社会貢献できる人間を育てる「挑戦のプラットフォーム」…青稜

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 青稜中学校・高等学校(東京都品川区)で今春、多年校長代行を務めてきた青田泰明(やすひろ)氏が校長に就任した。「社会に貢献できる人間の育成」を建学の精神とする同校は、時代の変化に適応した人材を送り出すため、常に新しい教育にチャレンジしてきた。休校中だった6月18日、同校を訪れて青田校長に今後の取り組みや抱負を聞いた。

社会の変化につれて教育のあり方も変わる

「楽しみながら挑戦できる機会をたくさん作っていきます」と話す青田校長
「楽しみながら挑戦できる機会をたくさん作っていきます」と話す青田校長

 青田校長は慶応大学法学部から社会学研究科博士課程に進み、新卒3年目から社会科教員として青稜に赴任。経営部門を経験したあと、校長代行を10年近く務め、今春40歳の若さで校長に就任した。

 ――この学校の一番の特色は何ですか。

 ポジティブな意味で未完成な学校であることでしょう。常に新しいことに挑戦する雰囲気に満ち、変わり続けてきた学校です。

 本校は1938年、「社会に貢献できる人間の育成」を建学の精神として設立しましたが、社会が変われば貢献のあり方も変わり、それに応じて学校も変わるべきです。事実、社会の要請を踏まえて女学校から共学へ、商業学校から普通科へ、そして中高一貫へと、新しい教育のあり方に挑戦してきました。今後この学校がどうなっていくか、私自身も楽しみです。

 もちろん、生徒にとっても挑戦は重要な経験です。本校はいつも、生徒が自由に楽しみながらさまざまな挑戦ができる「挑戦のプラットフォーム」でありたいと考えています。

大きな挑戦となったオンライン授業

 ――近年の主な取り組みについて教えてください。

自学自習スペース「Sラボ」では専任のチューターが生徒をサポートする
自学自習スペース「Sラボ」では専任のチューターが生徒をサポートする

 2018年度から、中学生向けの「Sラボ」という自学自習スペースを開設しました。個別ブース型のデスクを備え、放課後午後8時まで勉強できます。狙いは、授業で感じた学びの衝動が冷めないうちに知識を定着させ、次の挑戦への足がかりを固めることです。そして帰宅後は気持ちを切り替え、自由に過ごせるようにすることです。Sラボには専任のチューターがいて質問や相談を受けるほか、生徒と話し合って学習計画の作成や進度のチェックも行います。昨年度からはリクルートの学習サービス「スタディサプリ」も導入し、自立的な学習や基礎力の強化に役立てています。

 新型コロナによる休校を機としたオンライン授業も、学校としては大きな挑戦でしたが、手応えを感じています。ICTに強い教員を中心に急きょ環境を整え、3月6日から Zoomによるリアルタイム授業を始めました。動画と違って「今、授業を受けている」という緊張感があるし、その場でやりとりできるのがメリットです。ただ、教員の講義のテンポが上がるので、録画した授業を振り返り用にYouTubeで配信しています。自習の時間もZoomで中継していて、「他の生徒が終わるまでは」と頑張る様子も見られます。

 現在はまだ休校中で、中1とは直接顔合わせができていないため、朝礼やホームルームのほか、昼食中や昼休みもZoomでつながって、教員やクラスメートとの距離感を作るようにしています。このようにオンラインで時間と空間の共有を行い、学校に近い環境作りに努めています。

 ――「社会貢献できる人間」を育てるためにどんな学びに取り組んでいますか。

中3の修学旅行では広島と京都を訪問する
中3の修学旅行では広島と京都を訪問する

 10年近く行っているのが中3の社会科の卒業論文です。この学年は考える力を伸ばす時期と捉え、公民の授業は哲学をベースに進めます。さまざまな思想に触れながら、人間のあり方や正義、平和の実現などを念頭に現代社会を考えます。その総まとめとして、身近なことを哲学的な観点から考えた論文を11月から3月にかけて作成させ、優秀作品は表彰します。昨年度は多数決による正義の実現を論じた作品が最優秀賞で、ほかにも哲学者の思想の比較や漫画作品を通した正義の考察、さらにがんや人工知能などいろいろなテーマのチャレンジ精神あふれる論文が見られました。

