ダブルディプロマコース開設5年、海外にも広がる進路…文大杉並

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 文化学園大学杉並中学・高等学校(東京都杉並区)は、最近、採用する学校が増えてきた「ダブルディプロマ(DD)コース)」を早くも5年前、高校に開設した草分け的な存在だ。同校のDDコースを修了すれば、日本とカナダの高校卒業資格が同時に取得できるとあって志願者が増えているという。一昨年、中学にも「DD準備コース」を開設し、こちらも保護者に好評だ。DDコースを導入した松谷茂校長に、その狙いと同校の国際教育の取り組みを聞いた。

グローバル時代に合った英語力養成の柱として

DDコースについて語る松谷校長
DDコースについて語る松谷校長

 松谷校長は1974年、開校・創立したばかりの同校(旧文化女子大学附属杉並高等学校)に東京学芸大学教育学部を卒業して赴任した。教員として30年余りのキャリアを積み、2011年に校長就任。DDコースの開設を柱に国際教育に力を入れてきた。

 ――どのような経緯でDDコースを導入したのですか。

 いくつか背景があります。まず、本校は女子校時代から英語教育に重点を置いており、もともと英語好きの生徒が多い傾向にありました。

 本校は「感動の教育」を建学の精神としています。価値あるものに打ち込む経験から生まれる感動が、人間的な成長を促すという考え方です。勉強や部活動に燃えるものならば、学校を挙げてバックアップしようと考えました。また、グローバル化する現代社会に対応して、読み書きや文法偏重の日本的な英語教育を脱し、時代に合った英語力を養成する環境を整えたいと思い、その柱として着目したのが、日本とカナダ・ブリティッシュコロンビア州(BC州)両国の高卒資格が取れるDDコースでした。

 ――BC州を選んだのはどうしてですか。

カナダ短期留学で課外活動をする高1DDコースの生徒たち
カナダ短期留学で課外活動をする高1DDコースの生徒たち

 中3の修学旅行の行き先としてなじみ深い地域であったし、自然の豊かさや外国人にオープンな社会文化などに魅力を感じていました。くわえて教育面では、日本のような講義主体の授業ではなく、生徒自ら思考や討論に取り組む「PBL(課題解決型授業)」が主流であった点も大きいですね。

 私が校長に就任した当時から、BC州の教育は海外でも評価が高く、中国、韓国、フランスなど多くの国の学校がDDを取り入れていました。しかし、日本ではまだ導入した学校がなく、ならば本校が先駆けになろうと考えました。前例がなかったため認可を得る手続きなどに時間がかかり、ようやく2015年に開設へこぎつけました。

通常授業に加え、英語でカナダ式授業も

 ――DDコースの教育内容を教えてください。

 通常の高校のカリキュラムに加え、校内に併設された「Bunka Suginami Canadian International School(BCS)」の生徒として、BC州教育省から派遣されたカナダ人教員による授業を受けます。もちろん各教科とも英語による授業です。高1の7月には、BC州の学校に短期留学も行います。

 授業時間数は通常よりかなり増えます。高1では通常週36時間授業ですが、DDコースでは46時間。平日は8時間授業で、土曜も6時間授業となります。また、英語の授業が週に20時間以上あるため、英検準2級レベルの英語力を条件としています。

 ――BC州のPBL授業はどのように行われるのですか。

カナダ短期留学では最後に学んできたことをまとめる
カナダ短期留学では最後に学んできたことをまとめる

 日本で近年広がり始めた探究型授業に近いですね。テーマを設定し、情報収集やグループ討論などを経てプレゼンテーションを行います。

 例えば数学では、日本なら暗記で済ます公式や定理などをグループワークで証明したりします。自分たちで考えて結論にたどり着くため、従来は「数学が苦手」と言っていた生徒も理解が進み、成績アップにつながるケースもあります。また、授業内容も日本のように細分化されておらず、数学の授業が理科や社会科の内容に及ぶなど、科目横断的に行われます。

