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【特集】SDGs軸に体験・探究型学習で思考力と実践力を培う…箕面自由学園

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 箕面自由学園中学校・高等学校(大阪府豊中市)は、中1からSDGs(持続可能な開発目標)を軸とした体験・探究型学習を進めている。この学習は、昨年度の中高一貫校化を機に高校での「自主研修」と連携するようになった。これにより、社会の現実に触れる体験をもとにSDGsの目標達成についてさらに深く考え、実践する力を養える学びになったという。この学習を導入した経緯や目標、成果などについて、担当教員と生徒に聞いた。

興味のあるSDGsの目標を探究

「SDGsを軸に据えることにより、体系的な学習ができるようになりました」と話す西森先生
「SDGsを軸に据えることにより、体系的な学習ができるようになりました」と話す西森先生

 「数十年にわたって総合的な学習をいろいろやってきましたが、結果的にSDGsに集約されました。SDGsには、社会に出てから必要な力を身に付けるためのテーマがそろっています」。中学校教頭の西森利彦先生はこう語る。

 同校は、総合的な学習の時間に実践している体験・探究型学習を「I・U(intelligence ultimate:究極の知性)」と名付けている。この授業の質が一変したのは2019年度にSDGsを大きなテーマに設定して以来だという。「以前の学習は、人権的な内容が中心で、生徒間の良好な関係を築くのに役立つことはあっても、学びの積み重ねができているとは言えませんでした。SDGsを軸に据えることにより、ストーリー性を持たせることができ、体系的な学習ができるようになりました」

 SDGsをテーマとする探究プログラムでは、学年を追って学びが立体化する。中1では、SDGsの17の目標の中から興味のある1テーマを選び、1人1台持たされているiPadなどを活用して、情報収集やプレゼンテーションの基礎を習得する。中2では、職業体験などを通じて、自分で疑問を持ったことを調べ、ポスターセッションを行う。中3では、関心を持った問題について解決方法を探究し、学びの成果を全校生徒や保護者にプレゼンテーションする。

SDGsをテーマにポスターセッションを行う「MJGクエスト」
SDGsをテーマにポスターセッションを行う「MJGクエスト」

 このプレゼンテーションの場となっているのが、毎年12月に校内のホールで開かれている「MJGクエスト」だ。「中1生、中2生はポスターセッションでの発表ですが、学年が上がるにつれて内容に深みが出てきます。中3生は壇上でプレゼンテーションをしますが、どうすれば興味を持って聞いてもらえるか、会話形式にしたり、クイズを盛り込んだりと、工夫が見られます」

 生徒が取り組むテーマはさまざまだ。例えば、「スポーツに差別はあるのか」という疑問から、サッカー選手のポジション別の人種を調べ、オフェンスに白人が多く、ディフェンスに黒人が多いと発表した生徒もいたという。電車好きな生徒は新幹線、ディズニーランド好きな生徒は東京ディズニーリゾートのキャストなど、自分の興味あることとSDGsを関連付けて探究する。

 西森先生は、「実社会や実生活の中から問題を見いだし、自分で課題を立て、情報を集め、整理・分析して、まとめ、表現する。このプロセスを自分に関係することとして考えていくことが大切です」と話す。

答えが一つでない課題に取り組みながら成長する

 西森先生によると、この探究プログラムの最終的な目標は、世界の諸課題に対して自ら問題意識を持ち、調査して解決方法を提案できる思考力と実践力を養い、その上で自分の身の周りの課題に対して具体的に対応する力を付けることだ。

 「もともとは人前で話すことが苦手でした」とするグローバルコース所属の平川真衣さん(中3)は、「MJGクエスト」に向けて伝わりやすい話し方を懸命に練習したそうだ。「本番ではSDGsの中から『平和と公正』というテーマで発表し、最優秀賞をいただいて自信を持つことができました。今はそこから関心が広がって、今後はアメリカとイギリスにおける言語・文化の違いについて取り組みたいと考えています」

