【特集】人生100年時代を見据えた「大妻Vision50」…大妻

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 大妻中学高等学校(東京都千代田区)は2017年から、新しい教育理念「大妻Visiоn50」を掲げ、長く社会貢献できる女性の育成を推進している。就任4年目を迎えた成島由美校長に、この教育理念に込められた意義と、理念を実現するためのさまざまな教育実践について聞いた。

50年間、社会貢献できる女性の育成を目指す

「理想の生き方をかなえるために学び続ける人になってほしい」と話す成島校長
「理想の生き方をかなえるために学び続ける人になってほしい」と話す成島校長

 成島由美校長が「大妻Vision50」という新たな教育理念を掲げ、同校の校長に就任したのは2017年のことだ。「50」という数字には、変化の著しいグローバル時代にあっても、今後50年にわたって勤労を通して社会貢献してほしいという意味、人口減少や少子高齢化などさまざまな問題の噴出が予想される「2050年」問題への備え、さらには今年が学祖・大妻コタカの没後50年であることが含意されているという。

 「大妻コタカは亡くなるまで本校の教壇に立ちましたが、自らの技術を生かして新しい仕事を生み出す職業人でもありました」と成島校長は話す。経済的に自立した職業婦人が少なかった明治期に、細い口の瓶内に手まりや人形を入れ込んだ「瓶細工」を作り、百貨店のヒット商品にするなど、ゼロから価値を生み出す職業人としての一面も持っていたという。

 新しい教育理念には、大妻コタカのように、自分の得意なことや好きなことを生かし、良き家庭人、職業人として活躍するための基礎力を中高6年間で身に付け、先の見えないこれからの時代をしっかり生き抜いてほしいという願いが込められている。

 「人生100年時代を生きるためには、何歳になっても、変化する時代にふさわしい能力やスキルを身に付けなければならないでしょう。大妻の生徒たちも、理想の生き方をかなえるために学び続ける人になってほしいのです」

 成島校長は民間企業出身という異色の経歴を持つ。大学卒業後、福武書店(現・ベネッセコーポレーション)に入社。学習塾や通信教育、英語教育など多岐にわたる教育事業の企画営業職などを経て、35歳で同社の執行役員に就任した。その後、大妻学院の外部理事に招かれ、現職に就いた。

 校長就任が決まる2年前から、学校経営について学ぶために、働きながら早稲田大学大学院に通学してMBAを取得し、未知の教育職への準備に努めたという。校長自身、「学び続ける」女性の一人でもある。

 「中高6年間は、生徒の長い人生から見れば短いものです。しかし、他の生徒や教員との出会い、また社会と多くの接点を持つことで、自分らしさや生きる上での強さを見つけることができます。私たちは、その機会を幅広く提供し、生徒の自律と自主性を伸ばすことを重視しています」

ビジョンを実現するためのさまざまな教育実践

日本郵便の協力で行われたドローンを使ったワークショップ
日本郵便の協力で行われたドローンを使ったワークショップ

 社会で50年活躍できる女性を育成することを目的とした「大妻Vision50」の理念は、同校のさまざまな教育実践に反映されている。

 日頃の教科教育では、確かな学力の習得を目標として、授業と課題に着実に取り組み、学力を身に付ける指導を行っている。各授業で定期的に実施する小テストや補習、学習習慣を身に付ける指導など、毎日の授業が生徒の学力の基礎となり、自学の姿勢を育むという。

 日々の授業に加えて定期試験も重視されている。テストで高得点を取ることも大切ではあるが、むしろ限られた時間の中で、目標に向かって計画的に学習する姿勢を学ぶことができるからだという。「本校には『恥を知れ』という校訓があります。決して他者ではなく自分への戒めです。自らを律して学習に取り組み、試験という目標を乗り越えられるよう精神力を高めることが大切です」と、成島校長は話す。

 同校は、千代田という立地を生かし、社会とのつながりを学ぶことにも力を入れている。立ち並ぶ大学や企業、省庁などと提携したプログラムを豊富に用意しており、最近では、早稲田大学や慶応大学、日本郵便など大学や企業の協力を得て、AIや量子コンピューター、ドローンなど、最先端の情報技術で活躍する研究者や技術者を招いての講演を開いている。 

 「教科教育の中では難しい、これから成長する産業と日頃の学びをつなげる機会を多く設けるように努めています」と成島校長は話す。例えば、高校の情報の授業で、新しいプログラミング言語を講演で教わったドローン技術と関連付けて学ぶなどしており、学校の授業で学んだことと社会とのつながりに生徒たちは気付くという。

グローバル教育の推進とICT教育の導入

模擬国連に取り組む生徒たち
模擬国連に取り組む生徒たち

 世界とつながるグローバル教育も、「大妻Vision50」が目指すものだ。その代表的な活動の一つが模擬国連への参加だ。2019年は全日本高校模擬国連大会に初出場して優秀賞に輝き、ニューヨーク国際大会へ日本代表として派遣されることが決まった。

 昨年は同校としても模擬国連を主催し、高2の生徒らが他校と協力してイベントの運営・進行にあたった。今年も引き続き開催を予定していたが、新型コロナウイルスの感染拡大が危ぶまれたため、生徒たちはオンラインでの実施を提案し、情報科の教員とインターネット環境について相談しつつ、6月14日に無事開催できた。

 もちろん同校も、アメリカやオーストラリアへの海外研修や留学は重要なグローバル教育の機会ととらえているが、海外への渡航が難しい現在は、模擬国連などの機会を生かすことによって国内でも十分、グローバル教育は実践できると成島校長は考えている。

 「海外留学イコールグローバル教育とは限りません。生徒たちが積極的に参加している模擬国連は、英語能力や課題解決能力を高めるだけではなく、困難を乗り越えるたくましさを育み、多様性を学べる場です。生徒の将来のキャリアにつながる得意な分野を見つけるチャンスにもなることでしょう」

生徒1人1台のタブレットを導入し、積極的なICT教育を実践している
生徒1人1台のタブレットを導入し、積極的なICT教育を実践している

 ICT教育の実践も、今日の学校教育に欠かせない要素だ。成島校長は赴任翌年の2018年から、生徒1人1台のタブレット導入に踏み切っている。

 そのため、新1年生を除けば、生徒はすでにタブレットの操作に慣れており、教員は3月中にさまざまな研修を重ねながら授業計画を立案し、4月9日からスムーズにオンライン授業を開始。通常の6時限授業もオンライン上で実現できた。

 入学時から登校できない中1生には、4月に各教科の教材をまとめて自宅に発送した。教科書に加えて、授業の予・復習の仕方やノートの取り方などをまとめた教材も同封した。

 成島校長は、新入生の一人一人に手紙を書き、その教材一式に添えて送ったという。「今年は残念ながら、約300人の新入生を入学式で迎えられませんでした。温かく受け入れたいという思いを込めて書きました」

 成島校長は新入生たちへの思いをこう語る。「将来の目標を、入学前から固めてしまう必要はありません。中高6年間は、やり投げに例えると、目標を見つけて(やり)に角度を付ける期間。大学時代を含めて学びと社会経験を重ねることで、より高く飛ぶための助走をして、自信をもって活躍してほしいです」

 大妻での中高6年間で人生の基礎をつくり、生涯現役を貫く輝く女性へと成長していくことを期待する。

 (文・写真:三井綾子 一部写真提供:大妻中学高等学校)

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