【特集】予測不可能な世界を生き抜く「凜とした」女性の育成…和洋国府台

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 和洋国府台女子中学校高等学校(千葉県市川市)は2017年度から、「 (りん) として生きる」というスローガンを掲げ、学校改革を進めてきた。「和魂洋才、明朗和順」という建学の精神を受け継ぎ、日本の伝統文化教育を保持する一方、独自の実践的な英語教育や探究教育の導入、高大連携の強化など新たな試みを次々取り入れてきたという。その狙いや改革5年目の手応えなどを宮崎康校長に聞いた。

グローバル化の基盤となる日本の伝統文化教育

学校改革の眼目について話す宮崎校長
学校改革の眼目について話す宮崎校長

 同校が、学校改革の必要性を論じ始めたのは7年前からだという。1897年の創立以来、「和魂洋才、明朗和順」を建学の精神に掲げ、女性の自立を目指す教育を行ってきたが、予測不可能なこれからのグローバル社会を生徒が力強く生き抜いていけるようにと、全教員による話し合いで教育内容の見直しにかかった。さらに、2017年度、中学校を高校・大学のある国府台キャンパスに移転し、宮崎康氏を校長に迎えたことを期に、具体的な改革に着手した。

 改革のスローガンは「凜として生きる」と決めた。「『凜として生きる』ためには、信念を貫いて行動する精神力が必要であり、信念は明確な価値観からつくられるもの。このスローガンには、どんな時も自分の価値観をしっかりと持ち、自分自身で考え、行動できる人間になってほしいという思いが込められています」と、宮崎校長は説明する。

 改革の眼目は何を受け継ぎ、何を新たに始めるかにあった。そのとき指針となったのが「和魂洋才」という建学の精神だったという。「本校は日本で初めて洋裁を女子教育に取り入れた学校です。当時からグローバルな視点を持ち、日本の伝統文化だけでなく英語も教えてきました。そんな創立者の思いを踏まえ、今改めて『グローバル化とは何か』と突き詰めたとき、日本の伝統文化を知り、日本人としてのアイデンティティーを確立することが重要であると考えました」

日本の伝統文化を学ぶ生徒たち
日本の伝統文化を学ぶ生徒たち

 まず、受け継いでいくものは、日本の伝統文化だ。同校では中1で礼法と華道、中2で邦楽、中3で茶道を学ぶ授業があり、伝統的日本文化の基礎を身に付ける。その上で高1であらためて礼法、高2で平和主義・主権者教育、さらに高3で茶道・社会人マナーを学び、社会で役立つ実践的な内容へ進む。

 「日本の伝統文化を学ぶことは、グローバル社会に対応するためにも必要です。長年、本校が行ってきた日本の伝統文化を学ぶ授業は、まさにグローバル化の基盤になると思います。本校では日本の伝統文化は美しさだけでなく、精神の修養が求められます。授業では、精神の修養を目指す行為を『美しい』と感じられる高い美意識を育てるとともに、精神の修養を通して生徒が自分なりの価値観を見つけ、それを確固とした信念につなげていってほしいと願っています」と話す。

世界に発信できる英語を身に付ける「和洋ラウンドシステム」

和洋ラウンドシステムによる英語の授業
和洋ラウンドシステムによる英語の授業

 こうして身に付けた日本の伝統文化を世界に発信できるように、同校が19年度、新たに始めたものの一つが独自の英語教育システム「和洋ラウンドシステム」だ。

 このシステムでは、子供が言語を習得する過程と同じ順序で英語を学習する。また、教科書を繰り返し学ぶことで、自分の言葉で英語が話せて、書けるようになることを目指す。

 「ラウンド1」では教科書を開かず、イラストや音声、教員との英語のやり取りだけで教科書の内容を学習する。生徒は何度も音声を聞き、聞き取った音を頼りに内容を理解する。「ラウンド2」で初めて教科書を開き、文字を確認しながら音読をする。「ラウンド3」では、難度の高い音読を繰り返して、教科書の英語を定着させる。最後の「ラウンド4」では、自分の言葉で教科書の内容を話し、英文を書いていく。

 宮崎校長は、「和洋ラウンドシステムを取り入れてから、今まで以上に『英語が好き』という生徒が増えました」と話す。授業で英語を話し、発表することで、人前で話すことに抵抗がなくなり、英語以外の授業でも声を出せるようになって学習へのモチベーションも上がったという。

 「和洋ラウンドシステムの導入後、中学卒業までに生徒の80%以上が英検3級を取得しています。また、中学に入学してから英語を学び始めた生徒の中から、2級に合格する生徒がでてきています。いずれも和洋ラウンドシステムの効果だと思います。毎年少しずつ内容をブラッシュアップしていますので、今後もさらにバージョンアップさせ、大学受験にも対応できるようにしていきたいですね」

高大連携の実現や教科横断的な探究学習も

教科の枠組みを超えて行う探究プログラム「WIQ」
教科の枠組みを超えて行う探究プログラム「WIQ」

 中学、高校、大学が同じキャンパスになったことで、中高一貫教育だけでなく、大学との連携も深まった。高校は、もともと難関大の現役合格を目指す「特進コース」と、多様な入試制度を活用して希望の大学への合格を目指す「進学コース」の2コース制だったが、20年度から和洋女子大学への進学を前提とした「和洋コース」を新設した。

 このコースは、高校3年間と大学4年間を接続した7年制の教育プログラムを採用し、高校3年生で週4日間、5、6時限に和洋女子大の講義を履修し、単位を取得できるようにしている。その分、大学で時間の余裕が生まれ、海外留学やインターンシップ、国家試験用のゼミに参加するなどキャリアアップが可能となる。

 さらに特進コースや進学コースでも今後、週3日間、5、6時限に、これまで「受験特訓講座」として放課後に行っていた予備校講師による講座や、小論文・面接の練習などを受講できるように改革の準備を進めている。

 また、20年度からは「探究科」という教科を設立し、週2時間の「和洋の探究型学習WIQ(Wayo Inquiry)」もスタートした。全コースで教科の枠組みを超えて行う探究プログラムであり、探究型授業の専門家である大学教員と連携し、研究やリサーチの方法論を始め、プレゼンテーションの仕方や論文のまとめ方などアカデミックなスキルを学ぶ。昨年の授業では、高校1年生が六つの企業が参加する問題解決プログラムに取り組み、全国の生徒や教員、企業人が集まるアクティブ・ラーニング型の発表会「クエストカップ」で優秀賞を受賞した。

 こうしたさまざまな学校改革を経て、「生徒たちは、あらゆることに可能性を見いだせるようになったと感じています」と宮崎校長は語る。

 「中学高校時代は、社会に出る直前の自分づくりの期間です。本校での6年間を通して、自信を持って社会に飛び立てるよう、今後も生徒一人一人が自分の特性や能力を実感し、可能性を見いだせる前向きな体験ができる環境をつくっていきたいと考えています」

 (文:籔智子 写真:中学受験サポート 一部写真提供:和洋国府台女子中学校高等学校)

 和洋国府台女子中学校高等学校について、さらに詳しく知りたい方は こちら

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