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【特集】来年度共学化 伝統と改革の融合へ向けて…サレジアン

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 女子中高一貫校の星美学園中学校高等学校(東京都北区)は2022年度から、「サレジアン国際学園中学校高等学校」と校名変更し、共学校としてスタートする。背景にはグローバル化する社会への対応があるという。これから始まるさまざまな教育改革の試みを、19世紀イタリアの女子修道会に由来する建学の精神とどう融合させていくのか、その将来構想を聞いた。

建学の理念と現代への対応を担った新校名

 「共学化の主な背景は、世界のグローバル化です。これからは誰もが、異なる価値観や言語を持つ人々を隣人とし、共存していかなければなりません。その一環としての共学化です。世界97か国にある本校の姉妹校も、現在はほとんどが共学になっています」。小泉三千代副校長は、校名変更と共学校化に踏み切る理由をこう説明する。

校内に立つ聖ヨハネ・ボスコ像
校内に立つ聖ヨハネ・ボスコ像

 同校は、北イタリアのカトリック司祭聖ヨハネ・ボスコ(ドン・ボスコ)が1872年に設立したカトリックの女子修道会「サレジアンシスターズ」を設立母体とし、ドン・ボスコの教育思想である「予防教育法」による全人間教育を建学の精神としてきた。

 「『予防』というと、外部との間に壁を作るような連想をするかもしれませんが、ドン・ボスコの理念はむしろ正反対です。病気の予防に健全な体が不可欠なように、心の力を高め、自ら善へ向かって進む人間を育てる教育です」と、小泉副校長は説明する。

 また、そうした教育は、教員と生徒の信頼関係なくして成り立たないという考えから、イタリア語で「共にいる」ことを意味する「アシステンツァ」をキーワードに、教員は生徒一人一人と向き合うことを心がけているという。「教員は授業だけでなく、朝礼や食事時、部活など学校生活全般で絶えず生徒を見守り、親身な対話に努めます。そうして、生徒の心に愛情と信頼を形成するのです」

 星美学園中学校高等学校は、ドン・ボスコに由来するこうした教育思想に基づいて「聡明(そうめい)でたくましく、喜んで社会に貢献できる女性」の育成に携わってきた。共学化がスタートしてもそうした教育思想は変わりなく受け継がれ、新たに「21世紀に活躍できる世界市民の育成」という理念が掲げられる。新校名の「サレジアン」と「国際」には、そうした二つの教育理念が象徴されているという。

世界市民を育てるための「五つの柱」

「大きな夢を持って、本校の門をたたいてください」と話す小泉副校長
「大きな夢を持って、本校の門をたたいてください」と話す小泉副校長

 「21世紀に活躍できる世界市民」を育てるため、今後、同校が展開する教育には「五つの柱」があるという。

 最も大きな柱は、同校が実践してきた「善を目指す心の教育」だ。「価値観が多様化する今後の時代にこそ、一人一人が『善』の実現に向けて力を尽くさねばなりません。私たちの理念が、ますます求められると考えています」と、小泉副校長は強調する。この「心の教育」を土台として四つの力が合わさることによって「五つの柱」となる。

 一つ目は「コミュニケーション力」。「文化背景や意見が異なる人と共存し、世の中に関わっていくためには、対話によって互いに違いを認め、新しい価値を創っていくことが重要となります」

 次に「言語活用力」。「現代の『世界市民』としての共通言語は英語です。話せるようになるだけでなく、英語で考え、伝えることができる能力の基本を、中高生の時期に身に付けます」

 さらに、AIなどの科学技術の急速な発展を念頭に「数学・科学リテラシー」の向上にも力を入れる。「知識だけにとどまらず、仕組みや構造をきちんと理解し、活用する力を持つ。そのために、科学の世界に触れ、考える機会を増やします」

 最後にこれらの力のベースとなる「考え続ける力」の鍛錬が重視される。「一つの課題を解決して終わるのではなく、そこから派生する課題に着目して関わり、答えのない問題にも根気よく取り組む。壁を突破するにはクリエイティブな発想も必要です」

