固定観念にとらわれず、自立して輝ける女性を育てる…日大豊山女子

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 日本大学豊山女子中学校・高等学校(東京都板橋区)は、同校初の女性校長である柳澤一恵氏が就任して5年目を迎えた。「私は女子にしばられない」というキャッチフレーズを掲げ、生徒たちがグローバル社会でそれぞれの夢を実現できるよう、「キャリア教育」や「国際交流教育」に力を入れてきた柳澤校長に、5年間の取り組みを聞いた。

「キャリア教育」と「国際交流教育」が学校改革の2本柱

教育改革を進めている柳澤一恵校長
教育改革を進めている柳澤一恵校長

 日本大学付属校の中で唯一の女子校である同校の校長に柳澤一恵氏が就任したのは、高校創設50周年、中学創設30周年の節目にあたる2016年。同校初となった女性校長は、就任当初から「私は女子にしばられない」という大胆なキャッチフレーズを掲げ、周囲を驚かせた。

 「社会ではまだ『女子校はこうあるべき』という固定観念にとらわれる人が多く、生徒の中にも『女子だから』と、やりたいことを諦める人がいます。そうした考えに縛られず、一人の人間として自立し、やりたいことを目指して輝ける女性を育てたいと思ったのです」

 この理想を実現するために、柳澤校長はさまざまな新しい試みを進めてきた。その中でも2本の柱となっているのが「キャリア教育」と「国際交流教育」だという。

 「生徒たちが自分の手で道を切り開き、キャリアを形成するためには、自ら考え、行動する力を育てるとともに、語学力を磨き、世界に目を向ける機会を作ることが必要だからです」

 中学では、「キャリア教育」の新たな試みとして、17年度から入学時に1人1台iPadを配布。18年度から次世代型キャリアコンテンツ「エナジード」を使った学習を導入した。生徒たちはiPadで教材のテキストやムービーを見ながら「正解のない問い」に取り組み、グループワークのアクティブラーニングを通して、自分の考えを組み立て、表現する力を養うという。

 柳澤校長は、エナジードの導入について「AIの発達や今回のコロナ禍など、社会の状況はめまぐるしく変わり、必要とされる仕事や働き方も日々変化しています。生徒たちが社会に出たとき、今ある職業はなくなっているかもしれません。今後は受け身ではなく、自ら何かを生み出すことが求められるため、『ゼロから一を生む力』を築く教材としてエナジードを取り入れました」と説明する。

 エナジードの学習を通じて養われる思考力、表現力は、すべての授業に盛り込まれたプレゼンテーションや調べ発表によって一層高められる。柳澤校長は生徒の変化について、「プレゼンテーション技術が伸びたと同時に、他人の考えをリスペクトして共有し、自身の考えをより深める姿勢が身に付いたと感じます」と話す。

中1・2対象の「ニュージーランド春季短期留学」
中1・2対象の「ニュージーランド春季短期留学」

 「国際交流教育」の面では、17年度から新たに2人のALT(外国語指導助手)を増員した。生徒ラウンジと「イングリッシュルーム」に常駐し、生徒が気軽に英会話を楽しめるようにしている。19年度には中学2、3年生の希望者を対象としたターム留学も可能になった。同様に17年度から始まった中学1、2年の希望者を対象とする17日間のニュージーランド春季短期留学も生徒の人気を集めている。

 このほか、1年次の林間学校で、同行のネイティブの教員から英語で指示を聞きながらのスポーツ大会やカレー作りを楽しんだり、2年次の夏休みに、福島県の「ブリティッシュヒルズ」で英語だけを使って英国風の生活を体験したり、と英語を学び、異文化に触れる機会をさまざまな形で拡大している。

 今年度は「キャリア教育」を兼ねた沖縄修学旅行が開始される。平和学習や文化体験などを通し、国際人にふさわしい広い視野を身に付ける狙いだ。

高校は進路に応じて3クラスからを設置

 高校では「キャリア教育」の一環として17年に、生徒の多様な進路やキャリア設計に対応する三つのクラスを設定した。

 「A特進」クラスは、国公立大学や難関私立大学への進学を目指すクラスで、2年生までに必修科目の大半を終え、3年生では選択科目の学習を充実させるなど受験に向けた態勢を整える。

