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【特集】人間力と学力を兼ね備えた「自立型人間」を育てる…雲雀丘学園

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 今年創立70周年を迎えた雲雀丘学園中学校・高等学校(兵庫県宝塚市)は、昨年から人間力と学力を兼ね備えた「自立型人間」の育成を目標に掲げ、探究型学習やグローバル教育など、時代に対応した教育改革を進めている。この教育改革や近年、堅調な進学実績の背景などについて中井啓之校長に聞いた。

「孝道」と「やってみなはれ」の精神

 ――まず、教育理念として掲げている「孝道」について説明してください。

「良質な教育の実現に挑み続けたい」と語る中井校長。
「良質な教育の実現に挑み続けたい」と語る中井校長。

 本校は雲雀丘地域の住民・財界の有志によって創立された学校であり、地域住民の一人であったサントリー創業者・鳥井信治郎先生が初代理事長に就任しました。創立の精神は、鳥井先生がよく言われていた「親孝行な人はどんなことでも立派にできます」という言葉から生まれたもの。身近な家族を大切にする心は人間教育の基本です。この「孝道」の精神を基に、心豊かな人間を養うことを現在でも大切にしています。

 同じく鳥井先生の言葉である「やってみなはれ」というチャレンジ精神も本校の教育理念に掲げています。自身で目標を決めてそれに向かって努力する、そんな生徒の育成を目指してきました。

 ――生徒たちや校風についてどう考えますか。

 素直な生徒が多いですね。生徒と教員との関係が良く、家族的な雰囲気のある学園です。保護者や卒業生同士の関わりも良好だと聞いており、うれしく思っています。卒業生がクラブ活動などの学内活動に訪れることも珍しくありません。それだけでも本校で過ごす学校生活の居心地の良さが分かってもらえるのではないでしょうか。

 クラブ活動の入部率は中学校で95%、高等学校で79%です。勉強だけでなく部活動や学校行事など、生徒たちはそれぞれのフィールドで活躍し、学校生活を楽しんでいます。

 学校としても学内設備は丁寧にメンテナンスして、常に美しく保つようにしています。日当たりが良く緑豊かな校地も自慢の一つです。ゆったりと落ち着いて過ごせる環境で、生徒が心健やかに育ってくれるよう、心を尽くしています。

探究型の学びとグローバル教育に力点

 ――2019年度に刷新したカリキュラムの内容と狙いを説明してください。

思考力と表現力を育む探究型の学び
思考力と表現力を育む探究型の学び

 学力別クラス編成を廃止し、中高一貫の「一貫探究コース」を新設しました。これは時代の変化に対応し、人間力と学力を兼ね備えた「自立型人間」を育成しなければならないとの考えからです。変化のスピードが速く、先の見えない現代社会においては、自分で人生を切り開いていける力が今まで以上に必要となるでしょう。その力を育むのが探究型の学びです。自ら学び、考え、表現するという探究型の学びからは、主体性や思考力、表現力、課題解決力などさまざまな力が得られます。志望大学への進学にとどまらず、その先まで見据えた「生きる力」を、中高6年間を通して養っていくのが狙いです。

 このほか、教科のカリキュラムを全面的に改編し、「探究ゼミ」と「探究プロジェクト」を導入しました。「探究ゼミ」は、放課後や土曜日に希望者が受講できる特別授業です。教員それぞれの得意分野を生かしたテーマでゼミを開講しています。「探究プロジェクト」では、大学、研究所、企業など学外の機関と連携して探究活動を行います。

 ――学外機関と連携した探究活動はどのようなものですか。

大学や企業と連携しての探究活動
大学や企業と連携しての探究活動

 サントリーの研究所での5日がかりの企業実習や、新聞社での記者体験、大学での医学体験実習など幅広い分野において貴重な経験ができます。高校の修学旅行では海外拠点での事業を見学するプロジェクトもあります。

 学外での経験は、授業の学びと結びついて学習への意欲を高め、進路選択の幅を広げるなど、生徒にさまざまな影響を与えます。社会で働く大人の仕事ぶりを見て話をして、将来の自分の理想の姿が見つかることもあるでしょう。いろんな生徒がいますから、できるだけ多様な経験をする機会を与えたいと考えています。

