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【特集】世界標準の議論を可能にする言語技術教育…森村学園

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 森村学園中等部・高等部(横浜市)は2012年から、論理的・批判的・創造的思考力を高める「言語技術(ランゲージ・アーツ)教育」を展開している。同校は、英語教育、PBL(課題解決型学習)、ICT環境の3要素から成る独自の教育システム「未来志向型教育」を推進しており、「言語技術教育」は、この3要素すべての基盤となる役割を果たしているという。「言語技術教育」に焦点を当てて、同校の「未来志向型教育」を紹介する。

日本と世界に貢献する人財育成を目指す

「生徒は自分の中にある秘めた力を引き出し、存分に伸ばしてほしい」と話す江川校長
「生徒は自分の中にある秘めた力を引き出し、存分に伸ばしてほしい」と話す江川校長

 同校が推進している「未来志向型教育」は、予測不可能なこれからの時代をたくましく生き抜き、日本だけでなく国際社会にも貢献できる人財の育成を目的としている。それを実現するための教育の3本柱が、英語教育とPBL授業、ICT環境であり、それらを有機的に機能させるものが「言語技術教育」だという。

 「言語技術は、欧米諸国を中心とした世界の共通のコミュニケーションスキルです。森村の生徒もその基礎を習得できれば、将来、外国人と世界標準の議論が可能になります。くわえて、日本語特有の感性、日本人の察する心を表現できることは、コミュニケーションの二刀流を得るようなものであり、生徒にとって大きな自信になるでしょう」と、江川昭夫校長は語る。

 2019年に就任した江川校長は、英語科教員を経て、文科省のSGH(スーパー・グローバル・ハイスクール)構想などを推進する私立学校の教頭、校長職を歴任し、4技能を高める英語教育の導入や、フランス人教員とともに生徒との対話型授業「校長哲学教育」を行うなど、多彩なグローバル教育を進めてきた。

 一方、森村学園の創立者・森村市左衛門は、幕末から明治の時代に、独力で海外貿易を興した実業家であり、その経験から世界に通用する人づくりに力を注いできた伝統がある。江川校長は、森村学園の創立以来110年間続く伝統を継承し、「未来志向型教育」を推進している。

4技能のスキルを積み上げて学びの土台に

 この「未来志向型教育」のカギとなる「言語技術教育」は、「読む、書く、聞く、話す」の4技能のうち、「読む」に偏りがちだった従来の国語教育を反省し、欧米の母語教育にならって4技能のスキルをバランスよく積み上げ、論理的・分析的・批判的・創造的に思考して議論し、記述できるようにする教育だ。同校は2012年から、言語技術の研究と教育普及を進めている「つくば言語技術教育研究所」(茨城県つくば市)の三森ゆりか氏と提携して、この教育を展開している。

 例えば、「あなたは花火を見ることが好きですか」という問いに「好きです。なぜかというと〇〇だからです。だから私は花火を見ることが好きです」のように結論・根拠・まとめの形で即答する「問答ゲーム」、読み聞かされた物語を記述・再生する「再話」訓練、国旗を相手がイメージできるように説明するなど、空間的に捉えた情報を論理的構造的に秩序立てる「空間配列」訓練などが行われている。

 「言語技術教育」は、国語や英語を始め、すべての教科・科目でも学びの土台となっている。生徒たちは「言語技術教育」のスキルを用い、それぞれの教科・科目の知識についてグループディスカッションや調査、プレゼンテーションなどの「主体的・対話的で深い学び」を実現しているという。

言語技術教育が基礎となっているPBL授業
言語技術教育が基礎となっているPBL授業

 PBL授業でも「言語技術教育」は基礎となっている。PBL授業では、中1で「創立者の研究」、中2で「職業研究」、中3で「自由課題研究」を行う。授業では、事前に調べ、論理的に考え、リポートや発話で説明する方法を学んでいく。

 その際、日本語で漫然と思考していくと、主語を省略したり、結論を後回しにしたりということが起きがちで、議論の着地点が定まらなかったり、表現があいまいになったりする。そこで「問答ゲーム」で学んだように、結論を先に述べ、その論拠を挙げ、相手に理解を求める話し方が論理的に情報を整理する「型」になるという。

 ただ、江川校長は「グローバル化の著しい現代でも、日本特有の共感と情緒を()み取る文化、人の思いを察する文化は、日本人としてのアイデンティティーを持ち、世界に発信するためには重要」と話す。英語に代表される欧米の諸言語の論理性と、日本語の情緒性の双方に立脚した思考力と表現力を備えることが、森村の生徒の強みになるというのだ。

オンラインで必要なコミュニケーションスキルも

ICT環境を活用した授業
ICT環境を活用した授業

 ICT環境について江川校長は、「将来、生徒が海外の大学のオンライン授業を受けたり、外国の学生と深く交流したりするために、世界と学びを共有するためにもICTを用いたデジタルシチズンシップの習得は不可欠です」と話す。新型コロナウイルスの感染拡大への対策として、同校もオンライン授業を実施した。対面型の授業と異なり、オンライン授業では一層のコミュニケーションスキルが求められるが、生徒と教員の質疑応答は活発であり、生徒が自ら考え、質問する力も高まっているのを感じたという。同校では、こういう面でも、言語技術教育が良い影響を与えていると見ている。

 同校は2020年4月、グローバル教育の核となる「国際交流・多言語教育センター」を開設し、外国人留学生の受け入れや国際交流の強化、帰国生の支援など、生徒と海外の若者を結び付ける教育を推進している。

 「言語技術教育」は大学受験にも役立つという。総合型選抜で課される小論文や志望理由書などに生かすことができ、入学後は、授業の課題リポートや研究論文の執筆、プレゼンテーションなどで、身に付けた言語技術を発揮できるからだ。

 こうした強みを生かし、近年は海外の大学への進学を目指す生徒も徐々に増えているという。志望者を対象にした特別指導も実施しており、2019年度は海外11大学に合格者を出した。また現在、DDP(デュアル・ディプロマ・プログラム)の準備も着々と進められているそうだ。

 江川校長は「私が第一に願っていることは、生徒自らが幸せに生きていける人になることです。そして、自分の個性を生かし、社会のために尽くせる人になってほしいです。中高6年間という多感な時期に、緑豊かで落ち着いた環境の中で自分の中にある秘めた力を引き出し、存分に伸ばしてほしい」と語る。

 これからの時代を自分らしく幸せに生きていくために、「言語技術教育」をベースとした世界標準の学びは大切な基礎力となることだろう。

 (文・写真:三井綾子 一部写真提供:森村学園中等部・高等部)

 森村学園中等部・高等部について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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1764374 0 森村学園中等部・高等部 2021/01/14 05:01:00 2021/01/14 05:01:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/01/20210112-OYT8I50028-T.jpg?type=thumbnail

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