【特集】生き抜く力を鍛え、社会に貢献できる女性へ…武庫川女子大附

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 昨年、創立80周年を迎えた武庫川女子大学附属中学校・高等学校(兵庫県西宮市)は、私学女子校として初めて文部科学省のSSH(スーパーサイエンスハイスクール)指定校となるなど理数教育を充実させている。SSH指定も第3期に入り、現在は文理共通の探究活動に学習の焦点をあてているという。また、今年度は中学校の二つのコースにも新しい学びが加わった。8代校長である藤森陽子氏に、学習面を中心として学校の特色を聞いた。

「なりたい自分から社会につながる自分」になる学校

 ――学校の教育方針について説明してください。

「生徒がのびのび明るく学校生活を楽しんでいる学校です」と話す藤森校長
「生徒がのびのび明るく学校生活を楽しんでいる学校です」と話す藤森校長

 本校の創設者である公江(こうえ)喜市郎(きいちろう)先生は、欧州での教育視察の体験から、理想の教育を私学によって実現すべく、女子教育に一生を捧げられました。女性は家庭の中でという時代に、自立や社会進出を積極的に支援する先進的な考えをお持ちでした。

 8代目校長として、現代の女子教育を考えるとき、「社会に貢献できる女性を育む」という本校の教育目標は普遍的な輝きを持っていると気付かされます。社会に貢献できるとは、変化の激しい社会で生き抜く力を備えることです。知識と技能を身に付けるだけでなく、それらを社会につながる力として認識する。それが再び新しい知識として蓄積される。この過程を重ねることによって、自らの生き方を決定する力が養われていきます。

 本校では中学入学時と高校入学時に「将来の夢」という題で作文を書きます。多くの中学生が、思いやり、笑顔といった言葉を使い、人に役に立つ仕事をしたいと述べ、高校生になるとより現実的に変化しています。夢が夢で終わる場合もあり、別のものに変わっていくこともあります。夢で終わらせないように支援していくことが教員の役割であるとつくづく思います。私は「なりたい自分から社会につながる自分へ」という言葉で、生徒には常に意識付けしています。

SSH第3期は文理共通の探究活動を実践

 ――SSH指定校として、どのような活動をしていますか

SSH指定校として10年以上の実績を持ち、実験も豊富に行っている
SSH指定校として10年以上の実績を持ち、実験も豊富に行っている
ロボット研究チームが開発し、披露した人型ロボット(右端)
ロボット研究チームが開発し、披露した人型ロボット(右端)

 2006年に文部科学省から私学の女子校としては、清心女子高校(岡山県)と並んで日本で初めてSSHの指定を受け、さらに昨年、第3期の指定を受けました。原則1期5年のプロジェクトですから、10年以上取り組んできたSSHは本校の大きな特色になっています。

 第3期には、文理の隔てなくすべての生徒が探究活動に取り組むことに努めています。なぜなら、自ら課題を設定し、探究したのち、発表し、成果を社会に還元していく営みは文理共通だからです。学ぶ対象は生物学や化学、そして工学などですが、理系人材の育成に注力しているのではなく、探究活動を通じ、これからの社会をたくましく生き抜くための創造力の育成を目指しています。

 第3期の特徴はロボットです。理数教育の中でも工学分野、特にロボットは社会への貢献が見えやすいので、ぜひ取り組みたいと考えていました。一昨年12月は、トルコの高校生が来校し、共同研究や実習を行って交流を深めました。昨年は、関心を持つ生徒がチームを作って人型ロボットの製作に取り組み、80周年記念式典で披露しました。

 今年は、東京工業大学附属科学技術高校、芝浦工業大学附属高校、立命館守山高校、兵庫県立明石北高校、そして本校の5校が連携し、「SMART学会」を設立しました。学会名は各校の頭文字です。連携して研究テーマを設定し、学会誌を発行し、国内外に発信していく予定です。SSHの研究活動は「プラナリアの餌による成長の違い」や「色素増感型太陽電池」などロボット以外のテーマを深掘りするチームもあり、中高6年間にわたりさまざまな学びを深めています。

二つのコースとコース内の新しい学び

 ――コースについて教えてください。

 2017年に「創造グローバルコース」と「創造サイエンスコース」を中学に設置しました。どちらのコース名にも「創造」という言葉を入れたのは、人工知能を始めとする最新技術が進化した時代に人間が求められる思考力、判断力、表現力など、さまざまな力の中でも創造力は、最上位に位置する力だと考えたからです。

 「創造グローバルコース」は英語力、日本語力をともに高め、文理の枠を超えてグローバルに活躍する女性を目指し、「創造サイエンスコース」は大学と連携した高度な研究授業を通じ、世界の「リケジョ」を目指します。

 今年度は、「創造グローバルコース」内に「グローバルイングリッシュコミュニケーション系」を、また両コースから選択できる「データサイエンス類型」を、新しく設置しました。「データサイエンス類型」の特徴は、「情報分野」「プログラミング分野」「統計学分野」の三つのカテゴリーで構成した学習内容にあります。統計の基礎や情報リテラシー、プログラミングの概念の基礎から学んでいきます。データサイエンスは今後、社会のさまざまな分野で求められる学問です。その意味で文理融合の分野と言えます。

 「創造グローバルコース」は将来の進路を見据え、高校2年で人文社会系と、自然科学系に分かれて学びますが、今年度の高校入学生から新たに「グローバルイングリッシュコミュニケーション系」が加わります。週1回のオンライン英会話と少人数の英会話トレーニング、英語を使ったプレゼンテーションを行い、国内外のディベート大会や模擬国連にチャレンジしていきます。

生徒の考えた仮装で文化祭のあいさつをする藤森校長(手前)
生徒の考えた仮装で文化祭のあいさつをする藤森校長(手前)

 本校の生徒の約8割が武庫川女子大学に進学しています。教員育成で知られていますが、薬学科、看護学科への進路希望者も多くいます。この春から経営学部が開設され、学びの幅が広がっています。医学部をはじめ武庫川女子大学にない学部への進学を目指す生徒もおり、国公立大学や私学への進学、海外大学への進学も応援しています。

 学習面を中心にお話ししましたが、本校は、生徒の主体性を重視し、生徒がのびのびと明るく学校生活を楽しんでいる学校です。5月の連休に開催する「武庫川フェスティバル」という文化祭では、校長は生徒が考えた仮装であいさつするという伝統があります。私は生徒が用意したセーラー服にモンペ姿を体験しました。それに、生徒は、自分たちの製作した人型ロボットに私の名前を取って「陽子ちゃんロボット」と名付けたりしています。これからも生徒、教員が一体となって明るい学校生活を盛り上げていくつもりです。

 (文・写真:水崎真智子 一部写真提供:武庫川女子大学附属中学校・高等学校)

 武庫川女子大学附属中学校・高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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1444652 0 武庫川女子大学附属中学校・高等学校 2020/09/01 05:21:00 2020/10/21 11:45:53 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/08/20200831-OYT8I50047-T.jpg?type=thumbnail

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