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【特集】データサイエンスで社会を生き抜く力を身に付ける…武庫川女子大附

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 武庫川女子大学附属中学校・高等学校(兵庫県西宮市)は2020年度、「データサイエンス類型」というカリキュラムを導入した。06年にSSH(スーパーサイエンスハイスクール)の指定を受けて以来、生徒の科学的素養を養うために実践してきた理数教育の一環だという。「情報」「プログラミング」「統計学」にわたる高度な学びの目的や今後の展望について、藤森陽子校長に聞いた。

科学的素養を備えた人材の育成目指して

「社会をたくましく生き抜くための力の一つとして、データサイエンスの知識・技能を役立ててほしい」と望む藤森校長
「社会をたくましく生き抜くための力の一つとして、データサイエンスの知識・技能を役立ててほしい」と望む藤森校長

 2006年に私学女子校としては初のSSHの指定を受けて以来、同校は、10年以上にわたってSSH指定校として、科学的素養を持つ人材の育成に取り組んできた。17年には中高一貫の「創造グローバルコース」と「創造サイエンスコース」の2コースを設置し、両コースで探究活動を通じての科学的素養育成を図っている。特に「創造サイエンスコース」では、科学技術をリードできる研究者・技術者の育成を目指し、高度な理数教育を展開してきたという。

 20年度に導入した「データサイエンス類型」も、そうした科学的素養を培うための教育の一環だ。データサイエンスとは、プログラミング、統計学、AIなどを柱として、ICT化された社会で大量に蓄積されるデータの中から、社会やビジネスの課題解決策を探り、新たな価値を創り出す学問であり、ビジネスやスポーツなど多様な分野への応用が期待されている。

 藤森陽子校長は、「身の回りに多くの情報があふれている現代社会において、情報を正しく判断して活用する力を身に付ける必要があると考えました」と同類型を導入した意図を語る。「データを活用してしっかりとしたエビデンスに基づいた探究活動ができれば、単なる調べ学習に終わらない探究が可能となるでしょう。研究活動においても、実験から得られたデータを分析して活用するといったデータサイエンスの力が加わると、さらに深みのある研究ができるはずです」

身近な体験から生徒の興味を引き出す

「データサイエンス類型」の学びに意欲的に取り組む生徒たち
「データサイエンス類型」の学びに意欲的に取り組む生徒たち

 「データサイエンス類型」は、「創造グローバルコース」「創造サイエンスコース」、いずれのコースの生徒も選択可能なカリキュラムとなっている。「社会に出た時に、まったくデータに関わらない人はいないでしょう。ですから、文理の専攻などにかかわらず、すべての生徒に学ぶ機会を提供したいと考えました」と、藤森校長は話す。

 「データサイエンス類型」が発足した初年度は「創造グローバルコース」の中1生を対象とする予定だったが、事前調査したところ、選択希望者が中1生全体の4分の3を占めたことから方針転換し、中1生全員を受講可能とした。2年目の21年度は、「創造グローバルコース」の中1・中2の全生徒と、希望した52人の高1生が受講している。順次、他学年および「創造サイエンスコース」にも対象を広げていく予定だ。

 「データサイエンス類型」の学びは、「情報」「プログラミング」「統計学」の三つの分野で構成される。中学では、1年を通した「情報」の授業に加え、「MS(武庫川おもしろサイエンス)タイム」と呼ぶ総合的な学習の時間を活用して年数回の授業を実施する。学びの入り口として、体験的な授業を中心に展開する方針で、たとえば、簡単なプログラミング言語を学習してロボットやドローンを制御したり、AIを体験したりしている。

ドローンを飛ばすなど体験的な授業で生徒の興味を引き出す
ドローンを飛ばすなど体験的な授業で生徒の興味を引き出す

 藤森校長は、「すでに社会の身近なところで利用されているロボットやドローンがどのように制御されているのか、生徒たちは知りません。これを知ることでデータサイエンスへの興味を引き出し、論理的な考え方を身に付けることにつなげていきたいと考えています」と話す。

 ロボットの制御を経験した野村ななさん(中1)は、「失敗した時は、一からやり直さなければならないことが大変ですが、プログラムによってロボットを自由に動かせて、少しの工夫で歩き方が変わることを知りました。ロボットが完成して歩かせる時には、緊張感とワクワクした気持ちを感じました」と、新しい学びの楽しさを話した。

 藤森校長は、「失敗を繰り返して何度も乗り越えていく、そんな経験をすることが大切です。そして、試行錯誤して成功体験が得られると、自ら学んでいく姿勢が身に付きます」と語る。

探究活動にもデータサイエンスを生かす

プログラミングを学び、ロボットを制御する
プログラミングを学び、ロボットを制御する

 データリテラシー、アプリの活用、プログラミングや統計の基礎など、「データサイエンス類型」で身に付けた知識は、高校での学習につながっていくという。高校では、必修科目の「情報科学」でデータベースに関する知識、モデル化とシミュレーションなどの知識、「数学1」では統計を学ぶほか、週1回のMSタイムではpython(パイソン)言語を使ってのプログラミング、AI体験などで学びを深め、データを収集、整理・分析、活用する力を身に付けていく。

 「データサイエンス類型では文系コースの生徒でも、数学Bの学習範囲に含まれる『統計的な推測』『確率分布』といった数学の理論まで学んでもらいます。難しく感じる生徒もいると思いますが、コンピューターやタブレット端末を使って実際に体験するなど学習方法を工夫し、理解を深めていきます」と、藤森校長は説明する。「授業でも、非接触タグやQRコードの仕組み、商店が品ぞろえにレジの売上記録データを活用していることなど、生徒たちの身近にある題材を切り口にしながら興味を高め、理論もしっかりと身に付けていくことを心がけています」

 藤原有貴さん(高1)は、「統計分野の勉強では、まだ理解が追いつかない」と残念そうに話し、「自分には課題を見つける力が備わっていないと感じているので、統計学をマスターしてその力を身に付けたいです」と、学習への意欲を見せていた。

 藤森校長は、「学びの集大成となる高3では、課題を自分で決めて、統計的な探究活動を実践してほしいと考えています」と今後の展望を話す。「たとえば、フィールドワークをしてデータを集め、多くの情報の中から何らかの答えを見つけ出して自身の考えを発表するといった探究活動を想定しています。正解・不正解のない問題に、データサイエンスの力を活用して挑んでほしいと思います」

 同校は今年6月、日本国内で初のデータサイエンス学部を設立した滋賀大学と連携・協力に関する協定を締結した。滋賀大学を始め、他の中学・高校や企業など外部と連携しつつ、「データサイエンス類型」の学びをさらに充実させていく考えだ。

 藤森校長は、「社会をたくましく生き抜くための力の一つとして、データサイエンスの知識・技能を役立ててほしい」との思いを持っている。「これからの社会では、学力以外にもどのような力が発揮できるのかが問われるでしょう。そのような時代に活躍できる女性となるため、データサイエンスの学びを含め、中高生のうちに幅広い経験をして自分をブラッシュアップしていってほしいと願っています」と語った。

 (文・写真:溝口葉子 一部写真提供:武庫川女子大学附属中学校・高等学校)

 武庫川女子大学附属中学校・高等学校について、さらに詳しく知りたい方は こちら

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2263596 0 武庫川女子大学附属中学校・高等学校 2021/08/17 05:01:00 2021/08/17 05:01:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/08/20210805-OYT8I50014-T.jpg?type=thumbnail

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