「肉薄」大胆に近づく

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【答え】

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 もう少しで手がれるくらいのところまでせまるのを「肉薄にくはく」と表現ひょうげんします。「迫る」のだから「肉迫にくはく」と書きたくなります。辞書の多くは「肉迫」もみとめていますが、新聞ではもともとの書き方とされる「肉薄」を用いています。

 「薄」は「うすい(あつみが少ししかない)」状態じょうたいを表すだけでなく、「近づく」という意味も持っています。肉(自分の体)を危険きけんにさらして前進するのが「肉薄」です。「肉迫」と書くより、もっと大胆だいたんな「迫り方」といえるかもしれません。

 新聞では、スポーツや選挙せんきょなどで、競争きょうそう相手にもう少しで追いつき追いしそうな場面でよく登場します。また、「心の病理に肉薄する」「取材しゅざい対象たいしょうに肉薄する」のように、真実を解明かいめいするためにするどっていく様子にも使われます。

 ところで、もうすぐ日が暮れようとするころを「薄暮はくぼ」と言います。まだ空はほのかに明るいけれど、行きぎる人の顔はよく見えなくなってくる、そんな時間たいです。「薄暗いのだから薄暮」と解釈かいしゃくしても間違まちがいではありませんが、この「薄」も「肉薄」と同じく、「近づく」の意味です。夕暮れが迫ってきて、もうすぐ追いつかれてしまいそうになり――そして夜のやみおとずれます。(関根健一)

せきね・けんいち 読売新聞東京本社編集委員。日本新聞協会用語懇談会委員。文化審議会国語分科会委員。大東文化大学非常勤講師。著書に「なぜなに日本語」(三省堂)、「上質な大人のための日本語」(PHP研究所)、「ちびまる子ちゃんの似たもの漢字使い分け教室」(集英社)などがある。

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