【特集】生徒の主体性で成功させる文化祭と修学旅行…立教池袋

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 立教池袋中学校・高等学校(東京都豊島区)は、学校生活のさまざまな場面で生徒の自由で主体的な活動を支援している。特に学校行事は、主体的な取り組みを通して「テーマを持って真理を探究する」「共に生きる」という二つの教育目標を体得する場となっているという。同校の生徒にとってビッグイベントと言える文化祭と修学旅行について、彼らの活躍ぶりを取材した。

生徒主体で自由に作り上げる文化祭

R.I.F.は、例年2日間で約1万人が訪れる大きなイベントだ(昨年度撮影)
R.I.F.は、例年2日間で約1万人が訪れる大きなイベントだ(昨年度撮影)

 「系列の立教大学が『自由の学府』と呼ばれ、親しまれているように、本校も自由を重んじており、生徒が主体性を持ち、お互いを尊重し合うことを伝統としています。『テーマを持って真理を探究する』『共に生きる』という二つの教育目標も、この主体性をコンセプトとした言葉です」。広報室長の増田毅教諭はこう語る。

 同校には、生徒が持ち前の主体性を存分に発揮できるイベントが多くあるが、文化祭と修学旅行(校外学習)は力が入るイベントだ。

 今年はコロナ禍の影響でオンライン開催となったが、11月の文化祭「Rikkyo Ikebukuro Festival(R.I.F.)」は、例年2日間で約1万人が訪れ、一年で最大の盛り上がりを見せるイベントだ。

 昨年も有志や部活動ごとに多彩な企画や発表が行われた。校内では「モーツァルトが現代に生きていたらどんな音楽をつくるかAIが演奏」「ヴァーチャルリアリティで渡し舟体験」「自作スーパードームのプラネタリウム」といったユニークなテーマの出し物が並び、校庭では、庭球部が慶応中等部と交流試合をするなど、各運動部の招待試合がいくつも行われた。ホールでは吹奏楽部の演奏、演劇、英語プレゼンテーションなどが行われ、来場者の注目を浴びた。

 2019年のR.I.F.実行委員長、齊川純君(高3)は、「完全に生徒主体の行事です。発表や演奏、出店など、やりたいことは何でも自分たちで自由に作り上げることができます。一方で、自分でやろうとしなければ、何も関わらないで終わってしまう。だからこそ、テーマを『みんなで作るR.I.F.』と掲げました」と話す。

 齊川君自身、小学生の時にR.I.F.を見に来て圧倒され、同校を目指したという。入学後、R.I.F.実行委員や出店の企画などに関わっていくうちに、もっと深く携わりたいと、高2の時に実行委員長に立候補し、投票で選ばれた。

 実行委員会は、委員長と副委員長、総務、書記から成る部署総括のほか12の部署から成り、全体で120人を超える大所帯だ。齊川君は「意見が割れて衝突したこともありました。平等にまとめるのに苦労しました」と話す。恒例の人気企画「Mr.立教」の出場者が集まらず、開催が危ぶまれたこともあったが、「何年も続く伝統企画なので、やらなければという使命感がありました。みんなで力を合わせて実現でき、安心しました」。

 最終日に閉会式のあいさつに立った齊川君は、「多くのお客さんが体育館に集まったのを見て、胸にこみ上げるものがあり、感謝の気持ちでいっぱいでした」という。「自由な分、自分なりのテーマや意志を持って取り組むことが大事だと思いました。この経験は今後の自分の人生にも生かせると思います」

 齊川君たちはR.I.F.を通じて「テーマを持って真理を探究する」という教育目標を達成したようだ。

生徒自身でコースを決める校外学習

 修学旅行もまた、生徒が主体性を持って取り組む大きな行事だ。ただ、一般的な修学旅行と異なり、同校では「校外学習」と呼んでいる。「家族旅行が一般的になり始めた1970年代に、学校が旅行を与えるのではなく、生徒自ら計画を立て、何を学びに行くか考えてもらおうと、現在の内容になっていきました」と担当の荻野朝行(おぎのともゆき)教諭は説明する。

