【特集】立派なレディーへと成長を導くキリスト教教育…ノートルダム女学院

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 カトリック校であるノートルダム女学院中学高等学校(京都市)は、授業だけでなく、キリスト教の精神に基づく学校行事やクラブ活動など学校生活全体を通して、生徒の人間としての成長を促している。中学、高校と伝統のオーケストラクラブで活動し、生徒会活動やボランティア活動にも全力で取り組んで希望の進路を実現した卒業生がいる。彼女と、成長を見守ってきたクラブ顧問教員に、学校生活の話を聞いた。

受験勉強とクラブ活動をともにやり遂げる

「部活動に取り組み、最後までやり遂げた経験は、学習などにも生かされます」と話す中教諭
「部活動に取り組み、最後までやり遂げた経験は、学習などにも生かされます」と話す中教諭

 月に数回、同校事務室で受付のアルバイトをしている卒業生がいる。現在、大阪歯科大学に通う辻栄里香さん(2回生)だ。辻さんは仕事の傍ら、生徒の前で受験体験や大学生活の話をすることもあり、よき先輩として親しまれている。

 辻さんは、中学入学時から高2での引退までオーケストラクラブに所属し、バイオリンを担当していた。音楽科教員であり、オーケストラクラブの顧問も務める (なか)勝弘(かつひろ) 教諭によると、オーケストラクラブは創部から60年以上の伝統を誇り、同校の部活の中でも最多の約60人が所属している。

 それだけに活動は多く、練習もハードだ。校外のホールで開催する年1回の定期演奏会では、演奏時間が約1時間に及ぶ交響曲を全楽章通して演奏するのが伝統だという。部員は定期演奏会を意識し、数か月かけて曲の完成度を高めていく。平日は放課後にほぼ毎日、演奏会直前になると日曜日も含めて長時間の練習を行う。熱心な部員もさすがに、大学進学を意識する高校生になると、学業との両立に悩むケースが少なくないという。

 歯科医になるという目標を持っていた辻さんも、「勉強に専念した方がいいのではないかと、クラブ活動の継続に迷いを持ったことが何度もありました」と話す。

「学校での温かな人との関わりの中で、自然と他者のことを考えられる心が養われました」と話す辻さん
「学校での温かな人との関わりの中で、自然と他者のことを考えられる心が養われました」と話す辻さん

 しかし、中教諭は、生徒の悩みや迷いを知ったうえでも簡単にクラブ活動をやめることを勧めない。「クラブ活動も含め、学校生活でのさまざまな経験を通じて、人としての成長を促すのが本校の教育目標の一つですから」と中教諭は話す。「これまで多くの生徒を見てきて、部活動を最後までやり切った生徒は、自分で進むべき道を見つけて受験勉強もしっかり頑張って進学していけると感じています。中・高生が交響曲全楽章を演奏するには、大変な集中力と練習量が必要です。集中力を発揮して取り組んだ時間や最後までやり遂げた経験は、学習など他の場面でも生かされます」

 辻さんも、中教諭からアドバイスや励ましを受けて勉強とクラブ活動の両立を決意した。受験勉強の時間をつくるために朝7時半に登校し、始業までの約1時間を確保。さらにクラブ活動終了後にも集中して自主学習したという。「朝、職員室前で自主学習している先輩の姿を見て、もっと時間を有効活用するべきだと考えました。隙間時間に集中すれば、学習の効率も上がると気付きました」と辻さんは話す。

 高2の3月に定期演奏会を終えた時の気持ちを辻さんは、「達成感などいろんな気持ちがあふれて涙がとまりませんでした。途中で諦めなくて良かったと心から思いました」と振り返る。

 中教諭も「演奏後に拍手をもらう時の気持ちを生徒に体験させてあげたいのです。日々の練習を乗り越えたからこそ味わえる感動の瞬間です」と語る。「たとえ本番で失敗してもいいから、一生懸命やり遂げることに意味があると思っています。演奏会では、自分たちの力で作り上げた音楽の演奏を生徒にも観客にも楽しんでほしいですね」

