【特集】ミッション校の伝統に21世紀型教育の息吹を…サレジアン世田谷

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 目黒星美学園中学高等学校(東京都世田谷区)は来年4月、「サレジアン国際学園世田谷中学高等学校」と校名を変更し、女子校から共学校へと生まれ変わる。中学では、探究学習に重心を置いた「本科」と、国際性に焦点を当てて英語力強化を目指す「インターナショナル」の2クラスを設置する。全教科にPBL(課題解決型学習)を導入し、21世紀型教育を本格化する。学校改革の狙いと新しい教育内容について取材した。

先の読めない時代を主体的に生き抜く「世界市民力」育成

校名変更と共学化の背景について説明する小西教頭
校名変更と共学化の背景について説明する小西教頭

 来年4月、校名変更・共学化へと踏み出すことについて小西 (ひさし) 教頭は、「多様性が重視される社会にあって、カトリックのミッションスクールでも、世界的に共学化が進んでいます。海外のサレジアンの女子校も男子を受け入れるようになっており、本校でも、時代に即した教育を行うために共学化を決定しました」と説明する。

 同校は、19世紀にイタリアで創設されたカトリック女子修道会「サレジアン・シスターズ」を母体とする、完全中高一貫のミッションスクールだ。1960年に中学、63年に高校を開設して現在の姿となり、以後60年にわたって主体性ある人間力豊かな女性の育成に注力してきた。

 「サレジアン・シスターズ」は世界中に支部を持ち、姉妹校も97か国に広がるという。「サレジアンと言えば古くから『良き市民』を育ててきた学校として認知されます」と小西教頭は言う。その意味で同校も従来から、世界に目を向けた教育を続けてきたが、校名変更・共学化に伴い、あらためて「世界市民力」の育成を教育の柱に据えた。

 新型コロナウイルス感染症、気候変動、紛争など先を見通すことが困難な時代にあって、世界的視野で物事をとらえ、主体的に行動、発信できることの重要性を明確化したものだ。「校名にサレジアンと冠したのは、その決意の表れです」と小西教頭は語る。

「英語で学び、英語で考える」インターナショナルクラス

「『英語で学び、英語で考える』力を育成していきます」と語る上田先生
「『英語で学び、英語で考える』力を育成していきます」と語る上田先生

 この「世界市民力」を育成するために、来年度は「本科クラス」及び「インターナショナルクラス」を新設する。すでに今年度から英語の授業は、週6時間だったのを週8時間に増やしている。来年度の中1は「本科クラス」で週8時間、「インターナショナルクラス」では週10時間の英語の授業を受ける。

 「インターナショナルクラス」はさらに、英語初級レベルからの「スタンダード」と、帰国生など高い英語力を持つ生徒のための「アドバンスト」の2グループに分かれる。「どちらのグループでも、『英語で学び、英語で考える』力を育成していきます。スタンダードでは英語授業が、アドバンストでは英語・数学・理科・社会の4教科がネイティブの教師によるオールイングリッシュの授業となります」と、「インターナショナルクラス」指導部長である英語科の上田かおり先生は説明する。

 「アドバンスト」に入るには、入学時に実用英語技能検定2級以上の英語力を持っていることが目安となる。「スタンダード」に入るのに入学時の英語力は問われないが、「英語で学びたい」という高い意欲が必要とされる。実力が上がればスタンダートからアドバンストへの移行も可能だ。

 「インターナショナルクラスではネイティブの教師が担任となり、ホームルームは両クラス合同で英語で行います。英語を話すことが当たり前の環境の中で、スタンダードの生徒はアドバンストの生徒から大きな刺激を受けることができます」

 さらに、「サレジアン・アカデミック・プログラム」というオリジナルプログラムが週2回、スタンダードとアドバンスト合同で実施される。「探究活動、国際交流、ディベート、ディスカッションといった活動を行います。アドバンストの生徒は自分の力をより高め、スタンダードの生徒は同級生の姿から学んでいくことができます。模擬国連へのチャレンジも考えています」

全教科でPBLを展開、本科クラスは4学年合同「ゼミ」も

PBLやゼミの構想について語る村井先生
PBLやゼミの構想について語る村井先生

 「世界市民力」の要素は、英語力やコミュニケーション力に限らない。経験したことのない問題に直面した時に、その解決法を主体的に見いだす「考え続ける力」が問われるという。こうした力を養うために、すでに一昨年度からPBL(課題解決型学習)を授業に導入している。昨年度はすでに英語、数学、国語、社会、理科の5教科で展開しているが、これを今年度からは、芸術や体育などすべての教科で授業の中心に据える。

 「PBLでは、なぜそうなるのかとトリガークエスチョンという授業の核心を突く問いと出会うところから始まります。情報を収集して知識を吸収し、自分なりの解答を構築していきます」と、教務部長で数学科の村井純先生は話す。

 「本科クラス」では、「熱く探究する生徒」の育成を目指し、共学化後の中2から高2までが合同で参加する「ゼミ」も導入する予定だ。扱うテーマを「自然科学」「人文科学」「数理情報」の3分野に分け、4学年の生徒たちが一緒に、自ら設定した研究課題に取り組む。

 「4学年が一緒に探究に取り組み、総まとめとして論文作成とプレゼンテーションを行います。外部コンテストへの積極的な参加も考えています。教師が手取り足取り指導するのではなく、上級生に下級生をリードしてもらう考えです。1人の生徒がゼミ内で4年間継続的に探究活動を続けることで、大きな成果が期待できます。ゼミを通して学校全体が探究に満ちあふれる学び () となることを目指します」

 小西教頭は、「PBLで問題解決力を養うことにより、考えて読み解くことが必要とされる現在の大学共通テストに対応することができます」と言う。また、「インターナショナルクラス」で学ぶことにより、海外大学への進学、国際教養を中心とする学部の選択など、卒業生の進路が多様化することも予想されるという。

 カトリックの中高一貫共学校は都内ではまだ数少ない。これまで開催した学校説明会では、カトリック系の小学校に通う男子の保護者が「こういう中学を探していた」と言って参加してくる例もあったそうだ。「女子と男子が共に学ぶことで、互いに刺激し合い、学校が大いに活性化することを期待しています」と小西教頭は語る。「本校では伝統的に『宗教』の授業などを通してキリスト教の全人教育を実践しており、そこに時代に求められる新しい教育が加わることになります。ミッションスクールと21世紀型教育の融合。これは、本校ならではの特色であると自負しています」

 PBLの強化に向け、理科室を充実させるための改装も始まろうとしている。カフェテリアも新設されるそうだ。教師たちの表情にも、生まれ変わる学校に寄せる大きな期待が感じられた。

 (文:足立恵子 写真:中学受験サポート 一部写真提供:サレジアン国際学園世田谷中学高等学校)

 サレジアン国際学園世田谷中学高等学校について、さらに詳しく知りたい方は こちら

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