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【特集】「中学で全国初」来春、囲碁推薦入試…武南

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 武南中学校・武南高等学校(埼玉県蕨市)は、2021年度の中学入試で「囲碁推薦入試」を導入する。日本棋院(東京都千代田区)の認定するアマ初段以上の小学6年生を対象とするもので、日本棋院は、「中学ではおそらく全国初」としている。同校は7年前から中学の授業に囲碁を取り入れており、そこで養われる幅広い思考力が「学力アップや進学実績にもつながっている」としており、囲碁で鍛えられた新入生の入学に期待を寄せている。

月1回、中学生全員参加の囲碁授業

囲碁の教育的効果などについて語る小松校長
囲碁の教育的効果などについて語る小松校長

 同校では、中高一貫コースが設けられた2013年度から、中学1~3年の全員が参加する「囲碁」の授業を、土曜日の午前中に月1回ほどのペースで行っている。囲碁を通して日本の伝統文化への理解を深めるとともに、生徒たちの考える力を育もうという狙いでスタートしたという。

 中学1年では、入門編としてマス目の少ない練習用の碁盤シートを使い、囲碁の基本ルールを習得する。中学2、3年は正式な碁盤での対局を中心に、専門家の指導を受けながら腕を磨いていく。

 「生徒のほとんどが囲碁は初体験。新鮮な気持ちで、知的なボードゲームに挑むように楽しんでいます」と、中学の小松正明校長は話す。

 囲碁の授業には、日本棋院の学校囲碁指導員ら6、7人が、ボランティアで指導に訪れている。その一人でアマ四段の竹下永一さんは「囲碁には子供たちの能力を鍛えるさまざまな要素が隠れています」と話す。

 囲碁では碁盤上に黒石、白石を一手ずつ交互に打ち、囲った陣地の大きさを競う。打つ石の位置を一つずらすだけでも、取ることのできる陣地の形や広さが変わる。「広い碁盤全体を見渡さなければならず、大局的にものを見る力が付きます。また、数学的な図形移動の感覚も養われます」と竹下さんは話す。

 対局を終えると、互いに獲得した石の数を素早く数えるため、計算処理能力のアップも期待できるという。また対局後、すべての手を最初から再現して打ち直し、反省するという囲碁の基礎トレーニングを通して、「視覚的に記憶する力も鍛えられる」と指摘する。

「アマ初段」以上を対象に来春、「囲碁推薦入試」

中学生全員が参加する囲碁の授業
中学生全員が参加する囲碁の授業

 昨年春、同校の中高一貫コースの1期生は、国公立大に前年より11人多い29人、早慶に7人多い13人が現役合格を果たすなど、実績を大きく引き上げた。小松校長は「中学での囲碁の授業を通して、生徒たちの考える力が鍛えられ、学力アップにもつながった」と見る。また、「囲碁の対局では負けて悔しい思いもします。それをバネに頑張ろうという競争心が生まれ、大学受験でも生かされたのでは」と話す。

 こうした結果を受け、同中は、囲碁でハイレベルの思考力を身に付けた生徒を積極的に受け入れようと、2021年度入試で「囲碁推薦入試」の導入を決めた。対象は日本棋院からアマチュア初段以上の認定を受けている小学6年生。面接を受けたうえで、来年1月10日~2月6日に計5回行われる一般入試の筆記試験のいずれかを受験することが推薦合格の条件となっている。

 高校では、東洋女子高等学校(東京都文京区)が2019年度入試から、囲碁に真剣に打ち込む中学生を受け入れる「囲碁推薦」を取り入れている。しかし、中学で囲碁に特化した推薦入試を導入した例は「これまで聞いたことがない。おそらく全国で初めてでしょう」と日本棋院・広報部は話す。

 日本棋院によると、同中がある埼玉県内で、アマ初段以上の小学生は30~40人ほど。プロの初段とは水準が異なるが、小学生が取得するには高い知的能力や根気強さなどが必要とされるという。

 囲碁の教育的効果は最近、注目されており、東京大学が2005年から正規の講義として「囲碁で養う考える力」を開講しているのを始め、大学で講義に囲碁を取り入れる動きが広がっている。日本棋院によると、今年3月末現在、東大や京都大、九州大、早稲田大、慶応大など全国37大学で、単位を取得できる囲碁の講義を実施しており、小中高校でも全国79校が囲碁の授業を行っている。

推薦生にリーダーシップも期待

練習用の碁盤シートを使い、生徒たちに打ち方を指導する竹下さん(右)
練習用の碁盤シートを使い、生徒たちに打ち方を指導する竹下さん(右)

 同中で指導をしている竹下さんは、囲碁は子供たちの「考える力」を育てるだけでなく、将来、社会人として大切なコミュニケーション力なども培ってくれるという。「なぜそこに石を置くのか、相手の気持ちが分からないと、次の手が打てません。自分勝手になって欲張ると、負けてしまう。囲碁を通して、相手を敬う礼儀作法や、人としての優しさや思いやりを育んでほしい」と話す。

 同中は囲碁推薦入試で、プロ棋士を目指すなど高い目標を持った生徒も受け入れたいという。小松校長は「囲碁の授業だけでなく、学校生活のいろいろな場面でリーダーシップを発揮してほしい。他の生徒たちの励みにもなって、相乗効果を生んでくれたらうれしいです」と、期待を込めた。

 (文・写真:武中英夫 一部写真提供:武南中学校・武南高等学校)

 武南中学校・武南高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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1688327 0 武南中学校・武南高等学校 2020/12/11 12:01:00 2020/12/15 15:41:49 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/12/20201209-OYT8I50043-T.jpg?type=thumbnail

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