2コース制を採用し、英語や探究活動など強化

 この「五つの柱」を念頭に、特に英語を中心とした「言語活用力」の向上を推し進めるため、来年度の中1から「インターナショナルクラス」を新設し、「本科クラス」と合わせて2コース制とする。

 「インターナショナルクラス」では通常週8時間の英語授業を10時間とし、バランス良く英語4技能を鍛え上げる。また、英語に加えて社会、数学、理科にもオールイングリッシュの授業を導入する予定だ。このクラスは、帰国生など英語を生活言語とする生徒の「アドバンストグループ」と、英語や国際交流への関心が高い生徒の「スタンダードグループ」の混成クラスであり、クラス内で異文化交流できる環境を目指す。

 「留学制度のリニューアルも考えています。あえて英語経験の少ない『スタンダードグループ』の生徒に多くの機会を与え、『アドバンストグループ』には各自の極めたいことを学ぶ留学として充実させます」

 「本科クラス」では、中学で3時間、高校で2時間の総合学習授業に探究活動を導入する。「中学では学校で大枠のテーマを示しますが、高校では自由テーマで、最終的には論文を執筆します。これも『考え続ける力』を磨くカリキュラムの一環です」。

PBLではICTを活用する機会もますます増える見込みだ
PBLではICTを活用する機会もますます増える見込みだ

 両コースのカリキュラムの中心となるのは「コミュニケーション力」「言語活用力」「数学・科学リテラシー」「考え続ける力」の育成を目標とする、PBL(課題解決型学習)をベースとした授業改革だ。

 「単元ごとに、『トリガークエスチョン』を発端とする探究型授業を進めていきます。例えば『正義とは何か』というように、さまざまな思考への入り口となる問いです。もちろん生徒はその問いにすぐには答えられません。さまざまなことを調べ、さまざまな角度から物事を観察し、主体的に思考することを求められます。PBLは主要5教科だけでなく、体育や家庭科など全教科で行います」

 PBLでは、グループによる討論や発表が頻繁に行われる。その際、同校が重視している「シェアド・リーダーシップ」が生きてくるという。さまざまな授業や行事の運営に際しては、体育が得意な生徒、音楽が得意な生徒など、一人一人が自分の持ち味を生かし、必要な場面でリーダーシップを発揮するという考えだ。

 「各教科で得意な生徒がファシリテーターとしてリーダーを務め、周りの生徒がフォロワーの役をします。発表の形式も、授業で日頃使っているタブレットなどICTを駆使する機会がますます増えていくことになります」

広さを倍増し、自習スペースも拡充する予定の図書室
広さを倍増し、自習スペースも拡充する予定の図書室

 カリキュラムだけでなく、施設の充実にも力を入れる。現在3万冊を所蔵する図書室は広さを倍増し、さらに蔵書を充実させるとともに自習スペースも拡充する。また、「数学・科学リテラシー」育成の拠点として、既存の物理・化学・生物の理科教室に加え、実験主体の研究施設「サイエンスラボ」を新設する。

 「サイエンスラボには、中学・高校の標準よりも高度な実験機器を導入します。例えばDNAの分析は現在の理科授業でも行っていますが、そうした機器を活用することで、より精度の高い考察ができるようになります。授業はもちろん、理科系の部活でも活用していきます」

 ラボは廊下から気軽に中をのぞけるよう、大きな窓を設けた設計となっている。「放課後に生徒が通りがかったとき、気軽に科学の世界に出会えるようにしたい」。理科教員を多年務めてきただけに、小泉副校長も言葉に熱が込もる。

 「現在の学校名に込められた『一人一人が星のように美しく輝く』という願いは変わりません。従来の特色であるのびのびとした校風の中に、前のめりになってワクワクと学べる学習環境を整えたい。ぜひ大きな夢を持って、本校の門をたたいてください」

 (文:上田大朗 写真:中学受験サポート 一部写真提供:サレジアン国際学園中学校高等学校)

 サレジアン国際学園中学校高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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1965155 0 サレジアン国際学園中学校高等学校 2021/04/07 05:01:00 2021/04/07 05:01:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/04/20210406-OYT8I50046-T.jpg?type=thumbnail

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