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【特集】建学の理念受け継ぎ、生徒を「幸せな人生」へ導く…東京家政学院

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 東京家政学院中学校・高等学校(東京都千代田区)で今春、佐野金吾氏が11年ぶりに校長に復帰した。女子教育の伝統校として創立以来受け継いでいる建学の精神や、新しい時代に対応して生徒の夢を実現するための「ライフキャリア教育」、新たに導入したコース制や高大連携の取り組みなどについて佐野校長に聞いた。

受け継いだ建学の精神を現代に生かす

「教員は『教える師』ではなく『導く師』であるべき」と話す佐野金吾校長
「教員は『教える師』ではなく『導く師』であるべき」と話す佐野金吾校長

 「本校は約100年の歴史を持っています。創始者の大江スミが、文部省の命を受けてイギリス留学で家政学を学んで設立しました。当時、女子の教育は遅れていました。スミはイギリスで大変な刺激を受け、グローバルスタンダードと女子教育の重要性を痛感したのです」。佐野校長は、学校の創立の背景についてこう説明する。

 佐野校長は、1999年から2009年までの10年間、同校の校長を務めたが、その後、教育新聞論説委員、全国図書教材協議会会長、日本教材学会会長などを歴任し、11年の歳月を経て今春、思いも新たに再び同校の校長に就任した。

 「スミは教育理念を『KVA』としました。Kは『Knowledge』、知識。Vは『Virtue』、道徳、礼儀作法、家庭のしつけですね。Aは『Art』、創立当時は家事の技術・技能の意味を持たせていました」

 この「KVA」の理念は、学院の建学の精神として今も大切に受け継がれているが、時代に合わせて3要素の重さや解釈は変化する。佐野校長は「KVA」について次のように考えているという。

 「現在は『Knowledge』、知識と『Art』、技術・技能は一体化したものと考えています。また、『Art』は、生徒の持っている感性であるとも捉えています。家政学という学問は、人々の生活を豊かにするための学問です。私は、この感性、心こそ一人一人が幸せな生活を過ごすために大事なものであると考えています」

五つの教育プログラムが実現する「ライフキャリア」

留学生との交流や海外研修で実践的な英語を学ぶ
留学生との交流や海外研修で実践的な英語を学ぶ

 「KVA」の理念に基づき、生徒一人一人が幸せな生活を過ごせるようになるために、同校は、五つに大別された教育プログラムを用意し、その全体を「ライフキャリア教育」と特徴付けている。

 一つ目の「グローカル教育」では、クラスから他学年、地域社会、世界へと「つながる力」を育てるため、仲間づくりのコミュニケーションプログラムから、地域の商店や企業の訪問、SDGs探究プログラムまでを段階的に学ぶ。

 二つ目の「英語教育」では、イングリッシュキャンプ、留学生との交流会、シンガポール、イギリス、オーストラリア研修などが用意され、豊富な体験から実践的に学ぶようになっている。

 三つ目の「ICT教育」では、電子黒板とICT端末を活用したアクティブラーニング、全校プレゼン大会、e-ポートフォリオによる学びの可視化などに取り組む。

花道、茶道、マナー講習などで、女性としての豊かな教養と品性を育成する
花道、茶道、マナー講習などで、女性としての豊かな教養と品性を育成する

 四つ目の「エレガンス教育」は、花道、茶道、マナー講習などを通して、女性としての豊かな教養と品性の育成を目指す。

 最後の「家庭科教育」は、調理、被服、幼児教育、シニア疑似体験実習などによって、衣食住に関する基本的な知識と技術を身に付ける。

 いずれのプログラムも体験を重視した構成になっており、社会でも家庭でも活躍できる自立した女性の育成を目標としている。

 佐野校長は、「中学では『何を学ぶか』『何のために学ぶか』『どうやって学ぶか』をきちんと身に付けることが何よりも重要であり、高校ではその基礎の上に『自分で何をしたらいいのか』『何が出来るのか』を考え、自分の可能性を自分で伸ばしてゆくように指導します」と話す。

 また、授業のあり方については、教師が一方的に教えるのではなく生徒が自ら学びを深めていくように導くという。「『教える師』ではなく『導く師』であれと、常に教師に呼びかけています」と佐野校長は言葉に熱を込めた。

望む進路に適応するコース制と高大連携の導入

 生徒一人一人が将来の夢を実現するために、希望の大学へ進学することは重要課題だ。

 同校は、これからの大学入試改革に対応し、進学を一層確実なものにするため、今年度からコース制をスタートさせた。中学3年生で「リベラルアーツコース」「アドバンストコース」に分かれ、高校2年生からは、両コースを文理に分け、「家政・児童進学コース」と「管理栄養進学コース」を合わせた計6コースに分かれる。これにより生徒は、自分の適性と志望に合ったきめ細かなカリキュラムで学ぶことができ、モチベーションも高まる見込みだ。

 また、21年度からは高大連携も強化する。高校在学中に、科目等履修生として東京家政学院大学の講義に出席し、試験を受けて単位取得することが出来るようになる。一段階深いレベルの学びを体験できるうえに、進学後の単位を先取りできることになる。「大学の枠をもらう『高大連携』ではなく、『学びの連携』と言えます。将来はこの取得した単位が他の大学でも認定されるようになる可能性も広がっていくでしょう」と佐野校長は夢を膨らませる。

 ただ、現状に目を向ければ同校も、いまだ終息しない新型コロナウイルス感染に頭を悩ませている。休校対策として4月中にオンライン授業の仕組みを準備し、試行錯誤を経て5月からは本格的に授業を行っているが、従来のように学校説明会に受験生と保護者を集めることは難しい。

 現在は、オンラインの個別相談会や、生徒たちが出演するWeb学校説明会などを随時実施して、学校を知ってもらう努力を続けている。

 「来校形式の企画は難しくなっており、その分、ホームページでの学校紹介を工夫して随時発信しています。本来は、ぜひ足を運んで、当校の雰囲気や空気を感じてほしいのですが……」と佐野校長は残念そうに話した。

 ただ、来校形式のイベントも、コロナ感染の状況を判断して開催したい考えはあるという。その機会が来たら、「女子校だから出来ること」「女子であること」を大切にしながら、現代の女子教育を進化させ続けている同校に、足を運んでみてはどうだろう。

 (文・写真:池野みのり、一部写真提供:東京家政学院中学校・高等学校)

 東京家政学院中学校・高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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1311067 0 東京家政学院中学校・高等学校 2020/07/02 05:21:00 2020/10/26 11:22:16 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/06/20200630-OYT8I50028-T.jpg?type=thumbnail

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