「基礎学力の充実」と「体験学習」で全人格的な人間形成…獨協埼玉

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 獨協埼玉中学高等学校(埼玉県越谷市)は、「幅広い教養と基礎学力の充実」及び「体験学習」を二つの教育方針として、生徒の全人格的な人間形成を目指している。そのために読解力を育てる朝の読書や思考過程を評価する数学、また、緑豊かな約8万m2の校地を生かし、豊富に実験観察を取り入れた理科など、さまざまな取り組みをしているという。こうした教育にかける思いを堀口千秋教頭らに聞いた。

中学3年間で読解力と思考力の基礎を固める

堀口教頭(右)と酒井先生
堀口教頭(右)と酒井先生

 同校は、獨協学園全体の教育理念である「学問を通じての人間形成」を実現するために、「幅広い教養と基礎学力の充実」及び「体験学習」という二つの教育方針を重んじている。堀口千秋教頭によると、物の見方や考え方を広げ、深めるとともに、さまざまな体験を通して生徒の可能性を引き出すことが、全人格的な人間形成につながるからだという。

 「現在の中学・高校の教育は、大学受験に必要な科目に偏重しがちです。その結果、文系出身者は仕事に必要なデータやグラフの見方が分からない、理系出身者には資料の読解力やレポートを書く力が足らない、ということが起こってしまいます。これからの社会で多方面にわたって活躍できる人間となるためには、全人格的な人間形成が必要です。そのために本校では、幅広い知識・教養と基礎学力の充実に力を入れています」と、堀口教頭は話す。

 中学の3年間は特に、自分の適性を見定め、進路を決める前に、偏りなく、幅広い知識を身に付けておくべき大切な時期だという。そこで「苦手科目を作らない」「自分が得意とする分野を見つける」ことを目標に、さまざまな取り組みが行われている。

 その象徴的な取り組みが、月曜から土曜まで週6日、朝の10分間行われている「朝学習」であり、特にそのうち3日間を割いて行われる「読書」だ。

 「高校生になって実践的な学習を進めるにあたり、あらゆる科目で読解力は不可欠です。最初は本を読むのが苦手そうだった生徒たちも、中身の面白さが分かってくると『10分では足らない』と思うようになり、読書の楽しさに目覚めていきます」と、堀口教頭は話す。

 朝の読書のために、生徒たちは約6万冊の蔵書を誇る同校図書館から好きな本を選ぶことができる。常駐している専任の司書2人が、本の選び方をアドバイスしてくれるそうだ。

 「朝学習」の残り3日間は、英語、国語、数学の小テストが行われる。「一定の結果に満たない生徒には放課後補習があり、部活動を休まざるを得なくなります。きちんと勉強してから、部活で思いっきり楽しむという、学校生活のあり方をしっかりと理解してほしいのです」

 全科目の基礎となる「読解力」を磨くほかに、同校が基礎学力として重視している力は「思考力」だ。普段の授業でも、単に問いと答えのパターンを詰め込むのではなく、なぜその解答になるのかを考えさせるようにしているという。

 例えば、数学担当の酒井直樹入試対策部主任は、問題を解く際は常に途中式を書くよう生徒に指導している。「途中式を書くことで、論理的な思考力を養うことができます。正しい思考方法に沿って解くことができれば、その力は他の問題にも応用可能です。テストで途中式なしで答えだけ書いてある場合、例えその答えが合っていても正答とはしません。でも、解答用紙に途中式が書いてあれば、最終的な答えが出ていなくても、部分点を与えることにしています」

 堀口教頭と酒井先生によると、中学の3年間で十分な基礎学力を養った生徒は、高校に上がった時に余裕があり、高校受験を経て入学した生徒に比べて早めに、将来の進路に目を向けることができるそうだ。

協調性を身に付けた大人に成長するための土台として

 もう一つの教育方針である「体験学習」の意義について堀口教頭は、「生徒たちはそれぞれに可能性を秘めていますが、それはさまざまな体験を重ねる中で初めて引き出されるものです。それに、実体験を経て『面白い』『どうしてこうなるんだろう』と思いながら得た知識は、自分の中にずっと残ります。一夜漬けで暗記した知識は、テストが終われば忘れてしまいがちなものです」と話す。

学校からすぐ近くの田んぼで行う稲作体験の田植え
学校からすぐ近くの田んぼで行う稲作体験の田植え
中3で行う福祉体験
中3で行う福祉体験
動植物が観察できる校内のビオトープ
動植物が観察できる校内のビオトープ

 同校では2001年の中学開設当初から、中1の「総合的な学習の時間」に稲作体験をさせることを伝統としてきた。「校門のすぐ前にある田んぼを借り、田植えをした後も定期的に観察を行い、収穫した米を炊き、自分でおにぎりにして食べてみるところまで実施します。食べ物は買うだけでなく作るものであることを理解し、食育や農業政策などを考える機会ともしています」

 中2の「総合的な学習の時間」では、キャリア教育として、ファイナンシャルプランナーや保護者を招いて仕事の具体的な内容やお金の使い方について学び、将来の進路の可能性について考える。中3では「福祉体験」として、車椅子や白杖(はくじょう)を自分たちで使う体験をしたり、夏休みに福祉施設などでボランティア活動に参加したりする。

 「体験学習」の考えは、教科の授業にも表れている。理科の授業では実験が重視され、中学3年間のうちに50~60回も実施される。また、校内に設けられたビオトープで、植物や鳥などの動物の観察も行われる。社会では自分でテーマを見つけて壁新聞を作成したり、英語では外国人学生と一緒に2泊3日のサマーキャンプを体験したりと、さまざまな形で体験を取り込んでいく。

 酒井先生は「体験学習は、失敗してもいいのです」と話す。「むしろ、どうして失敗したのか、どのようにすればうまくいくのかを教師と一緒に見つけていけばいい。広い敷地の中でのびのびと学ぶことができる本校には、好奇心を発揮してさまざまなことにチャレンジする環境が整っています」

 同校には緑に囲まれた約8万m2の広大な敷地や、サッカー・ラグビー場、プールなど充実した施設・設備があり、生徒たちの体験学習をサポートする。その中で自ら課題を発見する楽しさに目覚めた生徒は、進路についても、自分の考えで目標を決めるようになるそうだ。

 「さらに、実践的な活動を経ることで協調性を身に付け、人に思いやりを持って行動できるようにもなります。その力は、大学に進み、社会に出てからも必ず役に立ちます。そういう大人に成長するための土台を、本校で築いてくれることを願っています」と、堀口教頭は思いを述べた。

 (文・写真:足立恵子 一部写真提供:獨協埼玉中学高等学校)

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1287134 0 獨協埼玉中学高等学校 2020/06/22 05:21:00 2020/06/22 13:10:57 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/06/20200619-OYT8I50016-T.jpg?type=thumbnail

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