 ――グローバル教育にも力を入れているそうですね。

 本校の英語教育は、英語でのコミュニケーション能力と、多様な価値観を理解して国際的視野を広げることを目的としたものです。海外へと目を向けてグローバル意識を高めることは、「自立型人間」を育成するための教育の一環であると考えています。

 基本的な英語学習に加え、ロールプレイや会話、ディスカッションなど対話を通じて英語を使っての表現力を高めるプログラム、英語を使って他の教科の内容を学ぶCLIL(内容言語統合型学習)授業、海外の大学生や留学生を学内に招いて対話を行うプログラム、海外語学研修、海外留学など、多彩なプログラムを用意しています。実用英語技能検定やGTECの試験対策も行っています。

100周年に向け、より良質な教育にチャレンジ

 ――近年、国公立大学の現役合格率が伸びていますね。

 10年前には約15%だった国公立大学の現役合格率が、約40%にまで伸びています。教員たちがきめ細かな指導を行い、それぞれ学力も目標も異なる生徒に合わせた学習支援・入試対策をしてきたことが、今の結果につながったのではないかと思っています。模擬テストの分析や受験校の検討会、大学ごとの予想問題作成など、生徒に寄り添った指導により、教員と生徒の間に信頼関係が築かれ、生徒の力を伸ばす助けとなっているのでしょう。また、本校では受験生全員がセンター試験を受験しています。教員も生徒も最後の最後まであきらめず、全員で挑むことで最大限の力が発揮できているのです。

 最近では国公立大学を志望する生徒が増えていますが、それが本校における最大のミッションというわけでは決してありません。自分で決めた目標に向かってチャレンジする、そのプロセスこそが大切だと考えています。結果だけを追い求めるのではなく、生徒一人一人をきちんと見て、その力を引き出せる学校でありたいと思っています。そして、保護者の方も一緒に、子供の成長を応援していただきたいと願っています。

 ――今年は創立70周年にあたりますね。

 より充実した学校生活を実現するために創立70周年記念事業として、校庭のリニューアルや新校舎建設などのプロジェクトを実行中です。来年秋に完成予定の新校舎は6階建てで、自主学習のためのスペースを備えたラーニングコモンズ、図書館、日本文化室、300人収容のホールなどを整備します。

 さらに今後は、この70周年を100周年へ向けた新たなスタートとし、過去の改革にとらわれずに良質な教育の実現へと挑み続ける学校でありたいと考えています。「自立型教員」の英知を結集した教育の実現、ICT活用の加速化を図るなど、10年、20年先を見据えた改革を進めていきます。

 ――新型コロナウイルスの流行への対応はどうしていますか。

休校中、オンラインで行われた授業や課外活動
休校中、オンラインで行われた授業や課外活動

 入学式では安心して参加してもらえるよう、教職員一同で1000枚のマスクを手作りし、学園の幼稚園から高等学校までの新入生全員に配布しました。また、休校期間中に家庭科教員による簡易防護服の作成動画を生徒に配信したところ、園児、児童、生徒、保護者が手作りした千数百枚もの簡易防護服が集まりました。医師会を通じて医療機関に配布し、大変喜んでいただきました。

 学習面は動画配信やオンライン授業などのデジタル教育とアナログ教材を併用して対応

し、そのほかにもオンラインでのメンタル支援、探究ゼミ活動、クラブ活動などを行いました。学校が再開した現在、休校中の学習効果について検証し、さまざまな面で生徒のサポートを検討しているところです。そして、今後に備えての教育体制を整備していく必要があると考えています。

 (文・写真:溝口葉子 一部写真提供:雲雀丘学園中学校・高等学校)

 雲雀丘学園中学校・高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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1386992 0 雲雀丘学園中学校・高等学校 2020/08/05 05:22:00 2020/10/27 10:17:01 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/08/20200804-OYT8I50018-T.jpg?type=thumbnail

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