新校地であらためて「自主自律」の学びを深める…大阪青凌

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 大阪青凌中学校・高等学校(大阪府)は4月、府内の高槻市から島本町に校地を移転し、新しいスタートを切った。「対話が生まれる空間」をコンセプトとした新校舎には、多目的で開放的なスペースに生徒たちのコミュニケーションを促すさまざまな仕掛けが施されている。新校地をリポートするとともに、ここを拠点に福力稔校長が展開を考える教育の方針などを聞いた。

生徒たちの活動・交流を促す新校舎

「対話が生まれる空間」をコンセプトとする新校舎のエントランス
「対話が生まれる空間」をコンセプトとする新校舎のエントランス

 同校が校地を移転した島本町は、京都府との府境に接する自然豊かで閑静な土地だ。ホタルの飛ぶ水無瀬川の清流に近く、多くの寺社がある歴史の街でもある。校舎の周囲にも木々が茂り、窓からは四季折々の自然が見渡せる。

 この恵まれた環境に立つ新校舎は、「対話が生まれる空間」をコンセプトとして建設された。玄関から入ってまず目につくのは、教室棟に向かって上る広い階段スペースだ。同校の教育目標である「ひとつ上の自分へ」を象徴して「ライジング・ヒル」と名付けられており、階段の途中にはミーティングや展示に使えるスペースがある。

 玄関の上には約300席収容の多目的ホール「エクセルホール」が位置する。説明会の会場などに使えるほか、階段状になっている座席は電動で収納が可能となっており、収納すれば小体育館としても利用可能だという。2階にはカフェテリアがあり、中庭と直結したテラスにはパラソル付きのウッドデッキボックス席が設置されている。「天気の良い日には街角のカフェにいるような気分で過ごせる」と好評で、生徒たちの交流スペースとして使用されている。

 いずれの空間も多目的、開放的なデザインであり、生徒たちの交流と、活発な活動を促す工夫が施されている。

 また、職員室の隣に配置された自習スペースには個別に学習できる座席と、友達と一緒に自習できるオープンスペースが用意されている。福力校長は「教員に質問や相談が気軽にできる環境を整えました。もともと放課後に学校で自習する生徒が多かったのですが、新校舎になってからはさらに増えて、毎日100人前後の生徒が自習している姿が見られます」と話す。

 自習しやすい環境が整えられたことに加え、最寄りのJR京都線「島本駅」から徒歩約10分と通学のアクセスが良くなったため、学校で過ごす時間に余裕が生まれ、生徒たちはいっそう自習や部活動などに打ち込めるようになったそうだ。

「自主自律」の精神で「ひとつ上の自分へ」

「自分の夢に向かって成長してほしい」と話す福力校長
「自分の夢に向かって成長してほしい」と話す福力校長

 この新校舎を拠点にこれからどういう教育を目指すのか。福力校長は「『自主自律』を目指し、その延長線上で自分は社会の中でどのような役割を担うのか、将来の姿に思い至ってほしい」と生徒への期待を語る。

 同校は「自主自律」を校訓としている。「この言葉には、まず自身をコントロールできるようになった上で、他者と協調できる人を目指すという意味が込められています」と、福力校長は説明する。

 この「自主自律」に沿って、生徒に実現を求めるのは「ひとつ上の自分へ=Rising」という教育目標だ。「『ひとつ上の自分』とは、他者と比べるのではなく、あくまでも過去の自分と比べての成長です。学習面にとどまらず、人間としての成長を目指してもらいたい」と福力校長は語る。

 この「自主自律」の姿勢を養うために今年度から、授業前の朝15分間と授業終了から午後7時までの放課後に、中学は「ミーニングフルタイム」、高校は「マネージメントタイム」という時間を設定した。中学では教員のサポートを受けながら自分で時間を管理していく方法を学び、高校では読書や自習、部活動など自分のやりたいことや目標に合わせて自由に使うことができる。自由な時間の使い方を自分で設計し、実行することを通して自主性が養われるという。

