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【特集】オリジナル教材を軸に6年間の段階的キャリア教育…文教大付

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 文教大学付属中学校・高等学校(東京都品川区)は、中高6年間をかけて生徒の段階的な成長を図る「文教キャリア教育プロジェクト」を実施している。この目的に合わせて開発したオリジナル教材「NEWTON(ニュートン)」を使った指導や、ICTも活用した探究学習などにより、生徒の進路選択は多様かつ明確になってきているという。プロジェクトの内容と成果について取材した。

学校行事なども取り込んだ系統的なプログラム

「文教キャリア教育プロジェクト」の狙いを説明する豊嶋先生
「文教キャリア教育プロジェクト」の狙いを説明する豊嶋先生

 「本校では、ホームルームや総合的な探究の時間を活用して、中高6年間を通した『文教キャリア教育プロジェクト』を実施しています。『今日の最新が日々変化する世界の中で、常に学び続け、活躍することのできる人材の育成』を全体の指導目標とし、中1・中2を『成長期』、中3・高1を『探究期』、高2・高3を『飛躍期』と位置付け、段階的な成長を図っています」と、進路指導部長の豊嶋正貴先生は話す。

 同校も以前は、市販されている教材などを基に就きたい職業を考えるといったキャリア指導を行っていたが、2015年に「本校ならではのキャリア教育」を打ち出そうと、「文教キャリア教育プロジェクト」を発足させた。さらに、この新しいキャリア教育のために豊嶋先生が中心となって企業と共に開発に取り組み、完成させた教材がオリジナルノート「NEWTON」だ。

 「NEWTON」には学年ごとの目標が定められていて、表紙には「既知の未知化」(中1)、「未知の知識化」(中2)、「知識の体系化」(中3)、「知識の具現化」(高1)、「知識の普遍化」(高2)、「知識の未来化」(高3)と、記されている。

 「成長期」である中1では、身の回りにある「すでに知っている」と思っていた事柄を「知らないこと」に変える「既知の未知化」、中2では調べ学習を通じて「知らないこと」を「自身の知識」に変える「未知の知識化」のための活動を行う。例えば、中1は自分で稲刈りを体験し、米作りについての身近な知識を得て、オリジナルの米商品のパッケージを作成する。中2は鎌倉を訪ね、市内を歩きながらさまざまな疑問を見つけ、調べ学習を行い、発表活動を行う。

キャリア教育のために開発したオリジナル教材の「NEWTON」
キャリア教育のために開発したオリジナル教材の「NEWTON」

 「米のパッケージに載せるキャッチコピーを考えるには、魅力的な文章を書くための国語の力を使い、米の産地や栄養価などを考えることは、家庭科や社会の知識につながります。キャリア教育だけが独立しているのではなく、各教科での学びや学校行事を取り込んだ系統的なプログラムになっているところが、『文教キャリア教育プロジェクト』の大きな特色です」と、豊嶋先生は話す。

 「探究期」の中3・高1は、中3で企業の職場見学などにより社会にさまざまな職業が存在することを知って「知識の体系化」を図り、高1で大学のオープンキャンパスや公開講座などに参加し、希望する職業に就くための方法を学んで「知識の具現化」を行う。そして、「飛躍期」の高2・高3は、大学の体験授業などでアカデミックな分野での理解を深めることによって「知識の普遍化」に取り組み、高3では将来の職業を見据えて、志望大学・学部を決定する「知識の未来化」へと、段階的に進む。

 「高2では、クラスをまたいで『看護』『経済』『法律』など志望分野別にアカデミックグループを編成し、それぞれの学問の内容について、グループ内でディスカッションを行い、理解を深めていきます。どの大学でどのような研究をするかということが、より明確に見えてくるようになります」

探究学習発表会やチャート作成で目標を明確化

1年間の学習成果を発表する「探究学習発表会」
1年間の学習成果を発表する「探究学習発表会」

 プロジェクトを通しての1年間の学習成果は毎年2月、「探究学習発表会」で披露される。中1から高2の生徒が対象で、各クラス内でグループ発表を行い、高い評価を得たグループがクラス代表として、同校のホールでプレゼンテーションを行う。