 「校外学習」の行き先は、生徒自身が決める。中3生は本州、高2生は本州以外の国内から選び、4泊5日の日程で実施する。

校外学習の成果はR.I.F.でも発表される
校外学習の成果はR.I.F.でも発表される

 中学の「校外学習」は中1で行うガイダンスから始まる。「事前学習を進める中で、生徒それぞれが興味を持った地域から、行きたい地域を決めていきます」。このとき活躍するのが、コース作成委員だ。「人数が決まっていないので、年によって人数も変わり、途中から委員になる生徒もいます。彼らでコースを決め、さらに全員が事前学習やリポート作成をして知識を深めるなど2年かけて準備します。終了後は作文にまとめるほか、R.I.F.でも展示発表します」

 昨年、コース作成委員を務めた棈松龍央(あべまつれお)君(高1)は、「最初は八つあったコース案を委員がプレゼンして、投票で四つに絞ったのですが、僕は北陸コース担当だったのでプレゼンに苦労しました」と話す。金閣寺などの名所が多い関西に比べれば、北陸は地味な印象だったからだ。「他の委員と何度もミーティングを重ね、最終的に『北陸は何があるかわからない。』をテーマにプレゼンに臨み、関西や山陽などを押さえ、1位になりました。デメリットをメリットに変えたのが有効でした」と振り返る。

 四つのコースが決まってからは、コースごとに委員たちで話し合い、何を学びたいか考えて5日間のスケジュールを決める。また、生徒全員が取り組んだ事前学習の内容は、委員がしおりに盛り込んで、内容豊かに仕上げた。

 棈松君はこの経験で「大人数をまとめる大変さや、みんなのニーズに合わせた日程を作成する難しさを実感しました。今回身に付けたコミュニケーション力やプレゼン力をさらに伸ばし、将来は世界がつながるイベントの仕事をしたい」と意欲を燃やす。

校外学習の東北コースでは世界遺産の白神山地でブナの原生林を散策した
校外学習の東北コースでは世界遺産の白神山地でブナの原生林を散策した

 東北コースを担当した作成委員の荒井琉士(りゅうと)君(高1)は、「名所や歴史的遺産は少ないながら、他コースに負けない魅力的なコースを作り上げました。資料が少なくて調べるのに苦労しましたが、コース内で投票をするなど工夫してできたコースです」と胸を張る。

 八戸の種差(たねさし)海岸ではウミネコの生態を観察し、十和田湖と奥入瀬(おいらせ)渓流ではカルデラ湖の形成や渓流の生態系を学ぶ。三内丸山遺跡では縄文時代の暮らしを知り、勾玉(まがたま)作りに挑戦する。世界遺産の白神山地ではブナの原生林の生態系を学び、岩木山ではケーブルカーで8合目まで上るなど、盛りだくさんのコースだ。

 荒井君は「班ごとに自由に学ぶ自主研修の時間でも行動しやすいように、先生や各所にお願いをして、レンタサイクルの使用を可能にできたことも印象に残っています。みんなのニーズをより意識して、次回の高校の校外学習コース作成委員でもこの経験を生かしたい」と話した。

本物の経験から「共に生きる」ことを考える

「本物から学ぶ経験をすると、社会を見る目が育ってくる」と話す荻野教諭
「本物から学ぶ経験をすると、社会を見る目が育ってくる」と話す荻野教諭

 荻野教諭は、「本物から学ぶ経験をすると、生徒たちにさまざまな気付きがあり、社会を見る目が育ってくると感じます。授業でも『エネルギー問題、それなら、校外学習で地熱発電所に行ったけど……』と生徒から意見が出るのです」と話す。

 「生徒たちは意見を出し合って、お互いにいい影響を与え合っています。校外学習を通して、自分は何ができるか、自分はどう動けばよいのかを考えていくのです」

 それぞれの生徒が、他の生徒たちの間で自分のやるべきことを主体的に考え、見つける。校外学習で学ぶことは、「共に生きる」という教育目標そのものと言える。「これが将来、生徒一人一人が社会を構成する一員として、どう世の中の役に立てるか考えることにつながります」と荻野教諭は語る。

 コロナ禍の影響で、学校行事のあり方も変化を余儀なくされているが、今後も二つの教育目標を実現するカギは、生徒たちの主体的な取り組みに違いない。

 (文:小山美香 写真提供:立教池袋中学校・高等学校)

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1550351 0 立教池袋中学校・高等学校 2020/10/19 05:01:00 2020/10/23 11:04:24 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/10/20201015-OYT8I50009-T.jpg?type=thumbnail

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