少人数教育の手厚いサポートで生徒の進路を開く

 「ミーニングフルタイム」や「マネージメントタイム」は、その成果が楽しみな試みだが、もちろん、すべてを生徒に任せておけば「自主自律」が身に付くわけではない。生徒たちは「自主自律」を身に付ける成長途上にあり、見守りが必要だからだ。

「教員の手厚いサポートが大阪青凌の伝統」と話す岡橋教諭
「教員の手厚いサポートが大阪青凌の伝統」と話す岡橋教諭

 その点、中学校は1クラス30人前後の少人数教育により、生徒一人一人に目配りの利いた指導を実践している。教員たちは、年に数回の面談以外にも日常的に対話を欠かさず、生徒の理解に努めており、その手厚いサポートは生徒や保護者にも評価されているという。

 中学部主任の岡橋昌俊教諭は「生徒と密接に関わることの大切さを実感しています」と話す。「生徒の話を聞いてアドバイスすることが、やる気を取り戻したり、苦手を克服できたり、という結果につながることもしばしばあります」

 このサポートは生活面だけでなく、教科の学習にも及ぶ。特に主要5教科では中1からクラスを分け、さらに少人数の習熟度別授業が行われる。これによって生徒の進路を実現するためのきめ細かい指導が可能になるという。中高一貫の指導プログラムの中で、高校に進むと「特進S」「特進」「進学」の3コースに分かれ、それぞれ自分の志望をかなえるべく難関国公立大、国公立大、難関私大を目指していく。

コミュニケーションを重視した英語指導をしている安川教諭
コミュニケーションを重視した英語指導をしている安川教諭

 これからの社会を生きる生徒たちの将来を考え、同校は大学進学の先を見据えた取り組みも始めている。一つはグローバルスキルの育成であり、もう一つはICT教育だ。

 グローバルスキルについては「英語を活用して社会貢献を行えるようになることが最終ゴール」としており、その柱となる英語教育では、ペアワークやグループワークを取り入れて生徒が能動的に学べる形での授業が行われている。英語科の安川舞教諭は、「4技能をバランスよく学べるように意識していますが、とくに難しいスピーキングの学習を重視して中学1年生から英語でのプレゼンテーションの練習を導入しています」と話す。全校生・保護者の前での英語スピーチ大会も開催しており、英語学習への大きなモチベーションとなっているという。

1人1台のiPadを活用して行われている授業
1人1台のiPadを活用して行われている授業

 ICT教育については、同校は数年前からICT環境の拡充に取り組んできた。現在は全学年の生徒が1人1台セルラーモデルのiPadを所有している。教員はあらかじめ準備したデジタル画像などを黒板代わりのモニターに表示し、プリントなどの教材もiPadで配信している。

 「ICT環境の導入以前とは授業のあり方が変わりました」と岡橋教諭は話す。「板書をする必要がないために、生徒のそばで取り組み状況を確認しながら、より丁寧な指導をすることが可能となりました。授業時間を有効活用できるようになり、生徒がわかるまで反復学習するなど、自身で考えさせる時間が格段に増えています」と、その学習効果を話す。

 授業以外にも、グループワークやプレゼンテーションのツールとして活用したり、学習支援アプリを使って教員・生徒・保護者をつなぐ役割を果たしたりと、iPadは同校の学校運営に欠かせないツールとなっているという。新型コロナウイルス感染症流行に伴う休校の際にも、オンライン学習に活用されたことは言うまでもない。

 恵まれた環境の新校地から、グローバル社会の中でも力強く、「自主自律」の生き方を貫いていける生徒たちが次々と巣立っていくことを期待する。

 (文:溝口葉子 写真:中学受験サポート)

 大阪青凌中学校・高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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1447358 0 大阪青凌中学校・高等学校 2020/09/02 05:22:00 2020/09/02 05:22:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/09/20200901-OYT8I50050-T.jpg?type=thumbnail

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