「サイエンスフェスタ」で小学生を前に実演された空気砲の実験
「サイエンスフェスタ」で小学生を前に実演された空気砲の実験

 「MJGクエスト」だけでなく、7月と3月に小学生を招いて実施する「サイエンスフェスタ」も生徒たちのプレゼンテーションの舞台だ。

 「 (がん) とDNA」というテーマで、最新の治療法などを調べている理数探究コース所属の堤聡太さん(中3)は、「サイエンスフェスタで、どうすれば小学生にも伝わるのかを考え、パワーポイントの資料を分かりやすくしたり、クイズを取り入れたりして、工夫しています。自分の言葉で話せるようになり、コミュニケーション力が高まったと思います」と話した。

 西森先生によると、総合的な学習は、正解が一つに限らない問いを考える学習だという。同様にSDGsの目標も達成方法は一つと限らない。人や国によってもさまざまな方法、プロセスがあり、それを探究していくことがこれからの世界では重要になるという。

 「生徒たちには、これから多様性の社会を生きていくことになります。そうした力を身に付けてほしいというのが、私たち教員共通の願いです。その目標を達成するための方法も一つではありませんが、さまざまなタイプの教員がそろう本校だからこそ実現できる学びだと思っています」

中高一貫校化を機に総合的な学習もさらに進化

 同校の総合学習のもう一つの特徴は体験学習を重視していることだ。SDGsをテーマにした学びに高校で再び取り組む際、社会の現実に触れる体験をテコにして中学での総合学習だけでは届かなかった深さまで問題の本質を掘り下げられるという。

 それを可能にするのが、高校での「自主研修」だ。このプログラムでは、教室を飛び出して、国内外のさまざまな現実を体験する。例えば、「北海道研修」では船上から北方領土を見学したり、そこに生活していた人の話を聞いたりする。「東京研修」では国会議事堂や大学、企業などを訪れて首都圏機能を考える。「神戸研修」では宗教施設を巡ってイスラム教信者から話を聞くなどする。また、「韓国研修」では協定校で授業を受けたり、名所を訪ねたりして異文化理解を深める。

「スマイルプロジェクト」のフィナーレを盛り上げる吹奏楽部の生徒たち
「スマイルプロジェクト」のフィナーレを盛り上げる吹奏楽部の生徒たち

 また、地域と連携した活動も盛んだ。「自分の人生をデザインすること」を目的とした高1、高2生の課外講座「デザインタイム」では、近隣のショッピングセンター「みのおキューズモール」と共同した「スマイルプロジェクト」を今年度スタートさせた。プロジェクトの狙いは、地域住民に笑顔を届け、地域を元気付けるというもの。7月24日には、同モールに企業と連携して綿あめなどの模擬店を出したり、学園内のチアリーダー部や吹奏楽部と協力してステージを運営したり、さまざまなイベントを実施した。生徒たちは自分一人ではできないことも、多くの人に協力してもらい、巻き込んでいくことで大きな力となることを実感したという。西森先生は「SDGsを通してグローバルに視野を広げるとともに、地域や自分に還元することにより『自分ごと』という問題意識で行動に移せる生徒が増えてきています」と話す。

 2020年に中高一貫校化したのを機に今後は、中高6年間を有効に使った体験的な学習をじっくりと深めたい考えだという。「中高での探究が、大学での学びや社会貢献にまでつながっていってほしいと考えています。現実に触れてみて、学んだ知識をどれだけ掘り下げられるか。中高一貫になったので、そこを進めていきたい。生徒たちが大人になったとき、新たな課題が出てきても、それを自分のこととして考え、対応できる力を付けてほしいと思っています。彼らがどのような社会でも生きていけるようにするのが、私たちの使命です」

 (文・写真:石上元 一部写真提供:箕面自由学園中学校・高等学校)

 箕面自由学園中学校・高等学校について、さらに詳しく知りたい方は こちら

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2266261 0 箕面自由学園中学校・高等学校 2021/08/20 05:01:00 2021/08/20 05:01:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/08/20210806-OYT8I50009-T.jpg?type=thumbnail

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