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【特集】生徒の自主性を尊重し、部活動も充実の進学校…栄東

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 栄東中学・高等学校(さいたま市)は、地域有数の進学校として知られる一方、文武両道を目指して部活動も盛んだ。なかでも理科研究部は、外部の学会のポスター発表で部員の研究が受賞するなど学内外で評価が高まっている。最近では若き「お魚博士」としてテレビにも注目されるユニークな部員も出てきた。顧問の荒井賢一教諭らに、同校の部活の特徴や理科研究部の活動などについて聞いた。

部活と勉強の両立で時間の使い方がうまくなる

 同校は地域で指折りの進学校として知られ、今春も17人(既卒者を含む)の東大合格者を送り出している。しかし、その一方で「文武両道」をモットーに、生徒の自主性を尊重した自由な雰囲気で打ち込める部活動の環境作りも行っている。

アーチェリー部はインターハイに12回出場し、5回入賞している
アーチェリー部はインターハイに12回出場し、5回入賞している

 現在、中高合わせて42のクラブや同好会が活動している。野球部や柔道部といった一般的な運動部に加え、果樹や野菜の栽培・収穫を行ったり、イチゴの品種改良を研究したりする「園芸同好会」、数学オリンピック上位入賞を目指す「競技数学同好会」、創部1年目に全国高等学校クイズ選手権で全国大会に出場した「クイズ研究部」など、個性豊かなクラブも数多い。

 同校入試広報部の市原貴紀教諭によると、部活動と勉強を両立させている生徒は時間の使い方がうまくなり、短い時間に集中して勉強に取り組むことができるため、部活を引退してからもスムーズに大学受験の準備に移行できるという。例えば「クイズ研究部」は、土曜日を含む週4日を活動に充てており、同校の部活の中でも比較的に活動時間が長いが、2019年までの7年間に、部員11人が東京大学に合格している。この中には、同選手権の全国大会準優勝の原動力になった生徒もいるという。

 部活にも勉強にも打ち込める自由な雰囲気があるためか、生徒のほとんどは何らかのクラブ・同好会に所属している。全国区の知名度を誇るクラブもいくつかある。高校では、アーチェリー部が全国高等学校総合体育大会(インターハイ)に12回出場し、うち5回入賞という実績を上げている。水泳部もインターハイに3回出場、中学ではコーラス部が、全日本合唱コンクールで3回金賞に輝くなどの活躍を見せている。

論文や研究発表で学外からも注目される理科研究部

理科研究部では1988年から学校近くを流れる芝川の水質調査を行っている。
理科研究部では1988年から学校近くを流れる芝川の水質調査を行っている。

 その中で、学外からの注目も高まっているのが、理科研究部だ。同部の活動日は週に3日で、その限られた時間を有効利用して部員たちは自分の関心のあるテーマを日々探究している。最近では、今春の卒業生が執筆した論文が地震の学術誌に掲載されたほか、高校3年の男子部員が、7月にオンライン開催された「日本地球惑星科学連合2020年大会」の高校生ポスター発表で、優秀研究賞を受賞するなど活躍を見せている。

 同部は個人の研究テーマのほかに、部全体の研究として1988年から学校近くを流れる芝川の水質調査を行っている。今夏の実地調査では、部のOBも2人参加し、サンプルの採取方法やリポートの書き方などについて、現役部員をサポートした。顧問の荒井賢一教諭によると、卒業生が進んで現役部員の研究を手伝ってくれるのも同部の特徴で、「自主性を尊重して自発的な活動を認めてきたからこそ」だと考えている。この芝川の研究は、研究論文が関連学会の機関誌に掲載されるほど質の高い内容となっている。

地震研究の専門家でもある理科研究部顧問の荒井教諭
地震研究の専門家でもある理科研究部顧問の荒井教諭

 荒井教諭自身は、大学院で地震と津波の研究を修めた地震研究の専門家だ。顧問に就任した約15年前から、自分のテーマを研究しながら生徒を指導している。自由な雰囲気を尊重する同部では、生徒が知らぬ間に外部のコンクールに研究論文を応募してしまうということもあるそうだが、部としての一体感を保つために各部員の研究の経過や成果は、できるだけ部員全体で共有するように心がけているという。荒井教諭も部活動の時間に自分の研究論文を部員に読んでもらい、改善点を洗い出すこともあるそうだ。荒井教諭は「研究に没頭すると視野が狭くなりがちですが、生徒のおかげで物事の視野が広がっています」と目を細める。

周囲の理解と協力のなか研究に没頭する「魚博士」

 荒井教諭の専門分野ということもあって、地学や天文の研究をしている部員が多いなか、「若き魚博士」と呼ばれ、テレビにも出演している異色の部員がいる。高校2年生の饗場(あいば)空璃(そらり)君(17)だ。饗場君は入部以来ずっと海の生物を研究している。幼い頃から海の生物に興味を持っていた饗場君は、同校に入学する前から、入学したら理科研究部に入部すると決めていたそうだ。

「若き魚博士」と呼ばれる高校2年生の饗場君
「若き魚博士」と呼ばれる高校2年生の饗場君

 饗場君は深海魚の生態調査をする傍ら、サメなどを解体して骨格標本や剥製(はくせい)も製作する。自宅には約2000種類3000匹の魚の標本があり、飼育している魚介類は約100種類120匹に上る。自宅リビングに詰め込まれた水槽が水族館を連想させるため、知人からアクアリウムにかけて「ソラリウム」と呼ばれているという。

 そんな饗場君も研究に夢中になるあまり、部の冷凍庫にサメの死骸を保管して他の部員を驚愕(きょうがく)させたり、魚の臭いを部室に充満させてしまって不評を買ったりすることもあった。部員の多くが饗場君を尊重してくれる一方、どうしても臭いが気になったり、気味悪がったりする部員もいることを知り、同じ環境で一緒に研究を続ける難しさも経験した。荒井教諭は、「個人で研究を続けていたら周囲の反応に疎くなるが、一緒に研究しているからこそ周囲への配慮ができるようになる。彼にとっては重要な学びの一環でした」と話す。

 他の部員のアドバイスで成果が上がった研究もある。饗場君が食用に適さないバラムツという魚を有機燃料として再利用する研究をしていたところ、なかなか効果的に油を抽出できず、行き詰まっていた。しかし、仲間から鯨の油を取る方法をアドバイスされ、試してみたところ、うまく油の抽出に成功したという。饗場君は「それぞれ研究テーマは違うけれど、10人いれば10人分の知識が得られるのが部活動の魅力です」と、部に所属することのメリットに感謝していた。

 饗場君は今、周囲の理解と協力を得ながら、ひたすら好きな魚の研究に(いそ)しんでいる。将来の目標は、新種の魚を発見することだ。荒井教諭は、「いつか饗場君の名前をもじった魚が発表されるかもしれない」と期待を込めて見守っている。

 (文:江澤岳史 写真:中学受験サポート 一部写真提供:栄東中学・高等学校)

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1722874 0 栄東中学・高等学校 2020/12/24 05:01:00 2020/12/24 05:01:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/12/20201223-OYT8I50028-T.jpg?type=thumbnail

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