 中2の矢野さくらさんは、今年、鎌倉研修を通して調べ学習した「鎌倉の食文化」について発表する予定だ。「タブレットパソコン(PC)を使い、現地の人へのインタビューから分かったことなどをパワーポイントでまとめています。聞いたことをそのまま伝えるのではなく、話をしてくれた人たちにどのような思いがあるのか、自分たちなりの考察も取り入れて発表したいと思います」

 さらに、高1と高2の生徒は、学年末に1年間の探究学習の総まとめとして、「アカデミック・デザイン・チャート」という1枚のシートへの記入を行う。これにより、自分に欠けている知識やスキルを把握する。さらに、どの大学の何の学部学科で学ぶとそれを身に付けることができ、それが将来の夢や目標にどのように結び付くかということを発見させ、進学のミスマッチがないよう進路指導にも役立てている。

 「このキャリア教育プログラムを始めてから、生徒たちの選ぶ進路が多様になってきました。ただ大学の名前やイメージで決めるのではなく、自分のやりたいことを学ぶにはどの大学の学部学科に行けばいいか、はっきりと目標を立てることができるようになったと思います」

 高2の阿部杏香(きょうか)さんは、「NEWTON」の記録を自分の目標設定に役立ててきた。「自分ではなかなか決めることが難しい進路について詳しい情報が載っていて、『医療関係の仕事に就きたい』という目標が見えてきました。また、探究学習発表会の時には準備作業の記録を残し、発表時に何を伝えていけばいいのか明確に分かりました」

 「NEWTON」は現在、各学年に1人いる進路指導部の教師たちが独自に改訂しているという。これらの取り組みが評価され、2018年には「キャリア教育優良教育委員会、学校及びPTA団体等文部科学大臣表彰」を受けている。

タブレットPCの活用も大きく貢献

2019年度の新入生からタブレットPCを導入し、授業や日常の活動に活用している
2019年度の新入生からタブレットPCを導入し、授業や日常の活動に活用している

 現在同校が推進しているICT環境の整備も、これらのキャリア教育に大きく貢献している。2019年度の新入生から、授業や日常の活動にタブレットPCを使用するようになり、各教室への電子黒板の設置を始めている。キャリア教育でも、職業調べにインターネットを活用し、「探究学習発表会」では生徒たちがグループで作った動画も用いてプレゼンテーションを行うようになってきた。

 中2の笠原彰人君は、同校に入学してからPCに興味を持つようになったという。「理系が得意なわけではないのですが、文系でもできるようなエンジニア関係の仕事に就きたいです。PCの面白いところは、正しく使えば中学生でもいろいろなことができること。探究学習発表会に生かす以外に、授業での小テストやオンライン文化祭でも活用しています」

 高2の阿部さんはオンライン文化祭の実行委員長を務め、各クラスがタブレットPCを使って制作した映像作品を取りまとめた。「タブレットは高校生になってから使用していますが、自学自習に使うこともでき、とても便利です。特にパワーポイントで発表資料を作成したことは、どうしたら人に分かりやすく伝えられるのかを学ぶきっかけになりました」

 「本校では子供たちの30年、40年先の未来を見据えてキャリア教育を実践しています。これからAIに取って代わられる仕事が増えてくるとしても、常に自分のやるべきことをしっかりと理解し、組織や社会の中で欠かせない存在に育ってほしいと思っています」と、豊嶋先生は生徒たちの成長への期待を語った。

 (文:足立恵子 写真:中学受験サポート 一部写真提供:文教大学付属中学校・高等学校)

 文教大学付属中学校・高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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1830760 0 文教大学付属中学校・高等学校 2021/02/10 05:01:00 2021/02/10 09:48:01 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/02/20210209-OYT8I50046-T.jpg?type=thumbnail

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