ボランティアの場で気付きや学びを得る

交響曲全楽章を演奏するオーケストラクラブの定期演奏会
交響曲全楽章を演奏するオーケストラクラブの定期演奏会

 オーケストラクラブの活動は定期演奏会や文化祭にとどまらない。カトリック校にふさわしく、障害を持つ人を学校に招いてのボランティアスクールで演奏を披露するほか、高齢者施設など外部の施設を訪れての演奏も年に数回行っている。

 中教諭は、「カトリック校である本校は奉仕の精神を大切にしており、これらの活動は実践の場として行っています。他者に寄り添い、自分に何ができるのか考える機会となっていて、生徒に新たな気付きや学びを与えています」と活動の意義を説明する。

 辻さんも、こうしたボランティアの場で大切な気付きを得たという。「高齢の方とお話しさせてもらったとき、生きがいは人と話すこと、食べることだと聞きました。私が歯科医を目指したのは、社会に貢献できる仕事であり、健康に生きる上で欠かせない歯の健康を守りたいと考えたからです。お話を聞いて歯の健康の大切さを実感でき、歯科医になりたいという気持ちを再確認することができました」

 辻さんは中3と高2の時に生徒会長も務めている。生徒会活動に携わったのは、「学校が好きだから何か貢献できることをしたい、学校の良さをいろんな人に伝えたい」という気持ちからだった」という。「先生との距離も近く、とてもアットホームな雰囲気の学校が大好きでした。そんな学校生活をもっと充実させたいと思っていました」

 生徒会では、ハロウィーンイベントでお化け屋敷を作ったり、受験生に向けての広報活動を行ったりした。活動を通じて、自身の成長も感じられたという。「人前に出るのはあまり得意ではなかったのですが、発信する力やコミュニケーション力が鍛えられたと思います」

一人の立派なレディーでありなさい

指輪贈呈式に臨んだ高3時の辻さん(右端)
指輪贈呈式に臨んだ高3時の辻さん(右端)

 辻さんは同校でのさまざまな経験を通じて多様な力を身に付けたという。「継続する力、集中力、チャレンジする精神など、在学中に得られた力を生かして大学での学びにも意欲的に取り組んでいます」と話す。

 さらに、6年間の学校生活で最も自身の成長を感じたのは、人とのつながりの大切さに気付き、人を思いやる心を養えたことだという。「学校での温かな人との関わりの中で、自然と他者のことを考えられる心が養われました。週1回の校長先生のお話から、女性としてのすてきな生き方や考え方に触れられたことも印象に残っています。これから歯科医を目指すにあたっても、人を思いやる心を忘れずにいたいと思っています」

 中教諭は、「人を大切にするのがカトリック精神の基本です。学校生活を通じて他者を大切にする気持ちを養ってくれたことをうれしく思います」と、辻さんの成長ぶりに目を細める。

 同校では卒業を控えた高3の秋、父母の会主催で指輪贈呈式が行われる。一人一人に指輪が贈られ、学校生活を支えてくれた教員や保護者に感謝し、これまでの学校生活を振り返る機会になっている。辻さんは、「初代校長のメッセージである『Be a Lady(レディーでありなさい)』の言葉に導かれ、大人の女性に一歩近づけたと感じました」と、指輪贈呈式に参加した日の思いを振り返る。

 ノートルダム女学院の「ノートルダム」は聖母マリアを意味する。だから、「Be a Lady」という言葉にはおのずと、「聖母マリアにならって生きてほしい」という意味も込められているという。

 取材を振り返って、カトリックの精神に支えられたさまざまな学校行事や部活動、そしてもちろん勉強を通して同校の小さなレディーたちが立派に成長していくさまが目に浮かぶようだった。

 (文・写真:溝口葉子 一部写真提供:ノートルダム女学院中学高等学校)

 ノートルダム女学院中学高等学校について、さらに詳しく知りたい方は こちら

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