 平和学習も重視しています。4年前、平和をテーマとして修学旅行を再編成しました。中3では広島を訪問して戦争の悲惨さを知り、その後京都で平和あってこその成熟した文化に触れる。高2も同様の考え方で、沖縄のガマやひめゆりの塔を訪問した後、豊かな海や自然を体験します。また、昨年から高2の修学旅行にポーランド・アウシュビッツのユダヤ人強制収容所を訪れるコースを新設しました。定員は40人ですが、100人近くの希望があって抽選になります。生徒の関心の高さがうかがえます。

高1・高2のニュージ―ランド研修では現地の中高生と文化交流
高1・高2のニュージ―ランド研修では現地の中高生と文化交流

 グローバルの時代を肌で感じる海外プログラムや国内研修にも力を入れています。中1の夏休みに行う4日間の英語サマーキャンプは、ネイティブの講師とのコミュニケーションに通訳なしで挑戦します。また、高2までの各学年で、少人数グループでネイティブの講師とコミュニケーションしながら思考力やプレゼン力を磨くプログラムを2、3日間かけて実施します。

 そうして磨いた英語力を実践するため、中2から高2にかけてフィリピンのセブ島やニュージーランドへの英語研修、英語圏各国への短・中期留学などを用意しています。グローバルプログラムは今後も積極的に増やす予定です。

教師も生徒と共に目指す三つの「C」

 ――これから校長として取り組みたいことは。

 本校の本質である「挑戦」をさらに押し出したいですね。現代において「社会に貢献できる人間」とは、どんな社会状況でも希望を持ち、挑戦的に自らをアップデートしていく人間と考えます。これを踏まえ、「3C:変化(Change)に対して挑戦(Challenge)を行い、社会貢献(Contribution)に結びつける」という行動目標を掲げました。生徒だけでなく、教員も共に目指す目標です。

 ――「3C」を実現するための具体的な取り組みや構想はありますか。

 7月の通常登校開始後になりますが、新たな知の世界への挑戦として、中2、中3年合同のゼミナールを新設しました。「日常生活と数学」「目指せお天気マニア」「芥川賞を読む」など14のゼミから一つ選び、1年間探究活動を行います。担当教員には自分の趣味の知識も盛り込んで楽しいゼミにしてほしい。私もSDGsのゼミ担当になっており、企業と連携したワークショップなど、構想を広げています。

 オンライン学習の進化も課題の一つです。今学期は中間テストをオンラインで行いました。事前に解答用紙を生徒に郵送し、当日Google Formsで試験問題を配信し、解答済みの用紙をPDFで回収する形です。今後のために検証をしっかり行い、懸念されるコロナ第2波、第3波への対応やオンライン入試も視野に入れて仕組みを整えます。

 校則改革も生徒の挑戦の機会としたい。本校は女子校時代の厳しい校則が残っており、「そういうもの」と受け入れている生徒も多いようですが、本当にそれでいいのか。例えば従来、学校への携帯電話持ち込みは禁止でしたが、生徒会からの働きかけを受け、災害時や緊急時の使用を想定して、昨年度から「持ち込み可・ただし使用はしない」というルールにしました。このように、現状のルールに違和感を持つ生徒は、自分たちでいろいろ調べて学校に改革を提案してほしいという投げかけを行います。

 ――受験生や保護者の方々へのメッセージはありますか。

 これからも、生徒が楽しみながら挑戦できる機会をたくさん作っていきます。それを実現する優秀なスタッフがいるのが本校の強みです。新しいことや変わったことに取り組みたいなら、ぜひ本校へ来てください。また、企業とのコラボレーションにも力を入れたい。1600人の子供たちと共に研究や開発を行いたい企業の方も、ぜひご連絡ください。

 (文・写真:上田大朗 一部写真提供:青稜中学校・高等学校)

 青稜中学校・高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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1341234 0 青稜中学校・高等学校 2020/07/16 05:21:00 2020/07/17 14:58:03 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/07/20200714-OYT8I50066-T.jpg?type=thumbnail

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