「生徒は全員が主役」三つの柱で個性や能力の開花を後押し…星野学園

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 星野学園中学校・星野高等学校(埼玉県川越市)は、教養教育を理念とし、「習熟度別学習指導」「国際人教育」「情操教育」を3本柱として教育を実践している。「生徒は全員が主役」と考える星野誠校長に、学校創立の精神や現在の教育実践について聞いた。

よき人格の育成を目指す教養教育という理念

星野学園の伝統について話す星野校長
星野学園の伝統について話す星野校長

 東京女子師範学校(現お茶の水女子大学)で学んだ星野りちは、「誰もが公平に知識や技能習得の機会を得るとともに、よき人格の育成を目指す教養教育」を理念として1897年、郷里の川越に私塾「星野塾」を開いた。これが星野学園中学校・星野高等学校の前身であり、星野誠校長は、りちから数えて3代目にあたる。

 「本校の教育は、海外の文化が急速に取り入れられた時代に、外国人と対等にやりとりできる教養を持った女性が必要であるという考えから始まりました。その後、1964年に高校を、2000年に中学を開設しましたが、教養教育を行うという理念は、今日まで変わりがありません」。星野校長は、こう学校の歴史を振り返る。

 今年82歳になる星野誠校長は1986年に校長に就任し、現在は中学、高校、さらに2007年に開学した小学校の校長を務めている。「私は、『生徒は全員が主役である』と考えています。どの生徒にも、その生徒ならではの能力や個性が備わっているものです。ただ点数が取れるようになるというのではなく、本校で学ぶことで自分だけが持つ力を見つけ、それを発揮する機会を得てほしいと思います」

全員がクラブ活動に参加し、人間関係を築く

 創立以来の教育理念を実現するうえで同校が三つの柱としているのは、「習熟度別学習指導」「国際人教育」「情操教育」だという。

 「習熟度別学習指導」は、「自分に合った授業こそ、最も力が付く」という考えの下で行われている。中学は共学であり、入学試験の結果、中1から「理数選抜」と「進学」の2クラスに分かれる。その後、2年、3年の進級時に、成績の伸びによって「進学」から「理数選抜」に変わることもできる。また、英語、数学は学力差が出やすいため、同じクラス内で習熟度別に展開して授業を行っている。

 中3から高1にかけて「進路探求」を行い、高校2年次からは、国立型・私立型・文系・理系と、各人の進路希望によってコースが選択される。講習や補習は教員が担当し、希望者は難関大特講といった特別講習を受講することもできる。今春は東京大学、国立大学医学部医学科に現役合格者を出している。

世界的なアーティストを招いての芸術鑑賞会も開催する星野記念講堂「ハーモニーホール」
世界的なアーティストを招いての芸術鑑賞会も開催する星野記念講堂「ハーモニーホール」

 「国際人教育」の面では、40年以上前からネイティブの専任教師によるオーラルコミュニケーションの英語授業を導入し、4技能を磨いてきた。中学では、全員ホームステイや現地校との交流を含めたオーストラリア修学旅行を実施し、高校ではロンドン・パリへの修学旅行、さらに希望者にはカナダのバンクーバーへの語学研修も実施し、異文化に触れさせている。このほか、ドイツの青少年音楽コンクールの優勝者を招き、同校の講堂「ハーモニーホール」で生徒たちと一緒に演奏会を行う「日独交流コンサート」も、2004年から隔年開催してきた。

 「創立者の星野りちは、外国人とも付き合いがある実業家の家に生まれました。外国人と英語で自然にやりとりできる力を養うのは、創立以来の本校の伝統なのです」と、星野校長は話す。

 「情操教育」としては、本格的コンサートホールである星野記念講堂「ハーモニーホール」を活用、世界的なアーティストを招いての芸術鑑賞会を開催している。生徒たちもこのホールで文化祭や合唱祭の発表をしている。クラブ活動も情操教育の一環ととらえられており、クラスや学年を超えた人間関係を築く目的で、「全員がクラブ活動に参加する」というルールを設けている。

「全員が主役」をモットーに生徒全員がクラブ活動に参加している
「全員が主役」をモットーに生徒全員がクラブ活動に参加している

 運動部では、ソフトボール部が2003年にインターハイで優勝している。文化部では、箏曲部が全国高等学校総合文化祭に38回出場し、最優秀賞の文部科学大臣賞を6度受賞している。昨年は音楽部が全日本合唱コンクール全国大会で金賞を受賞、バトン部が「Japan Cupマーチングバンド・バトントワリング全国大会」ドリルダンス部門で優勝した。このほかにも多くの運動系、文科系のクラブが全国大会に出場して好成績を収めている。

 「『全員が主役』ですから、皆それぞれが自分の居場所を見つけ、勉強やクラブ活動に一生懸命取り組み、各自の個性や能力を開花させてくれているのは、大変うれしいことですね」

学校再開時の始業式で、校長の話を「Zoom」で配信

1人1台デバイスを配布し、全教室にプロジェクターを設置している
1人1台デバイスを配布し、全教室にプロジェクターを設置している

 伝統を生かしつつ、新しい教育環境に早期に対応してきたのも、同校の大きな特色である。2000年の中学校開設時に、コンピューターを使いこなす能力が不可欠であると、生徒1人に1台ノートパソコンを配布した。現在はiPadに変更し、調べ学習やプレゼンテーション資料の作成、英語のリスニングなどに活用している。

 さらに、ICT教育を充実させるため、校内に無線LANを完備し、全教室にプロジェクターを設置したうえ、デジタル教科書やプレゼンテーションソフト、マルチメディア教材を活用した授業を行っている。新型コロナウイルス感染拡大のため休校を余儀なくされていた間はビデオ会議システム「Zoom」を使用して自宅待機している生徒に授業を行った。また、6月1日の学校再開時にも密集を避けて、始業式の星野校長の話を各教室へZoomで配信した。

 「次の時代に求められる教育を行っていきたいと、常に考えてきました。自ら課題を見つけ、実践を通して共同作業の中で学ぶという取り組みも、本校では以前から行ってきましたが、最近ではこれがアクティブラーニングとして推奨されています。学校として本来あるべき姿にこだわることが、結果として時代に即してきたものと思います」

 34年間、校長を務めてきた星野校長は、卒業生や保護者たちと多くの交流を重ねてきた。今年高校を卒業したある生徒は、やはり同校卒業生である母親とともに学校を訪ね、「校長先生からうかがった『不易流行』という言葉がとても印象に残っている」と話したそうだ。「松尾芭蕉が語った俳諧の理念の一つです。私の考えでは、新しいことを追い求めていく『流行』が、いつか、永遠に変わらない『不易』となる、すなわち、『流行』と『不易』は本質的に同一であるという意味でしょう。まさにこの言葉が本校のあり方を表していると言えるのではないでしょうか」

 (文・写真:足立恵子 一部写真提供:星野学園中学校・星野高等学校)

 星野学園中学校・星野高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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1309252 0 星野学園中学校・星野高等学校 2020/07/01 05:21:00 2020/07/01 05:21:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/06/20200629-OYT8I50050-T.jpg?type=thumbnail

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