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【特集】ICTが支える「高みを目指す」教育…日本大学

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 日本大学高等学校・中学校(横浜市)は、ICT(情報通信技術)教育を導入してから5年目を迎えた。この間のノウハウの蓄積によって授業は深く濃いものへ進化を遂げてきた。さらに、コロナ禍に伴う休校期間中、集中的に活用を図る中でICT教育のさらなる可能性も見えてきたという。ICT推進教育委員会の担当教諭らにICT教育の現状と展望などを聞いた。

手探りで積み重ねていったICTのノウハウ

「ICT教育は非認知能力を伸ばすきっかけになる」と話す田中教諭
「ICT教育は非認知能力を伸ばすきっかけになる」と話す田中教諭

 同校がICT教育に取り組み始めた2016年度当時、他校の多くはまだ手を着けていなかったという。「自分たちで考えて解決方法を探る。そして実践してみるということで、前に進んできました。ノウハウを蓄積するという点ではロールモデルになる学校がなかったことが、幸いしたと思っています」。ICT教育推進委員の田中忠司教諭は胸を張ってこう話す。

 昨年、新型コロナウイルスの感染拡大が起きる以前は、「20~30校の中学高校の先生方が見学にいらっしゃいました」と田中教諭は話す。システムの構築を始め、機種の選び方、ICT教育を推進する時の心構えまで、事細かに記した資料を用意して校内を案内したそうだ。

 ICT教育を導入するにあたって同校はまず、15年に「ICT推進委員会」を設置した。この年、学校改革の一環として中学校に「グローバルリーダーズコース」と「Nスタンダードコース」を設けたことから、「グローバル教育と併せてICT教育にも力を入れ、2本柱として打ち出そうという流れになりました」と、教務部主任で発足時のICT推進担当だった齋藤善徳教諭は説明する。

 15年秋には学校説明会の場で、「来年度からICT教育を導入します」と告知し、準備を加速させた。赴任したばかりの田中教諭が、齋藤教諭と入れ替わる形でICT教育推進委員会の主要メンバーに加わり、翌年1月8日には、始業式の後に集められた専任教職員に1台ずつiPadが配布されて、すぐに研修会が開かれたという。

 「正直なところ、教職員の中にはICT教育に不安を感じていた者もいました。職員会議でも侃々諤々(かんかんがくがく)の議論が起きそうな不穏な空気になったこともありました」と齋藤教諭は振り返る。

 ただ、同校の教職員は、それ以前から1人1台貸与されたノートパソコンを使い、事務連絡をオンラインで共有していたため、ICT導入にも想像したよりスムーズに順応できたという。

 「授業で動画を見るために、『遮光カーテンを取り付けたい』とか『プロジェクターがあったほうがやりやすい』とか要望が上がり、その都度、次第にICT環境が整っていきました」と田中教諭は振り返る。「当校の場合は、中学、高校の全生徒で2000人と大規模なので、ソフトバンク社にお願いして携帯電話の中継基地局を校内に設置してもらいました。日本大学が一括して契約しているマイクロソフト社のオフィス365やGoogle、ZoomなどのアカウントがあったこともICT推進に役立ったと思います」

ICT教育で授業が深く濃くなった

 導入から5年目を迎え、ICT教育は、授業や学習のさまざまな場面に思わぬ好影響を与えているという。

 まず、授業では板書の時間がなくなり、プリントなどの配布の手間が省けて時間効率が上がる。齋藤教諭は「授業の中身が深く濃くなったと思います。そして生徒に考えさせる機会と時間が増えたと思います」と言う。

 中学の英語を担当する田中教諭は「以前は、単に英語を教えていたのですが、ICTを導入した今では、英語という言語を使って社会の視点や理科の視点から学ぶことを教えるようになりました」と話す。英語でヒントを与え、生徒たちにiPadを使って答えを探させるような授業にシフトしているということだ。

 また、英文の音読テストをオンラインに切りかえると生徒も教師も時間が節約できるという。「『音読の練習を録音して一番上手に読めた音声を提出しなさい』と課題を出します。聴く手間は同じですが、通勤の電車の中で聴いたり、授業の空き時間に聴いたりして採点できますから時間を効率的に使えます」

休校中の活用で気付いたICTの可能性

“密”を避けるため、クラスの生徒の半分は別教室で授業を受けた
“密”を避けるため、クラスの生徒の半分は別教室で授業を受けた

 ICT教育に対する早期からの取り組みは、昨年4月、5月の一斉休校期間に大きく役立った。4月から週に1、2回、Google Meetを使ってホームルームを行い、教科の授業も5月のゴールデンウィーク明けから、オンデマンドの動画配信で実施した。

 田中教諭によると、双方向のオンライン授業はあえて行わなかったという。ライブ配信の授業にすると理解度の低い生徒に合わせる必要があるため、授業のペースが遅くなる恐れがあったからだ。質問のある生徒には個別にオンラインで対応したという。

 昨年6月の第1週に学年ごとの分散登校が始まった後も、ICTはフル活用されている。授業では、“密”を避けるため1クラスを半分に分け、半分の生徒が教室で対面授業を受ける、もう半分の生徒は他学年の教室に移動して、ライブ配信される授業をプロジェクタースクリーンで視聴するという形式だ。「ただ、当校日以外は家庭でオンライン授業を実施していたので、授業準備をする教職員は大変だったと思います」と齋藤教諭は話す。7月初めから通常授業を実施しているが、秋以降もオンライン授業は継続されている。

「ICT教育は生徒たちが高みを目指す時に、力強い支えになる」と話す鈴木教頭
「ICT教育は生徒たちが高みを目指す時に、力強い支えになる」と話す鈴木教頭

 田中教諭は休校期間中に、iPadの「キーノート」というプレゼンテーションソフトを使って、総合的学習の授業も行っている。生徒たちにそれぞれ自分の持っているお気に入りのものを紹介してもらい、発表会のような形にしたという。

 「対面授業では、恥ずかしがって発表をためらう生徒でも、配信という形ならばできる。この授業を通じて私自身も、ICT教育の可能性の広がりを感じました」と田中教諭は話す。「学力や成績など目に見えやすい認知能力だけではなく、その生徒の感性とか想像力など、非認知能力を伸ばすきっかけになると思うのです。しかも、それをビジュアル化することは、プレゼンテーションスキルを身に付けることにもつながるでしょう」

 鈴木仁教頭は、「本校の教育スローガンは『Aiming high!』。高みを目指せ、目標を高く持て、という意味です。ICT教育は生徒たちが高みを目指す時に、力強い支えになることは間違いありません」と語った。

 (文:田村幸子 写真:中学受験サポート 一部写真提供:日本大学高等学校・中学校)

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1781851 0 日本大学高等学校・中学校 2021/01/25 05:01:00 2021/01/25 05:01:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/01/20210119-OYT8I50044-T.jpg?type=thumbnail

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