 ――英語力の向上だけがメリットではないのですね。

 授業では英語圏の国々の文化や価値観も学ぶため、日本の価値基準に捉われない複眼的視点が養われます。またボランティア活動や株式のシミュレーションなど、日本ではあまりやらない取り組みもあって、実社会への関心が深まり、進路選択のヒントを得る機会にもなります。授業で教わったオーロラの仕組みに興味を持ち、オーロラ観測地に近いカナダの大学に留学した生徒もいます。

 ――DDコースを修了すると、どのような進路が開かれますか。

 BC州の高校卒業資格が授与され、カナダをはじめ英、米、豪州など英語圏の大学への出願がスムーズになります。また、国内の大学入試では通常の試験に加えて帰国生・留学生の受験資格が得られ、AO入試でも有利となるため、受験の幅が広がります。

 これまでDDコースを修了した生徒は3学年で43人ですが、うち13人がカナダやアメリカ、オランダ、チェコなど海外の大学に進学しました。今の高2、高3生40人も、将来の進路が楽しみです。DDコースの志願者は開設以来増加しており、18年の共学化と同時に2クラスに増やしています。

 ――授業のレベルが高そうですが、生徒はついていくのに苦労しませんか。

英語で数学の授業を受ける生徒たち
英語で数学の授業を受ける生徒たち

 そのため18年度から、中2、中3に「DD準備コース」を開設しました。英語は通常より2時間多い週10時間の授業を行い、うち8時間はBC州の教員が担当して、英語で理科や数学などの内容を教えています。このコースは中2の段階で英検4級レベルを条件としており、帰国生などネイティブの環境を経験した生徒と日本語環境のみで育った生徒にクラスを分け、それぞれに合わせた授業を行っています。

DDコースから広がる学習環境の進化

 ――DDコース以外にはどんな国際教育を行っていますか。

 空き教室を利用して、英書約7000冊を置いた「イングリッシュラウンジ」を開設しました。生徒が自由に利用できるほか、授業でも活用します。放課後にはネイティブの教員が常駐し、訪れた生徒の質問に答えたり、英会話練習のサポートを行ったりしています。

 また、中学校では英文の暗唱を競う「イングリッシュコンテスト」、高校では自分の関心事について英語で発表を行う「イングリッシュプレゼンテーションコンテスト」などの学習行事を行っています。DDコースで日常的に取り組んでいることを、他のコースにも採り入れた形です。

 また、PBLの手法を生かし、他コースの授業でも今年度から「探究学習」を採り入れます。さらに暗記型学習からの脱却も図るため、試験範囲を決めずに思考力・判断力・表現力を問う学力テストを年1回行います。

 ――海外研修にも力を入れているそうですね。

 中3のカナダ語学研修旅行では一般家庭にホームステイし、現地の学校で交流活動や授業体験をします。中1から高2にかけては、フィリピンのセブ島にある英会話学校で2週間の英会話研修を受けることができます。学校として用意した機会のほかにも、夏休みなどに自主的に海外へ学びに行く意欲的な生徒もいます。その他、中2ではイギリスでの2週間のホームステイ、高1、高2ではオーストラリアへのターム留学の機会も用意しています。

 ――今後の国際教育の課題や展望は。

 中学の「DD準備コース」が保護者の方々に好評で、「中1からやってほしい」というご要望を多くいただいたため、2021年度からは中1年次に同コース進級を前提とした「アドバンストクラス」を新設します。DDコース開設から5年になり、授業や教員の陣容も整って、中学入学時は英語経験ゼロでも、高3には英検準1級を取得し、海外大学への進学も可能とする教育の仕組みができました。今後はルーブリックによる客観的な達成度評価などを活用しながら、着実に学力が付く教育を確立していきたいと考えています。

 (文:上田大朗 写真:中学受験サポート)

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1154352 0 文化学園大学杉並中学・高等学校 2020/04/09 05:22:00 2020/04/09 05:22:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/04/20200408-OYT8I50015-T.jpg?type=thumbnail

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