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【特集】文理を超えた探究学習が今を生き抜く力を養う…芝浦工大柏

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 先進的な理数教育に取り組む芝浦工業大学柏中学高等学校(千葉県柏市)は、スーパーサイエンスハイスクール(SSH)に再指定された2018年度を機に、文系にも研究領域を広げた「探究学習」を推進している。生徒が自由にテーマを設定する独自の「課題研究授業」を始め、外部研究発表会への参加や海外研修時の研究成果発表など、教育機会はさまざまだ。SSHの中間発表会の様子とともに、同校の「探究学習」を紹介する。

探究学習としてのSSH中間発表会

高2生が次々と自分たちの研究をプレゼンテーションしたSSH中間発表会
高2生が次々と自分たちの研究をプレゼンテーションしたSSH中間発表会

 芝浦工業大学の併設校である同校は、1980年の高校開設以来、先端的科学者の育成を目指し、理数系の先進教育を行ってきた。この教育が評価され、2004年から文部科学省のスーパーサイエンスハイスクール(SSH)に指定され、18年度に再指定されている。

 この再指定を機に同校は、先進的な理数教育を推進する一方、文理の枠にとらわれない課題探究型の教育にも着手した。「最初のSSHの指定期間が終了した後も、本校は芝浦工業大学などと高大連携を図り、理数系プログラム『芝浦サイエンス』などの課題解決型教育プログラムを進めてきました。ですから、現在のような『探究学習』へと発展することは自然な流れでした」と、入試広報部長の中村圭教諭は振り返る。

 10月1日に取材したSSHの中間発表会も探究学習の一つの実践例だ。この発表会は、毎年2月に行われる本番のSSH研究発表会の準備として位置づけられている。探究学習の内容検討を目的とする同校「研究部」の部長である宝田敏博教諭は、SSHの研究発表会について、「発表の進行もできる限り生徒が行うことで主体性を伸ばすとともに、学年間の交流も生まれています」と語った。

 参加できるのは、同校独自の「課題研究授業」を履修した「グローバル・サイエンスクラス(GS)」と、「ジェネラルラーニングクラス(GL)」の高1、高2生。「課題研究授業」はGSでは必修で週2時間、GLでは選択制で週1時間行われており、生徒は、化学、生物、数学、物理、地学の5分野と人文社会科学1分野から、自由にテーマを決めて研究し、課題解決に取り組む。

 この日は高2生が発表する番で、GSの27組43人及び、GLの19組49人が、研究分野別に九つの会場に分かれ、個人あるいはグループで登壇した。高1生の発表は翌週に予定されていて、GSの41人とGLの40人は、先輩のプレゼンテーションを見学して、自分たちの発表に備える。

ポリエステルの染色についての研究を発表する酒井さん
ポリエステルの染色についての研究を発表する酒井さん

 発表者の持ち時間は、プレゼンテーションから質疑応答まで含めて12分。どの生徒も研究の目的と概要、実験と測定結果、そして考察と、時間内に手際よく説明していく。高2GSの「化学・生物・数学分野」の会場では7組の発表者のうち、酒井唯希さんと武田優さんによる「ポリエステルの染色」という発表が行われていた。

 ポリエステルの分子は染料の分子と化学的に結合しないため染色しにくい化学繊維だという。これを天然染料で染めたいというのが研究動機だ。2人はウコンなどに含まれるクルクミンという黄色い染料を水中に分散させ、そこにポリエステル繊維を漬けて繊維の間に色素を物理的に入れ込むという方法を考えた。この日の発表では、染料の粒子の大きさを測定したり、分散させるために必要な界面活性剤の量や水の温度を変化させたりして、染色液が最も濃くなる条件について探った。今後はさらに、染料の分散と温度の関係を調べ、最適条件を見つけて実際にポリエステルを染めてみたいそうだ。

 発表が終わり、質疑応答に移ると、同じ教室の生徒や教員、教育実習生が次々と質問した。ビデオ会議システムのZoomを通して、芝浦工業大学や東京大学などの研究者、同校の卒業生も参加し、さらなる研究の深化に期待する声を上げる一方、実験データの算出方法や考察の根拠とした理論が適切かどうかなどの指摘もなされた。

 今回の発表について酒井さんは「有機化学に深い関心がありますが、植物性の染料を研究する上では生物の勉強も重要だと強く感じました」と話した。今後も環境保全につながる植物由来の染料と染色技術について研究したいという。

 この発表会のあと、参加した生徒たちは本番の研究発表会に向けて準備を加速させる。当日は、中学生の自由研究で入賞した生徒や、中高生の「全国中学高校Webコンテスト」に学校代表として参加するチーム、さらに各学年の探究に関する発表も加わり、全校挙げての発表会になるという。

研究を通して新しい課題と気付きを得る

(左から)古宇田大介教諭、中村圭教諭、宝田敏博教諭
(左から)古宇田大介教諭、中村圭教諭、宝田敏博教諭

 酒井さん以外にも、同校の「探究学習」を通して自分の成長を実感したという2人の生徒に話を聞いた。

 科学部に所属している高2の柿本玲衣さんは、酒井さんと一緒に昨年2月に鹿児島市で行われた「高校生国際シンポジウム」の「ポスター発表部門」に参加した。「紅花の水洗浄を簡略化した新たな染色方法について」というタイトルで、紅花の赤色色素の効率の良い抽出と染色の方法について発表し、「自然科学・数学分野」の最優秀賞を受賞した。

 柿本さんは、「発表を聞いてくださった先生から、色素の抽出にかかるコストについて質問されました。生産化を考慮して、効率のよい抽出方法を考えなければならないと気付きました」と感想を話した。

 文系の研究に取り組む生徒も多い。高3の柴理咲子さんは、高2の時に東京・台東区根岸の歴史と文化について研究した。江戸期に形成された寺町が明治・大正期の花街へと発展したことを知り、著名な文化人も住むようになった経緯を追うことで花街と文学・芸術の発展の関係性に気付いて研究にまとめた。「この研究について先生方に助言を求めたところ、都市論の書籍を紹介していただき、視野を広げることができました」

グローバル教育と連携して広がる教育機会

 数学科の古宇田大介教諭によると、同校の探究学習はグローバル教育とも結びついているという。「例年行っているベトナムでの海外研修でも探究学習の成果を発表する場があります。生徒は現地の学生からさまざまな刺激を受けているようです」

 柴さんもその研究の成果をベトナム研修の時に英語で発表し、現地の生徒と意見を交換したそうだ。「ベトナムでの発表では、根岸の魅力を英語とポスターでどう伝えるか苦労しました。発表のスキルももっと高めていきたいです」

 新型コロナウイルスの感染拡大により、今年度の海外研修は実施されなかったが、同校は芝浦工業大学の提携校など海外の大学との交流をオンラインで実現しようと検討中だ。

 このほかにも、3~5人でチームを組んでWEB作品を創作し、発表する「全国中学高校Webコンテスト」への参加や、大学や企業と連携した教育プログラムなど、生徒の興味関心に応じた研究の機会が数多く設けられている。

 中村教諭は「中高6年間の、文理を問わない自由な探究学習を通して、どの生徒にも創造的な力と困難を乗り越える粘り強さを養ってほしいと思います。それが、変化の激しい社会を生き抜く力になると思います」と、探究学習に臨む生徒の成長に期待を込めた。

 (文・写真:三井綾子)

 芝浦工業大学柏中学高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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1726718 0 芝浦工業大学柏中学高等学校 2021/01/05 05:01:00 2020/12/25 13:05:13 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/12/20201224-OYT8I50041-T.jpg?type=thumbnail

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