 「N進学」クラスは、日本大学への進学を目指す。さまざまな教科をバランスよく学んで基礎学力を習得しつつ、部活動や習い事と両立しやすい環境を整備している。

理数Sクラスの研究発表をまとめた論文集(左は教員による英訳)
理数Sクラスの研究発表をまとめた論文集(左は教員による英訳)

 「理数S」クラスは、理数分野のスペシャリスト育成を目指している。進学先は医療系が多いが、理工系、バイオ系への進学者も少なくないという。自らテーマを決め、グループで取り組む「課題研究」を中心としたカリキュラムが組まれ、研究資料となる英語論文の読解に備えた「学術英語」の授業なども設けられている。

 中学同様、高校の修学旅行も「キャリア教育」を兼ねた「国際交流教育」との場となっている。「A特進」クラスは2年次にアメリカ・ボストンを訪れ、ハーバード大学の学生らが企画する4日間の女性リーダー育成応援プログラム「LADYプログラム」に参加する。さらにマサチューセッツ工科大学とウェルズリー大学を訪問し、現地大学生とのディスカッションやプログラミング体験も行う。

 「N進学」クラスと「理数S」クラスはオーストラリア・シドニーへ。ホームステイや学校訪問に加え、将来のキャリアを考えるきっかけとなるよう、オーストラリアで活躍する日本人女性と交流し、彼女たちの生の声を聞く機会を設けている。

日大と連携したキャリアプログラムや多彩な入試改革

日大との高大連携プログラムで理工学部の実験施設を訪問した生徒たち
日大との高大連携プログラムで理工学部の実験施設を訪問した生徒たち

 「キャリア教育」の面では、中高ともに日本大学の付属校というメリットは大きい。中学では1年次と2年次にそれぞれ1回、日本大学を訪問し、希望の学部で講義を受けたり、中学生向けにアレンジされた実習に取り組んだりする。学食での食事を体験したりして大学を身近に感じることができる。高校でも日本大学の教授らによる講義を受けたり、講演を聴いたりする機会が用意されている。

 大学との連携について、柳澤校長は「日本大学は医学部から芸術学部まで、幅広い学部を擁するため、生徒も自分のやりたいことと、将来を結びつけてイメージできます。また、卒業生同士のつながりも密で、そのネットワークもキャリア形成に役立ちます」と話す。

 「キャリア教育」と「国際交流教育」の2本柱以外に、注目される大きな取り組みは入試改革だ。従来の「4科・2科」に加え、国・算・社・理の中から2教科を選べる「2科選択型」、英語のコミュニケーション力を評価する「英語インタビュー型」、さらにテーマを選んで調べ、文章や絵、図表を使って発表する「思考力(プレゼン)型」や、事前に自分が日常生活で感じている問題について解決方法をまとめ、試験当日にプレゼンテーションする「プレゼンテーション(課題発見)型」などユニークな試験方法が導入された。

 「多様な試験を実施することで、多様なお子さんに入学していただき、お互いに刺激し合って成長してほしいと思います。やりたいことや好きなことがあり、前向きに物事に取り組むお子さんに、ぜひ入学していただきたいですね。生徒たちはチャンスがあれば、自ら手を挙げて挑戦します。あらゆる面において、生徒たちが一歩踏み出す後押しができる環境を整えたいと考えています」と、柳澤校長は笑顔を見せた。

 (文:籔智子 写真:中学受験サポート 一部写真提供:日本大学豊山女子中学校・高等学校)

 日本大学豊山女子中学校・高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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1315383 0 日本大学豊山女子中学校・高等学校 2020/07/03 05:21:00 2020/07/03 05:21:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/07/20200702-OYT8I50006-T.jpg?type=thumbnail

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