【特集】中・長期留学で世界に貢献できる自立した女性を育てる…東京女子学院

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 東京女子学院中学校・高等学校(東京都練馬区)は2018年に、全員が中・長期の留学が可能な「スタディアブロード(SA)コース」を高校に設け、本格的なグローバル教育に力を入れてきた。早くもこの3年間で、英語や国際系の進路を希望する生徒が増えるなど生徒たちの姿勢が目に見えて変化してきたという。グローバル教育推進部長の教諭に教育理念や教育方法について取材し、実際留学を経験した生徒3人の声を聞いた。

中・長期留学がカリキュラム化された「SAコース」

グローバル教育推進部長で英語科主任の渡辺友香教諭
グローバル教育推進部長で英語科主任の渡辺友香教諭

 同校は中学からの内進生と高入生が合流する併設型中高一貫校だ。高校1年次に生徒たちは、海外の提携校に留学して単位を履修できる「スタディアブロード(SA)コース」、2年次に文理選択して大学進学を目指す「セレクトラーニング(SL)コース」、食に関する専門科目を学び、栄養・調理系の大学学部を目指す「フードカルチャー(FC)コース」の3コースに分かれる。

 同校は女性として自立し、将来的にグローバルな世界で活躍し、世界に貢献できる人材の育成を目指しており、いずれのコースも4技能をしっかり伸ばして「使える英語」を磨くとともに、2年次に全員が参加する8日間のアメリカ修学旅行や、希望者向けの14日間の英国語学研修や10日間のフィリピン短期交換留学で、国際的な視野を身に付けるグローバル教育がなされている。

 その中でも中・長期の留学の機会がカリキュラム化されている「SAコース」は、やはり同校のグローバル教育の中心だ。このコースは現在、各学年1クラスで、高1から高3まで計3クラスが学んでいる。基本的に所属する生徒全員の留学が可能で、留学を受け入れる提携校はアメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドの5か国に広がる。1年次から2年次にかけて3か月もしくは1年の海外留学を経験することで、国際的な視野と英語によるコミュニケーション力を磨くことができる。また、留学中に現地校で履修した単位は帰国後も有効なので、元の学年に戻って3年で高校を卒業できるメリットもある。

 留学先は本人の希望を尊重し、学校と相談して決定する。部活を優先するなどで、留学には参加しないという選択も可能だ。

 グローバル教育推進部長で英語科主任の渡辺友香教諭は「あえて高校という早い時期に、中期・長期の留学を経験させることによって、世界に通用する人材を育てるのがSAコース設置の狙いです」と話す。「ただ、このコースに入るのに、英語の成績は関係ありません。必要なのは本人の強い意志とやる気です。もちろんそれなりの厳しい負荷は当然かかりますが、頑張った分必ず力が付くように、我々教師がフォローします」

 留学前には英会話力をブラッシュアップし、留学先の文化・習慣などを学ぶ事前学習があり、帰国後は留学の成果をまとめて共有したり、さらに調査を加えて事後学習を行ったりする。さらに現地で磨いた英語力を保持・伸長するために、3人のネイティブの先生によるフォローも行われる。

アクティブラーニング主体の英語授業

 日常的な英語の授業では、リーダーの訳読や教師が生徒を指名して文法の問題を答えさせるなどの教え方は一切行わない。アクティブラーニングが基本だといい、PBL(課題解決型学習)の手法がしばしば用いられる。課題となるテーマを決め、英語でディスカッションしながら、解決方法を探るといった実践的なプログラムだ。身近な話題から環境問題などの社会問題までさまざまなテーマでこうしたディスカッションやプレゼンテーションをペアやグループで行い、思考力・表現力を培っていく。

 例えば「自分の英語をどう向上させるか」という課題では、「自分が音読した英語を、iPadに録音して聴き直す」「その過程や成果をみんなの前で発表する」などの意見が盛んに出されるという。こうした学習成果は学期ごとに発表の機会があり、さらに表現力を付けていく。学期ごとの試験でも、筆記試験よりも実践的なパフォーマンステストが重視され、英語でやり取りする力や理解の正確さが問われるという。一見、英会話重視のようだが、基本的なボキャブラリーのテストなどは定期的にあって、基礎固めもしっかり行っているそうだ。

 このほか、実用英語技能検定(英検)の受検を奨励していて、中高6学年の枠を超えて「受検する級ごと」のクラスを編成して学習する。また、第2外国語(中国語・フランス語)もSAコースでは2、3年次に必修で週2時間、SLコース(文系)では2、3年次に選択必修で週2時間学ぶ。中学生でも中2で中国語、中3でフランス語をそれぞれ選択必修で週1時間学んでおり、さまざまな形で生徒の国際理解を広げている。

留学を経てたくましい成長を見せる生徒たち

帰国する際、関谷さんに贈られた現地の生徒からの寄せ書き
帰国する際、関谷さんに贈られた現地の生徒からの寄せ書き

 実際留学を経験した生徒3人に話を聞いた。高校2年生の2人は2019年8月から約1年間、それぞれイギリスとアメリカに留学した。2人は帰国時に、コロナ禍の影響でホテルに足止めされたり、飛行機が飛ばなかったりするなどのトラブルに見舞われたが、たくましく自力で解決し、それぞれ7月と8月に帰国している。

 山崎紫野さんは、イギリスのチェルトナムにあるセントエドワーズ校に留学した。山崎さんは、アメリカ英語とは違ったクイーンズイングリッシュに興味があり、イギリスを選んだという。「引っ込み思案な性格でしたが、留学先で勉強し、一生懸命準備した研究発表で表彰されて自信が付き、自分が変わったと思います。大学を卒業した後は、小さい時からたしなんできた茶道、華道、能などの日本の文化を世界に広める活動をしたい」

 荒井優奈さんは、アメリカ・オレゴン州にあるリビングストーン・アドベンティスト・アカデミーへ留学した。「アメリカ人の先生に英会話やアメリカの文化を学んできたので、もっと知りたいと思ってアメリカを選びました。留学先では頑張って勉強したので成績優秀者に選ばれました。留学を経験して、もっと英語を勉強したくなったので、大学でも機会があればもう一度留学したいです。将来は英語を使って空港などで働きたい」

関谷さんが、テニスを通じて仲良くなった現地の生徒たち
関谷さんが、テニスを通じて仲良くなった現地の生徒たち

 高校3年生の関谷綾香さんは、2018年8月から2019年6月にカナダに留学し、イマキュラタハイスクールで学んだ。「中学時の英語の成績は普通で決して得意な方ではありませんでしたが、英語を流暢(りゅうちょう)に話したいと思い、発音がはっきりしていてきれいな英語だと聞いたのでカナダを選びました。留学先では、最初は溶け込むまでに時間がかかりましたが、テニス部に所属していたので留学先でもテニスを通じて現地の生徒と仲良くなれました。将来は、日本と海外をつなぐ懸け橋になるような仕事をしてみたいと思っています。師範を取れるところまで上達した書道も、いつか外国に広めたい」

 「ここ数年、英語や国際系の進路を希望する生徒が増えてきました」と渡辺教諭は話す。グローバル教育の充実が、生徒の進路選びに影響を与えていることは間違いないだろう。さらに、秋からはオンライン英会話も充実させる予定だという。同校のグローバル教育はますます加速することだろう。

 (文:吉野京子 写真:中学受験サポート 一部写真提供:東京女子学院中学校・高等学校)

 東京女子学院中学校・高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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1601629 0 東京女子学院中学校・高等学校 2020/11/06 05:01:00 2020/11/06 05:01:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/11/20201104-OYT8I50020-T.jpg?type=thumbnail

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