【特集】利便性の高い「TOEFL」の新テストを運用開始…ETSJapan

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 アメリカの非営利教育団体「ETS」は8月、既存のテストに加え、新たに「TOEFL Essentialsテスト」の運用を開始した。自宅にいながらパソコンでオンライン受験することができ、試験時間も約90分と短いことから、利便性の高い英語力測定試験になっているという。TOEFLテストの運営・広報を担当する「ETSJapan」(東京都千代田区)の根本斉カントリーマネージャーらに、新テストの特徴や活用法を聞いた。

幅広い年齢や英語習熟度に対応した新テスト

新テストについて説明する根本斉カントリーマネージャー
新テストについて説明する根本斉カントリーマネージャー

 TOEFLテストには、留学生の英語力を測定する「TOEFL iBT」、学校・企業等の団体で実施する「TOEFL ITP」、小中学生を対象にした「TOEFL Primary」、中高生を対象にした「TOEFL Junior」などがある。これらテストの中核となるのが「TOEFL iBT」であり、同テストは非母語話者を対象にした英語力測定試験として、大学など多くの高等教育機関の入試や単位認定などでも利用されている。

 「TOEFL iBT」がアカデミック領域の英語コミュニケーション能力を測るテストであるのに対し、アカデミックと非アカデミック双方の基礎的な英語習熟度を測るのが「TOEFL Essentials」だ。

 新テスト導入の経緯について、根本カントリーマネージャーはこう説明する。「PrimaryやJuniorの受験者より上の年齢層で、iBTより難度の低いテストに対する需要がありました。そこで、もっと幅広い年齢や英語習熟度に対応しようと従来のラインアップに加えたのが、Essentialsです。新テストではセキュリティーや採点にAI技術を取り入れており、テクノロジーが進歩した現代ならではの世界基準の英語力測定試験になっていると思います」

 「TOEFL Essentials」は、パソコンを使って受験する。試験時間はiBTの半分となる約90分で、受験者は次々と現れる問題にパソコンから即答していく。リスニング、リーディング、ライティングの3分野については、受験者の正答率や解答速度をAIが判断して出題内容や難度を調整する「アダプティブ方式」が採用されている。Essentialsの場合、アカデミック英語と一般英語から出題されるため、英語習熟度が高い人はアカデミック英語の比重が大きくなり、英語習熟度が低い人は一般英語の比重が大きくなるという。難度の高い問題に正答できるほど高いスコアが得られる。

 評価については、リスニング、リーディング、ライティングにスピーキングを加え、各分野で1~12の段階でスコアを評価する。総合スコアは、4分野のスコアの平均値となる。これはCEFR(セファール)のA1~C2に連動したスコア表示であり、受験日から2年間有効だ。iBTと同様にTOEFLテストの公式スコアとして扱われ、教育機関などに何度提出しても、その度に手数料がかかることはない。

 試験時間の短縮とともに利便性を高めているのが自宅受験という運営方法だ。AI技術と人間による遠隔監視を用いた監視システムを導入し、テストのセキュリティー及び信頼性を担保しているという。

iBTよりハードルは高くない

「iBTやITPテストほどハードルは高くない」と分析する五十峰先生
「iBTやITPテストほどハードルは高くない」と分析する五十峰先生

 Essentialsを受験したETS公認トレーナーの五十峰聖先生は、「試験時間や問題の長さがiBTと比べてかなり短くなっているため、受験者にとって負担が少なく、受けやすいテストだと感じました。アダプティブ方式の出題なので正解するにつれて難度は増しますが、それでもiBTやITPを受験する時のようなハードルの高さは感じられません」と語る。

 五十峰先生によると、短い会話やアナウンス、レクチャーなどのリスニングは30秒から長いもので1分半程度だ。リーディングは新聞広告やE‐mail、地域や学校のトピックなどもあり、日常生活に関連するテーマが多い印象を受けたそうだ。アカデミックな長文も含まれていたが、数パラグラフ程度の分量で専門用語は少なく、中学高校で学ぶ単語で対応できる範囲だったという。

 ライティングの内容は語順入れ替えやE‐mailの返信などで、中学高校の英作文やパラグラフライティングに近い。自分の意見を書くパートは、iBTのIndependent Taskの練習がそのまま役立ちそうだという。一方、スピーキングは音読や復唱の出題がほとんどで、発音やアクセント、イントネーションが重視されている感じを受けたという。

 受験対策について五十峰先生は、「特別な対策や準備を行うより、普段の英語学習が重要だと感じました」と言う。「Essentialsでは、アカデミックな領域に限らず、さまざまな場面での英語力が試されるため、日頃から学校の授業の中で多様なシチュエーションを想定しておくことが大切です」。さらに一歩進んだ対策として、「単語の定義ではなく類義語を覚えること」「音声を聴いて1文を復唱するなど瞬発力を付けること」などを挙げた。「importantを『重要な』と学ぶだけでなく、significant、crucialなどの類義語で覚える作業を日頃からしておくとよいでしょう。また、好きな映画を見て、ワンシーンのせりふをすぐに繰り返してみる、聴き取れない部分は英語字幕にする、インターネットで調べるなど、積極的に動画を活用することをお勧めします」

パーソナルビデオステートメントで自己PRも

スコアの評価機能とは別に用意された「パーソナルビデオステートメント」機能
スコアの評価機能とは別に用意された「パーソナルビデオステートメント」機能

 スコアの評価機能とは別に、Essentialsには、受験者がパソコン画面に向かって行う自己PRを5分間の動画として保存し、スコア送付先に提出できる「パーソナルビデオステートメント」という機能がある。大学入試などで、受験者の志望動機や学習意欲を知りたい大学は映像を確認することができる。今年12月3日現在、Essentialsのスコアを採用する大学・機関はアメリカを中心に239を数える。日本では東京大学大学院農学生命科学研究科が採用を決定している。

 EssentialsではCEFRのA1レベルから評価の対象になるため、中学生でも受験が可能だ。海外留学を目指す高校生は、高等教育機関の入試などに利用できる場合もある。さらに根本カントリーマネージャーは、中高生に向けて「英語力を客観的に測るものさしとして使ってほしい」と話す。「Essentialsを受験すると、リスニング、リーディング、ライティング、スピーキングの4技能がそれぞれ測定されるので、自分の強みや課題を把握できますし、強化すべきポイントも分かります。ライティングとスピーキングについては評価基準となるルーブリックも公開していますので、ぜひ自分の実力を知る手がかりとして活用してください」

 (文:岡崎智子 写真:中学受験サポート 一部写真提供:ETSJapan)

 ETSJapanについて、さらに詳しく知りたい方は こちら

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2605750 0 資格・検定情報 2021/12/21 05:01:00 2021/12/21 05:01:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/12/20211217-OYT8I50048-T.jpg?type=thumbnail

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