く学び、社会に出ても役立つ基礎学力を付ける

明大明治の教育改革を進める安藏伸治校長
明大明治の教育改革を進める安藏伸治校長

 「初代校長の鵜澤聡明(うざわふさあき)は、当時の生徒たちに『第一級の人物たれ』と語りかけていました。100年余りの時を経た現在、私たちを取り巻く社会は大きく変わりましたが、この言葉は今なお当校の大切な精神です。勉強はもちろん、行動や立ち居振る舞いなど、すべてにおいて第一級の人物の育成を目指しています」。安藏伸治校長は同校の教育方針をこう語る。

 第一級の人物を育てるため、まず重視しているのは「基礎教育の徹底」だという。同校では高校3年生まで文系と理系に分かれることなく、ほぼ全科目を必修としている。週6日制で十分な授業数を確保し、着実に学びを深める。「多数の科目をしっかりと学習することで、大学に合格するための受験技術ではなく、大学での学びの土台となり、社会に出てからも役立つ基礎学力と教養を身に付けていきます」

 この基礎教育の中で重視しているのがノートの指導だ。中学、場合によっては高校でも、授業のノートが分かりやすく、きれいに取れているか各教科の教員や担任がチェックし、見本を示しながら指導する。「卒業生の中には、中学から大学までの10年間の明治の教育で、ノートの指導が一番ためになったと言う生徒もいます。大学での勉強はもちろん、国家試験や資格試験の勉強、さらには社会人として仕事をするうえでも大いに役立っているそうです」

 基礎教育の重視は、教育改革が始まった08年以後、明治大学への推薦基準にも及んでいる。「明治大学に推薦されるには、実用英語技能検定2級に合格し、TOEIC450点以上を取得、さらに高校1年の1学期から高校3年の2学期までの定期試験の総点の6割以上を取得しなくてはなりません。そのため、生徒は定期試験の一回一回を、入試のような緊張感を持って臨みます。日頃の授業や宿題、そして定期試験をコツコツと積み重ねていくことで、明治大学への推薦資格を得られると同時に、その後の人生に必要な基礎学力が自然と強化されるのです」

 これらの条件をクリアできれば、推薦枠をめぐって生徒間で競う必要はなく、ほぼ全員が第1志望の学部に進学できる。さらに、明治大学の推薦資格を保持したまま国立大学の受験ができ、私立大学も学部・学科によっては併願できる。「生徒には、『本校に入学したら競争は必要ない』と話しています。みんなで助け合い、分からないことは教え合い、他大学を受験する生徒は応援する。一人残らず大学に行こうと話しています」

多読や語学研修の充実でグローバル教育も

6500冊の英文書籍を所蔵する図書館
6500冊の英文書籍を所蔵する図書館

 同校は、グローバル教育にも力を注いでいる。中学では英語の授業を週7時間設け、毎日英語に触れる時間を作っている。7時間のうち4時間は、クラスを分割し、中1では少人数授業、中2、中3では習熟度別の授業に充てている。また、1時間はネイティブの教員による英会話の授業を実施している。

 図書館を活用した英文書籍の多読も推進している。図書館には、英語を母語としない学習者向けに厳選された約6500冊の英語多読本が備えられている。それぞれの書籍には英語のレベルと語数が記されていて、生徒が自分に合う一冊を選びやすくしている。生徒たちは、一定の期限までに指定の語数を読み、感想を書くことを求められており、自然と英語に親しんでいく。「最初は、英文書籍を読むことは無理だと思っていても、絵本などからスタートし、本を読み重ねることで、知らず知らずのうちに長文が読めるようになる。このように小さな学習を積み上げて、少しずつ山の上まで登れるようなシステムづくりを意識しています」

 さらに、中3と高1を対象とした「イングリッシュ・スピーチ・コンテスト」や、高2、高3を対象とした「イングリッシュ・プレゼンテーション・コンテスト」もある。入賞者には、自分で選んだ国で研修を行うための奨学金が支給される。最近では、フランスやマルタ共和国など、興味・関心に合わせてさまざまな研修地を選ぶ生徒が出てきているという。

カナダにあるヨーク大学での研修
カナダにあるヨーク大学での研修

 国内外で行う語学研修プログラムも充実している。国内では中学生を対象に、福島県の「ブリティッシュヒルズ」で行うイングリッシュキャンプや、高校生を対象に明治大学清里セミナーハウスで行う英語研修があり、海外では、中高の希望者が夏休みにカナダ、春休みにオーストラリアで行う約3週間の語学研修や、高3生が12月下旬~3月上旬にカナダのヨーク大学の大学準備コースで学ぶ研修がある。「ヨーク大学での研修は一昨年からスタートしましたが、参加した生徒は、とても明るく、いい顔をして帰ってきました。一部の生徒は『このままヨーク大学に入学しては』と誘われるほどでした。本校での6年間で、海外大学でもやっていける力を養えたことは、我々の自信にもなりました。日々の英語の授業やコンテスト、語学研修などを経験することで、生徒たちの中に英語に対する積極性が出てきたと感じています」

大学進学後に単位認定される高大連携プログラム

高大連携プログラムで明治大学の教員に学ぶ生徒
高大連携プログラムで明治大学の教員に学ぶ生徒

 明治大学唯一の直系付属校として、積極的に高大連携を進めているのも同校の特徴だ。高2生を対象に行われる「高大連携講座」は、明治大学の10学部の教員が毎週2時間、通年で行う講座で、学部の紹介を中心に専門的な内容にまで踏み込んで指導し、生徒の学部選択をサポートする。

 高3生の希望者を対象とした「プレカレッジプログラム」では、明治大学の講義の一部を大学生に交じって実際に受講する。取得した単位は大学入学後、明治大学の学部単位として認定される。さらに、夏、冬、春の長期休暇中や高3の3学期に「高大連携セミナー」を実施している。簿記の資格取得講座や模擬裁判、裁判傍聴、化学・物理の実験、プログラミング、TOEIC・TOEFL講座も受講できる。「高大連携だけでなく、中学生が理工学部の研究室で学ぶ中大連携セミナーも行っています。少し『背伸び』をした知的好奇心の高い生徒を育てたいと考えています」

 これらの教育改革は、目覚ましい成果を見せている。今年度の高3生は、6月の英検までに約260人全員が2級以上を取得し、うち1割程度は準1級以上を取得した。大学進学では昨年度、89.6%が明治大学へ推薦合格を果たしたほか、慶応大学に20人、早稲田大学に13人、上智大学に11人、東京理科大に9人、医学部に12人が合格。東大、東工大、一橋大などの国立大学にも合格者を出すなど順調に成果をあげている。

 安藏校長は「今後もさらなる改革が必要」と語る。「新しい学習指導要領や大学入試改革に対応すべく、カリキュラムを見直していきたいと思います。また、ICT化を進めることで、よりいっそう明治大学との連携を深め、カリキュラムのレベルアップを図りたいですね」

 付属校の特性を生かした教育によって、同校は今後も、のびのびと活躍できる人物を世の中に送り出していくことだろう。

 (文:籔智子 写真:中学受験サポート 一部写真提供:明治大学付属明治高等学校・明治中学校)

 明治大学付属明治高等学校・明治中学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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1003031 0 明治大学付属明治高等学校・明治中学校 2020/01/17 05:21:00 2020/01/22 16:36:22 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/01/20200116-OYT8I50025-T.jpg?type=thumbnail

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